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第十話 脅迫しよう(二度目)

「これが…古代遺跡?」

森に少し分け入った先にそれは現れた。

森の中にぽっかりあいた木の生えていない広間のような空間。

そこにポツンと地下へと続くと思われる、石造りの入り口。

まるで地下鉄の入り口みたいだ。

「そう、リアさんこれが古代遺跡の入り口です!」

「落ち着けよソイ…古代遺跡の入り口ってのはある突然現れることがあってな、前入ったのもこんな感じだったな」

「入ったことあるのね」

でもある日突然現れるって、それって

「遺跡の機能が残ってるってことじゃないの?危険はないの?」

こういう遺跡って防衛機能とかありがちじゃ。

「いや、中に古代のガラクタがあるくらいで、ほとんどの場合は機能してないな

ゆえに危険は…まあほぼねぇな」

「へぇー」

「先頭は僕が行きます!行きましょうリアさん!」

とソイが一人でずかずかと古代遺跡の入り口に向かう。

「ソイ君張り切ってるー!」

「はぁ、全くソイの奴…よしリア、俺たちも行こうぜ」

「ええ」

そうしてソイに続いて私たち3人も古代遺跡に入っていく。








「以外に明るいのね?」

遺跡の階段を降りていく、明かりの類はないはずなのに足元がみえるくらいには明るい。

「ああ、なんか知らんが古代遺跡ってのはどこもこんなもんだなんだよ、なぜか」

「不思議ねぇ」

「リアちゃん、多分なんかの魔法じゃないかな」

「魔法…」

そういえばこの世界、魔法があったんだった。

魔王とか魔法で現実から切り離された空間を生成できるくらいだから、これくらい魔法なら簡単なのかな。

「ああ…」

と、前方から先行していたソイの落胆したような声が聞こえてくる。

どうしたんだろう?

「おい、どうしたソイ」

アキがソイに問いかける。

「行き止まりだ…」

たどり着いた私たちが見たのは鉄製の扉…ん?

なんか横に掌のイラストが描かれたタッチパッドのような機械ぽいものが付いている。

え、なにこれ、ファンタジー世界にはすごく不釣り合いなんだけど。

「ああ、いつものか、この扉、冒険者や学者すら突破できたことがないんだよな」

…あのタッチパッドなんかすごく気になる。

「だから…おい聞いてるか。リア」

アキがなんか解説しているが…

「てい」

私はそれを無視してタッチパットらしきものに掌を合わせる。

「…人の話聞けって、そのへんてこな装置もなんの反応もないんだよ」

…たしかに反応がない、まあそんなもんか。

さてじゃあもど

『認証しました…ジー…の血筋を確認…ジー…』

「「「「えっ!」」」」

―バタンッ!

ノイズ交じりの音声がしたかと思ったら、なんか扉が開いた。

「…開くじゃん」

「いや…これはおかしい!みんないったん戻って…」

アキが言いかけて

「何言ってんのさ、アキ、こんな機会を逃すなんてもったいない、僕が先頭を張る行こう!」

言うや否や止める暇なくソイは中にはいってしまう。

「おい、ソイ、クソっ、あいつは冒険者にあこがれていて…」

「どうするのアキ君?」

「取り敢えずあいつを追おうか、見捨てて逃げるのはあれだから…まあ多分遺跡の機能は死んでる…はず」

おお、アキ、追う判断をしたのね、この子は意外と冷静かつ決断力があるタイプね。

まあ、もしもの時は私の幸運に頼らせてもらおうかな。

そうして私たちはソイを追って中に入る。






「…これは」

私は驚愕していた。

「あー見事に見たことねぇ巨大なガラクタだらけだな」

「ねー」

アキとメルがそんなことを言い合っているが、それどころではない。

目の前にある巨大なガラクタ。

これは―

それは無限軌道と砲塔を備えた車両、所謂戦車だ。

しかし、そのフォルムは元の世界の現用主力戦車とは異なっていた。

かなり小型な砲塔に150ミリはあると思われる戦車砲、そして極め付きは、乗員ハッチがどこにも見当たらない。

…これは無人の戦闘車両?

元の世界で第四世代主力戦車のコンセプト車両によく似たそれは、扉の先の広い空間に居つくか放置されていた。

…古代文明の遺跡、まさかこんなものまで放置されているとは…。

他にも重機関銃やりゅう弾砲、迫撃砲と思われるものまで放置してある。

この世界の技術がどのくらいかわからないけど、こんものをリバースエンジニアリングされてしまったら、軍事的なブレイクスルーを起こすかもしれない

それはまずい、元の世界のハーバーボッシュ法のように世界大戦の原因になりかねない…。

私は一人戦慄し冷や汗をかいていた。

これは…帰ったら魔王に報告した方がいいだろう

そしてその前に…

「おーいい、みんなここ見たことないガラクタだけで行き止まりだ」

と、ソイが戻ってきた。

「おい!ソイ!勝手に行きやがって」

「ごめんって、でもここ広いから秘密基地として使えそうだね」

ソイがそんなことを言っている

「ねえ、ソイ奥にはどんなガラクタがあった?」

私はソイに尋ねる。

「え、リ、リアさん、えーと、奥にはなんか人型の不気味な金属の人形がありましたよ」

ロボット、かぁ…

この世界の技術がどれくらいのものかは正確にはわからないが本を読んだ限り、そこまでではない…しかし国家がどんなものを隠し持っているのかはわからない。

つまり、ここは絶対に秘密に…葬らないとならない場所だ。

故に

「ねぇみんな、お願いがあるんだけど」

「ん、なんだ?」

「なにー?

「なんでしょうか?リアさん?」

「ここにはもう入らない、ここのことは誰にも話さない、ここの事は忘れる,,,それを約束して」

「「「え?」」」

三人は困惑した顔をしている。

「リアさん、それはな…」

「まて、ソイ」

ソイが話そうとするのをアキが遮り、そして聞いてくる

「…その約束…できなかったらどうする」

出来なかったら?

もしここを国などに発見されてしまえば、世界大戦の引き金になる可能性がある。

そうしたら…1000万人は軽く死ぬだろう。

それを阻止できるのだとしたら。



「君たちを…皆殺しにするよ?」



3人の子供の命くらい…軽いだろう。

…身勝手で邪悪なのはわかっている、恐らく自分の慢心と無能さでこんなことになってしまったから。

はぁ…タッチパッドにさえ触れなかったらこんなことにはならなかったのに。

…と、取り敢えず、ここまで脅しておけば大丈夫よね?


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