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アイドルオタクから生粋のロリコンに進化しかけたんだが、どうすれば良いんだ!?

俺は驚いた、神上に妹がいること自体は聞いていたが、まさかここまで幼いとは……お兄ちゃんてっきり中学生くらいだと思ってたぞ?

 

「んじゃ行こうぜ? そろそろ電車が来るだろうしさ」

 

「いや待て、こんな幼い子を連れて行くのか? あそこのライブハウスはたしか15歳からだぞ?」

 

「……そうなのか、じゃあしずく、ごめんだけど1回家に帰るか」

 

 神上は優しく微笑みながら言うと、雫ちゃんは落ち込んだ様子で「うん」と呟いた。おいおいそんな顔されると、お兄ちゃんも落ち込んちゃうぞ……仕方ない連絡するか。

 

「ちょっと待ってくれ、今から知り合いに電話して交渉してみるわ」

 

「本当か! ありがとうな神島」

 

「ありがとう神島!」

 

 神上の「神島」呼びはともかく、雫ちゃんの「神島」呼びはめちゃくちゃ可愛いな! お兄ちゃん頑張っちゃうぞ! なんて思いながら、俺は宝条に電話をかける。

 

 そして、電話に出た彼女に俺は事の経緯を話した。

 

『それはダメよ』

 

「ですよねぇー……そこをなんとか! お願いします! 宝条様!」

 

『そこまで言われても……分かったわ、ちゃんとその子見守られる? それができるなら私がライブハウスの店長に交渉してみる』

 

「マジでありがとう」

 

 俺はそう言って、宝条との電話を切った。そして、俺は交渉が成功した事を二人に知らせるために、慣れないドヤ顔をし親指を立てた。

 

 そんな俺の様子を見た二人は、嬉しそうに顔を見合せた。雫ちゃんの喜ぶ姿も可愛いな! 

 

「んじゃ行くか、ちょうど電車も来たところだし」

 

「そうだな、行くよ雫」

 

「うん!」

 

 ※

 

 電車に乗った俺達は街の駅で降りると、すぐさま「仮面アイドル」がやる仮面卒業ライブのライブハウスに向かった。

 

 宝条が店長になんとか交渉してくれたおかげで、俺達は無事にライブハウスに入れた。

 

 ライブが始まる一分前になると、ライブハウスの中を照らしていた照明が消え、辺りは騒然の空気になった。


 その時だった、ドンッという何かが爆発するような音が鳴ると、綺麗な花びらが舞って、スミスミ達が華やかにステージに現れる。

 

 仮面を外しているスミスミ達の登場に、ファン達は大盛り上がりを見せた。

 

「みんな! 来てくれてありがとう! 仮面外してるから分からないと思うけど、私がスミスミだよ! そして!」

 

「はぁい! 私がアカネお姉さんだよ!」

 

「私がミゾレでーす」

 

「わ、私はソウで、です!」

 

 初めて仮面を外した彼女達を見たファン達は、彼女達のあまりの美貌にペンライトを振っていた。

 

「それじゃあ行きます!」

 

 さぁて、なんの曲が来るか……。

 

 俺がそう身構えていると、スミスミはその可愛らしい口を開いた。

 

「一曲目は新曲の「青薔薇あおぱら」です!」

 

「は!? マジか!」

 

 俺は彼女の予想外の言葉に取り乱してしまった。そして、流れ始める綺麗な音色、俺とその観客達はその音に聞き惚れていた。そんな中、俺はふと隣にいる神上の妹の方へ視線を向けた。

 

「凄いよ! お兄ちゃん! みんな可愛い!」

 

 雫ちゃんのあまりの尊い笑顔に俺は思わず呟いてしまった。

 

「かわええぇ」

 

 この時、俺はアイドルオタクから生粋のロリコンに進化しかけた……アブねぇ!

 

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