いきなり学校一の陽キャ男子と一緒にアイドルのライブを見に行くことになったんだが、どうすれば良いんだ!?
「なんだ神上か……「仮面アイドル」知ってるのか?」
「妹がハマっててね、もしかしてだけど神島も「仮面アイドル」好きなのか?」
さてここで選択問題がでてきた、ここは素直に『うん! 大好きだよ!』て言えばきっと『うわ、オタクじゃん』て言われるに決まってるな……でも俺はそれすらも誇りに思う一流のオタク、答えは決まってる。
「それなりに好きだ」
「そうか、なんか好きなアイドルの情報とかあったか?」
コイツ結構絡んでくるな……普通そこは『へぇ、そうなんだ』で終わって俺の前から立ち去るのが普通だろ、てかまてよ? なんで神上は俺のステルス機能に引っ掛からない? コイツまさか異能力者か!? (厨二病)。
「いや特に何も……あ、でもあるとしたら明後日に仮面アイドルの仮面卒業ライブが街の方のライブハウスであるな」
「明後日かぁ〜、よし! 神島! その卒業ライブ一緒に見に行こうぜ」
「——はぁ? 神上今自分が何を言ってるか理解出来てるのか? 俺みたいな奴とライブ見に行く、て言ってるんだぞ?」
俺が戸惑いながら言うと、神上はそんなことを気にしていないような様子で、
「別に良くないか? 特に俺は気にしないけど」
神上慎吾コイツはとことん良い奴だ、俺みたい影の薄いヤツにもこうやって優しく接するのだろう……仕方ない、本当は一人で行きたかったが。
「分かった、じゃあ何時集合する?」
「ライブは何時からあるんだ?」
「夜の7時」
「そうか、じゃあ6時に部活が終わるから、相模駅で6時半に待ち合わせでどうだ?」
「分かった、ちゃんと準備してこいよ」
※
学校の昼休みというものはいつも憂鬱だ。特に友達のいない俺にとって昼休みというものは敵と言って過言ではない。
そして俺はいつものマイスペースである階段裏で、売店で買った菓子パンを食べに行こうとした時、俺の裾を誰かが引っ張る。まぁ俺の裾をよく引っ張るのはアイツしかいないな。
「どうしたんだ、穂状」
俺がそう言って後ろを振り向くと、あら不思議! そこに居たのは穂状ではなく宝条菫さんじゃありませんか。
宝条はどこか恥ずかしそうな表情をしていた。
いつもはツンツンとした雰囲気を漂わせている彼女。しかし、今はそんな雰囲気すら感じない。でもまずは何があったか話さないとダメそうだな。
「どうされました? 宝条さん」
「か、神島くん、私と一緒にお弁当を食べませんか?」
「はい?」
あぁこれはアレだな罰ゲームだな。しょうがないこうなったら穂状を誘ってどうにかするか。
「それじゃあ俺、穂状誘ってくるわ」
俺がそう言って穂状のいる方に向かおうとした時、宝条は何故かその場から離れようとする俺の右手を掴む。
「——ッ!」
「ふ、二人で食べたい」




