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第九話 友達になろう

「では…」

「いや仮にも疲労困憊の八歳児をそのまま放置して帰る気かキサマ」

鬼畜魔王は伊達じゃない。

「ふむ…俺に介抱して欲しいのか?」

「…やっぱいいです」

なんか…こいつに介抱されるのは嫌だ!

「…よくわからん奴だ…まあいいではな…明日も鍛錬…と言いたいところだが流石に休日としよう、俺は鬼畜ではないからな」

そういうと魔王の姿は一瞬で消えた。

…どう考えてもお前は鬼畜だよ…。

と、いつの間にか蔵書庫の扉が開いており

「リ、リア様、ど、どうされたのですか!」

あ、やば、いつものメイドさんに見つかっちゃった。

「あ…いや…ちょっと運動した後で」

「ちょっと運動したぐらいでそんなに疲労困憊に!?」

相変わらず言い訳下手か、私。






私はコーザリティー家に努めて40年の執事、老境にさしかかって早数年、そろそろ引退も考えております。

「ここ数日リア様の様子がおかしい、ですか?」

「はい…」

新人の使用人、今年からコーザリティー家長女であるリア様担当になったメイドがそんな報告をしてきました。

「具体的に、どのような」

「鏡の前や、ベッドのうえで独り言をひたすらしていたり、先日などなぜか疲労困憊の状態で蔵書庫で倒れておりました」

「それはおかしいですね、…しかしあなたに四六時中、リア様を見張っていろと言うのも酷ですね」

「はい…」

コーザリティー家は屋敷の規模に対して使用人の数が極端に少ないのです。担当といっても他にも仕事は数多にあります。

しかも家風が個々人の自由という、ある意味放任主義が方針の家ですからね。

使用人が少ない割に、騎士が多い気がするのは長年の謎ですが…。

まあ、いいです今はリア様の話です。

「リア様は…まあそういうお年頃なのかもしれませんね」

倒れていた件も、もともとリア様は引きこもり気味だったので体力不足故に…ということでしょうかね。

「ふむ、取り敢えずご当主様への定期報告にそのことを書いておきましょう…あなたはできるだけリア様を見守る時間を増やすように」

「わかりました」

ご当主様への報告は一応しますが…多分、一時的なもの…そのうち落ち着くでしょう。






やーほーリアちゃんだぜ☆

今日の鍛錬は休日…一日しか鍛錬してないのに休日の解放感がすごい。

なんでだろうな…(遠い目)

まあいいや、きょうは休日さて…。

うん…あれ…特にやることないや。

どうしよう、一日暇とか勘弁。

そうだ!一昨日ぶりに例の掘っ立て小屋に行ってみよう。

私の友達()がいるかもしれない。よし善は急げだ!

え、仮にも公爵令嬢が勝手に外出してもいいのかだって?

…家は実質男爵家な上に、放任主義だからね、勝手に抜け出してもまあ問題ないだろう。

ということで、レッツゴー!







「こないねリアさん」

「そうだねーリアちゃん来ないねー」

「まあ貴族様だし忙しいんだろ」

俺たちはいつもの秘密基地に集まっていた。

あの貴族様、リアは友達になってくれと脅迫してまできたわりあの日から姿をみせていない。

「それより今日は家の手伝いはないから一日中暇だ。どうする?」

「僕は…と、取り敢えずリアさんを待って…」

「ソイ、もうあきらめろ、貴族様ってのは気まぐれだからな」

「そんななぁ…」

ソイ、お前まさかあの貴族様に惚れているのか?

リアは確かに見てくれはとんでもなく美人だが貴族だ、平民の俺達には雲の上の存在だろうに。

「折角リアさんにとっておきの場所を案内しようと思っていたのに…」

とっておき?それは一体

「おいソイそのとっておきの場所ってのは」

「ああ、なんか古代の遺跡っぽいところで…先日の帰り道に見つけたんだ」

「…おいおい、古代遺跡には近づくなって、親から言われているだろう」

ここ、コード村はやたらと古代遺跡が見つかることで有名だ。

だからその遺跡目当てに冒険者が割と来るのだ。

もちろん、子どもが近づくのは禁止されている。

遺跡の防衛機能?が生きている可能性があると

まあでも大体の遺跡は死んでいるからな。

「アキ…でも僕たち暇じゃん」

「まあな…よしじゃあ…」

俺が行こうかという前に

「へぇー、古代遺跡…面白そうね」

小屋の入り口から少女の声がした

…まさか。

俺は慌てて振り向くとそこには先日と同じように銀髪の前髪に黒のメッシュがはいった神秘的ともいえる容貌をした少女が立っていた

「げっ…リア」

「リアさん!」

「リアちゃん!」

「げっ、てどんな反応よ、アキ」

やべつい漏れちまった。

「まあいいわ、それで古代遺跡ってのは」

「…止めに来たのか、貴族様」

「あなたは皮肉っぽいわね、なんか…別に止めに来たわけじゃないわよ、ただ…」

「「「ただ?」」」

「私も連れてって!」

リアは笑顔でそう言う。

そう来たか…。


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