幼馴染のメアドのアイコンのセンスが壊滅的なんだが、どうすれば良いんだ!?
昼休みに宝条と昼ごはんを食べ終えた俺と彼女が教室に戻ると、穂状はムスとした様子で俺達に歩み寄る。
「二人ともどこに行ってたの?! 私探すのに苦労したんだけど!」
「「……」」
言えない実は『二人でお昼食べてました』なんて言えない……ここは宝条の言葉を待とう。
そう思った俺が宝条の方へ視線を向けると、彼女は凄く焦ったような顔をしていた。おい! そんなに焦った様な顔をするな! めちゃくちゃ目泳いでるし!
「何か隠してそうな感じだけど、まぁいいや。それよりさ二人とも! メアド交換しようよ!」
「「メアド?」」
「そ、メアド交換! スミミはいつも教室にいるから大丈夫だけど、神島はいつも何処にいるか分からないからさ」
「フッ、とうとうこの俺に女子のメールアドレスが追加されるのか。いつもは意味のわからんメールが来るだけだった携帯にとうとう」
「神島のその言い方めちゃくちゃキモイよ。あと普通に話聞いててかわいそう」
穂状はこちらを悲しい目で見てくる。そんな目で見てくるのやめて! 俺の鋼のメンタルを貫通してくるからやめて!
そんなことを思いながら俺と宝条は、穂状とメアド交換をした。スマホの画面に映し出された穂状のメールアイコン。そのアイコンは、謎の黄色のアホそうなキャラクターが発狂したみたいな様子で両手を上げているアイコンだった。穂状……お前どういうセンスしてんだ。
「穂状さんのアイコン可愛いですね!」
「は?」
「でしょ! これ私のお気に入りなんだ! 名前はね! キモル! 今じゃ若者に人気なんだよ!」
キモル……ネーミングセンスが独特すぎるな……てかコレが若者の中で人気とか若者の目の付け所が独特なのか、俺の目がダメなのか分からんな。
そんなことを思っていると、穂状がこちらを不思議そうな目で見てくる。
「ど、どうかしたか?」
「い、いやだって神島のアイコンて案外オシャレなんだな、て……」
「そうか? 俺は別に……」
そう呟きながら俺はスマホ画面に映る自分のアイコンを見た。うん、普通に夕焼けが海に沈むアイコンだ……これの何がオシャレなんだ。
「いやだって普通、神島みたいな影の薄々い人はよくアニメのアイコンとか使ってるじゃん?」
「おい、今すぐアイコンにアニメキャラクターを使ってるやつ全員に謝れ。誰にとは言わんが怒られるぞ? あと俺も一時期はアニメアイコンとかなんなら推しアイドルのアイコンだって使ってたぞ」
「神島が早口でめちゃくちゃ言ってる……なんかゴメンなさい」
「それでよし二度と言うなよ」
「なんでそんな上から目線なの!?」
俺と穂状のやり取りを見ていた宝条は、クスッと笑った。
「あ! スミミ! 今笑ったよね?!」
「笑ってないです」
「笑った!」
「笑ってないです」




