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陽キャの勘が鋭いんだが、どうすれば良いんだ!?

「うおおおおぉ! スミスミ! 頑張れぇ!!」

 

「スミスミー! がんばって!」

 

 俺と雫ちゃんはペンライトを振りながら、彼女を応援する。

 

 まさか、雫ちゃんと推しアイドルが一緒だとは思わなかったなぁ、スタンド使いはスタンド使いといずれひかれ合うと同じように、アイドルオタクはアイドルオタクといずれひかれ合うんだなぁ。

 

 そんな事を考えながら俺と雫ちゃんは、必死に応援した。

 

「神島もスミスミのことが好きなの?」

 

「もちのろんだ、て言っても色々と事情があるから今は好きなのかは分からないけどな」

 

「神島はきっとスミスミのこと好きなんだよ! だって私といっしょにスミスミをおうえんしてるからさ!」

 

「……そうかもな」

 

 俺は雫ちゃんの言葉に不覚にもそう言ってしまった。本当はどっちなんだろうな……俺はまだ宝条菫に未練があるのか? それとも未練はないのか……わからんな。

 

 周りが流れている音楽に呑まれている中、俺はついそう考えてしまった。

 

「なぁ神島、俺一つだけ気づいたんだけどさ」

 

 と言って神上が俺にこそこそと話しかけてきた。チッ、俺は雫ちゃんにこそこそ話されたかったのに、なんで神上なんだよ(冗談)。

 

「どうした? 尿意が溜まったのか? それとも性欲でも溜まったのか? そういうことはトイレでやってくれ」

 

「神島は面白い冗談言うな、いやそれよりあのスミスミていうアイドルの顔」

 

「顔? あぁ確かに可愛いよな、流石俺の推しアイドルてだけあるな!」

 

 俺はわざと彼が次に言う言葉を無視して言った。まぁ俺がそんなこと言ったところで、神上が次に言う言葉は変わらんだろうがな。

 

「いやそういう意味じゃなくて、スミスミの顔、オレらの学校にいる宝条菫さんに似てないか?」

 

 ほらそう言ってきたよ……君のような勘のいいガキは嫌いだよ。

 

「そうか? 俺はただの他人にしか見えないけどな……世の中には、自分に似た人が三人いるって聞いたことあるだろ? 多分それだ」

 

「そ、そうか……悪い多分俺の勘違だったかも」

 

 神上は特にこれ以上深入りすることなく、雫ちゃんの隣に戻って行った。神上慎吾……一見ただのイケメンでお人好しに見えるが勘は鋭い……こいつやっぱりチート野郎だ。

 

 俺が神上の凄さを感じていると、流れていた新曲の音色が終わった。あ、やべ、あんま新曲聞いてなかったわ……これも全部神上の野郎のせいだ! 許さないゾ☆(冗談)。

 

「はぁい! みんな! 新曲聞いてくれてありがとう! 次はみんな大好き「君とあの空」だよ!」

 

 よし次こそはちゃんと応援エールを送るぞ、この日のために俺はちゃんと準備と特訓をしてきた。俺はバッグの中からスミスミの顔がプリントされたハチマキを巻くと、三本のペンライトを取り出し、持っていた四本のペンライトを右手に二本、左手に二本で握る。

 

 これぞ真のアイドルオタクの構えだ。羞恥すら捨てた俺は今無敵だ。



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