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第六話 騎士団長に報告しよう

翌日。

目が覚める…あれ知らない天井だ…えっ、ここどこ?

……ああ、そうだ異世界転生したんだった。

どうも、名もなきブラック大学院生あらため、コーザリティー家長女、リア・コーザリティーでーす☆

「クリーン」

とりま、クリーンの魔法をかけておこう。うん、なんだかんだすごく便利だねこれ。


…はあ、今日は魔王との約束の日だ。

昨日は…色々あったなぁ、突然異世界転生したと思ったら、自称神を名乗る声に状況を雑に説明されて、この世界について調べようと蔵書庫に向かったら、魔王とエンカウントして、なんか勇者になって、魔王と手を組むことになって、その後、肉体年齢が同い年の子どもらを脅迫して友達になってもらって…んー?

…いやいやいや昨日の私何してるのマジで!?冷静に考えると完全にヤバい奴じゃん。

いくら突然の出来事で動転していたとはいえ、考えなしに色々行動していたなぁ…。


ここは一旦、今後の方針を考えよう。

とりあえず前世の私は…名前すら覚えてないけど…確か大学の学部までは順調な人生だったはずだ…その後に高望みして外部大学院へ進学して地獄を見る事になったんだよね。

…じゃあ今生はどうするかは…まあとにかく平穏な生活が望ましい。

あれね、あれ…スローライフってやつだ!確か。

そう、スローライフ…なんという素晴らしい響きの言葉だ!

え?世界大戦の予兆がある政情の世界の貴族でスローライフは無理があるって?

がってむっ!そんなのやってみなきゃわからないでしょ!

よし、方針は決まった!とりあえずスローライフとやらを目指してやるわ!

「あの…リア様?」

「はひいっ!」

突然声を掛けられ、ベットの上ではねる私

「あの…先ほどから一人で話してなさって…ど、どうなされましたか?」

やばい、メイドさんに見られてた!しかも若干引かれている!

というかまた声がもれてたかぁ…

こ、ここは言い訳を…。

「ひ、人と話す練習を…」

我ながらまたそれか!

「あの…リア様…なにか悩みが…」

「だ、大丈夫だから!ほんとに!」

「そ、そうですか…では…」

メイドさんが心配そうにしながらも部屋を出ていく。

はぁ…とりあえず着替えよう。

そういえばこの世界の服ってかなり近代的だよね。なんせ高位の女性の服すら一人で着られるし。

…クリーンの魔法も便利だし、総力戦が発生しかねないほど民族国家が、民族のアイデンティティーが形成されているってことだし。

案外、この世界、見てくれ以外は近代的なのかもしれない。

考え方も近代的だったらいいなぁ…そうしないと女の私もかなり生きづらいだろうしね。

でも、どうやら朝食の文化はまだないらしいね…なんというかちぐはぐだなぁ…。



着替えて、部屋の外に出た私、…そういえばやることがないな。

リアの記憶でもほとんど部屋で蔵書庫から持ってきた本を読んでいたっぽいし。

…普通貴族の子弟ってなんか家庭教師的なのがついて勉強三昧じゃないのかなー?

ふむ、リアの記憶によるとコーザリティー家は家風からして自由で、ある意味、放任主義らしい…家の規模もそうだけど、ほんとなんで公爵位なのこの家。

ああそういえば騎士団長に侵入の件を報告しないといけないんだった。

とりあえず、騎士の詰め所に向かおう。


―コンコン―

詰め所の扉をノックする。

すると扉から、グレーの髪色の鎧を着た大男ができた。

「へいへい、一体だれが…ってお嬢様!?」

なんだその珍獣を見つけたような反応は…。

この男が我が公爵家(笑)が誇る騎士団長アンドレ。

なんかもともと有名な冒険者だったらしいが…まあ、今はどうでもいいね。

「どうしたんですかい?お嬢様、外に出てくるなんて珍しい…」

元冒険者らしく言葉遣いも若干、粗暴だなぁ。

「いえ、ちょっと用件があって」

「用件…まあ、立ち話も何ですし中へどうぞ」

アンドレに促され詰め所に入る。

「おい、だれか茶を…」

「いいです。用件が済んだすぐにかえるので」

「そうですかい」

私はそこらへんにあった椅子に勝手に座る。暇とはいえ、一応午後に予定があるからさっさと済ませてしまおう。

そんな私の行動に察したのか、椅子を持ってきて私の体面に座るアンドレ。

「それで、お嬢様、用件ってのは…」

「侵入者がいたわ、昨日、幸い害のなさそうな子どもだったけど、かなり屋敷のそばにいたわね」

「っ!侵入者…だって、昨日屋敷の傍で…」

アンドレが驚愕の表情を浮かべる。いや子ども一人侵入したくらいで大げさな…

と、アンドレが突然立ち上がると

「昨日の当番は…スコットか…おいスコットッ!」

大声で昨日の当番らしき騎士を呼ぶ。

「だ、団長なにごとですか?」

と、詰め所の奥から同じく鎧を着た若い男が現れる。

「てめぇ…侵入者を見逃しやがったな!」

「え、何の話って…え、お嬢様!」

はいはい、珍獣リアちゃんですよ~。

「お嬢様からの報告だ!昨日、ガキが一人屋敷のすぐそばまで侵入していたと!」

「うげぇ!…でも団長、この屋敷、広い割に一部柵するなくて…見逃すのも…」

「うるせぇ!問答無用!」

「ちょっま…ぐぼぉっ!」

綺麗に吹き飛ぶスコットさん。

ええ…問答無用でぶん殴ったよ、この団長。

「すいやせん、お嬢さま、これは俺の責任問題でもあります」

「そんな、大げさな…」

「いえ、この件は旦那様に、俺が報告しときやす…」

なんか、大事になってしまった。

…まあいいや、もう蔵書庫に…いやその前に少し早いけど、お昼を作ってもらおう。

そんな感じで私は詰め所を後にした。











リアが昼食を終え蔵書庫で魔王を待っている頃。

屋敷に隣接する森に二人の男が潜んでいた。

その男たちはギリースーツと呼ばれる森林に一体化するスーツを着用していて、真っ昼間だというのに見事に森林と一体化していた。

少し離れた位置にいた男たちは頷きあうと、懐からなにか四角い機械のようなものを取り出し…


瞬間、片方の男が巨大な剣に突き刺されて絶命する。

「っ!」

巨大は剣は刃の横に筒が付いた奇妙なものであった。

片方の男が貫かれた瞬間、もう片方の男が瞬時に四角い機械を使用する。

すると、機械を使用した男の姿が空間に溶けるように消える。

「なるほど、姿を消す機械ねぇ」

絶命した男から巨大で奇妙な剣を引き抜き、構えるグレイの髪色の大男。

コーザリティー家の騎士団団長アンドレである。

機械…通称「ステルスボックス」で姿を透明にした男はそのまま逃走を図り…


「だが、気配は消せてねぇぜ?」

―ドオンっ!

轟音と共に筒が付いた巨大な剣…「ガンソード」から発射された砲弾が直撃し、跡形もなく吹き飛ばされる透明になった男…

―あたりに静寂が下りる

「夜ばっか警戒してたのがいけなかったか…まさか真昼間から侵入を試みるとは」

二人の男を数刻の間に殺害したアンドレはひとりそう呟く。

「こりゃあ、旦那様と相談して人員を増やしてもらわねぇと…この家はやべぇ秘密があるからな」

魔王が目をつけるほどだ。コーザリティー家はただの落ちぶれた公爵家…ではない。


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