幼なじみと突然デートすることになったんだが、どうすれば良いんだ!?
宝条に放課後残るように言われた俺は、ただ一人教室でスマホをいじっていた。
「待たせてごめんなさい」
そう言って、教室の戸を開けて入ってくる宝条。俺はスマホをポケットにしまい、彼女の方へ視線を送る。
「んで、宝条さんは俺になんの要件があるの?」
「……神島くん、今週の日曜日に私のソロライブがあるの」
「え? マジ? 俺それ聞いてないんだけど」
「神島くんが知らなくて当たり前、だってこれはまだ公表されてない情報だもの。……だから神島くんの初仕事よ」
「し、仕事……」
元自宅警備員にとって聞きたくもない言葉ランキング一位の言葉を言った宝条。しかし、今は過去の俺じゃない、そんなクソみたいな言葉に怯えるもんか。
「仕事内容はライブ会場まで私を送っていって、そこでライブのリハーサルをする」
「送っていくて俺車とか乗れないけど」
「そこは安心して、事務所から車が手配されるから」
そして、その後俺と宝条は今週末にあるライブについて話し合い、この日を終えた。
※
ライブ前日の日、何故か俺は穂状と謎のデートをしている。いやホントなんで? なんで俺穂状とデートしてるんだ?!
事の経緯を話そう、これは今日の昼頃。俺が色々と明日のライブに向けて準備をしていた時、突然、インターホンが鳴った。そして、扉を開けた先にいたのは、オシャレな格好をし、髪をおろした穂状だった。
「よ! 神島!」
「え、なんで俺の家知ってんの?」
「いや私たち幼なじみでしょ、家くらい知ってて当然でしょ。しかも私たちご近所だし」
「そういえばそうだったな……んで、何しに来た?」
「デートしよ!」
「はー?」
そして今俺はバスで10分で着く、ショッピングモールに来ています。俺がそっぽを向いている時でも、穂状はウハウハと楽しそうに歩みを進めている。
「ねね! 少し私に付き合ってよ!」
「お、おう」
穂状はそう言うと、俺の手を掴み、子供のようにはしゃぎながら、彼女が行きたい場所へ向かうのだった。
※
服屋に着いた俺と穂状。彼女は目をキラキラとさせ、陳列された服を見ていた。一方の俺は服屋の外で、彼女の姿を遠目で見つめていた。すると、穂状はこちらへ来て、服屋の中へ俺を連れていく。
「これとか神島似合うんじゃない?」
「お、そうか?」
彼女が俺に差し出したのは、白のパーカーだった。ほほうこのパーカーの白は俺の心の美しさを表してるのか! よし買った! なんてつまらない事を考えていると、彼女は「ちょっと試着室行ってくる」と言って、その場から立ち去った。
その数分後、試着室のカーテンがバサッと開いた。そこにいた彼女は普通に可愛らしい格好だった。だが一つ気がかりなのが、何故か穂状は俺に渡した白のパーカーを着ていた。
「穂状、それって……」
「あ! 気づいた? おそろっちでいいでしょ」
「おそろっち……恐ろしい言葉だ……」
「え、なんか言った?」
「あ、いや何でもないです」
そして、自分が気に入った服を選んだ俺と穂状は、その気に入った服を買った。買い物を済ませた俺と彼女。
「ねぇ! 帰りにアイスでも食べない? 小腹を減ったしさ!」
「良いな! 俺もちょうど小腹が減った所だからな」
「でしょでしょー!」
次に向かう場所が決まった俺達は、ルンルンとした足取りで向かっていった。
※
自分好みのアイスを買った俺と穂状は、近くにあったテーブルで食べる事にした。そして、俺が自分のアイスを口に運ぼうとした時だった。
「神島……てさ、最近スミミと仲がいいよね」
「お、おう……まぁ最近な」
「不思議だね、一度フッた人と仲良くできるとか私には出来ないよ」
彼女はどこか思いつめたような雰囲気だ。そんな何とも言えない空気の中、俺は買ったアイスをたいらげた。
「……ねぇ、神島はさ、スミミの事が好きなの?」
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