初めてアイドルのリハーサルに向かうのだが、どうすれば良いんだ!?
「好き……か、まぁ、友達として俺は宝条さんは好きだよ」
穂状の突然の質問に困惑しながらも、俺はその答えに合うような答え方をした。すると、彼女は苦笑した表情をした。
「そっか……なら良いんだけど」
「どうしていきなりそんなこと聞くんだ? 宝条さんと何かあったのか?」
俺は穂状と宝条の仲に何かあったのかと思い聞いた。すると、穂状は首を横に振った。そして、何も無かったように笑みを見せた。
「んじゃ、もう帰ろっか」
「それもそうだな」
アイスを食べ終えた俺たちは言って、ショッピングモールを出て、近くのバス停で帰りのバスが来るのを待った。その時だった、穂状は俺に小さく呟くように言った。
「私初めてだったんだよ、こうやって男の人とデートするの」
「そ、そうなのか楽しかったか?」
「うん、めちゃくちゃ楽しかったよ」
「そうか」
※
穂状とのデートを終えた次の日。そうスミスミのソロライブ当日である。俺はいつも持参するペンライトとうちわを装備すると、自宅の玄関の扉を開けた。
眩い日差しが視界に入ってくる。俺は目を細めながらも、外に出た。まぁなんというか元自宅警備員にとって太陽の日差しは敵と言っても過言ではない……てか、元自宅警備員に朝早く起きさせるとか鬼畜かよ。そんなことを思いながら待ち合わせ場所に行っていると、予想外の人物と出会った。
「あれ? 神島じゃん」
「ウゲッ」
そう目の前に現れたのは、昨日俺とデートした穂状だった。
「『ウゲッ』とはなんだ!」
彼女がそう言った時、穂状の後ろから俺とは正反対の男が顔を出す。俺はその男に見覚えがあった。そう彼の名は神上慎吾、俺と同じ「神」が苗字に入った者。そういうのはさておき、慎吾という男は俺の学校で一番のイケメン、性格もイケメンらしいから俺の中では「チート野郎」と呼んでいる。
「だれだれ? 友達?」
さて、さっそくチート野郎が穂状に話しかけた。彼女はうんと頷く。
「へぇ、俺は神上慎吾、君は?」
「俺は神島翠星」
「翠星か、よろしくな」
チート野郎はそう言って、俺に握手を求めてくる。俺は流れに任せて神上と握手をした。そうすると、今度は神上の後ろから、女子達が現れる。
「え、何このパッとしない奴」
その中で一際異彩を放っていた一人の女子に俺は見覚えがある。その女子は俺のクラスでカースト上位に君臨する角崎恵。俺の経験と偏見によると、このタイプの女子は性格が悪いに決まっている。
「ねぇ、慎吾、こんな奴放っておいて早く映画館行こー」
「そ、そうだな、翠星スマン、俺たち行くわ」
チート野郎はそう言うと、角崎達と一緒にどこかへ向かっていった。俺はそれを見届けると、宝条との待ち合わせ場所に行く。
※
「遅い」
宝条は不満そうに俺に言った。
「本当にすまん」
「……まぁ、まだ時間あるから良いけど、さ、早く行くよ。もう車は手配してあるから」
「車、てどこに?」
辺りを見渡していると、宝条は指をある所に指した。俺は彼女が指を指した車に言葉を詰まらせた。
「え……リムジンじゃん……あれに乗るの?」
俺が言うと宝条はこくりと頷く。
「うへぇ」
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