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聖職者ういさん~ 超初心者編  作者: ばっちょ
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ういさんの物語 3話 召喚祭り

 この世界には魔物を召喚するアイテムがいくつか存在する。


その中のひとつ、古木の枝、ただの枝ではなく、魔力を帯びた怪物を呼び起こす力の宿った枝だ。

一度に複数使用する事で、恐ろしい災害級の怪物を呼び起こせる。

街では、過去にこれで何度も怪物の襲撃にあった。


そのため、現在では街に、特殊な魔法防御障壁が展開されており、

今は、街中で怪物を召喚する事はできない。


だが、今でもこのアイテムを使用した闘技がある。

それが、古来から続く、世界最恐の祭り、召喚祭りだ。


ういさんは、現在教会専属のギルドに所属している。

司教兼ギルドマスターから説明があった。

「今日は、召喚祭りのために、厳重な警備体制が組まれる。

我がギルドでは警備の仕事を請け負った。魔物が観客を襲った際の討伐を担う。かなり危険な仕事だ。

祭りの参加者は歴戦の猛者だが、その猛者が倒される事態が過去に何度もあった。

観戦者も命知らずな狂人が多いが、世界一狂ったこの祭りを成功に導くためには

皆の協力が不可欠だ。よろしく頼む。もちろん、破格の報酬が約束されている。

各自協力して警備に当たって欲しい。

なお、危険と判断したら、すぐに後方へ下がり、上位ベテラン勢に任せるように。」

「では、各自指示された配置につくように、散会。」


召喚祭りは、専用に建設された闘技場で開催される。

闘技場は広く、観客席と召喚の場の間には、魔法障壁が展開されている。

それでも、過去何度も障壁を乗り越え、魔物が観客席に乱入してきた。


5名1組でチームを組み、ういさんのチームは、東側観客席の警備についた。

観客席は満員だ。やがて、主催者の声が響き渡る。

「これより第999回召喚祭りを開催する。」


「第一試合、参加者前へ」

召喚者が召喚した魔物と対峙し討伐する。

それだけの戦いだが、参加者は当然のことながら猛者揃いだ。

次々と召喚した魔物達は叩き潰されていく。


お祭りは順調に推移した。

時折、凶悪な怪物が召喚され、ヘルプコールが出されると

周囲で待機している討伐隊が、一斉に攻撃して殲滅していった。


問題なく、お祭りは進行していた。ういさんもあくびをしていた。

「今回は、問題なく終わりそうだな。」

今回は平穏に終わるかに見えたその時、何度目かのヘルプコールが鳴った。


見ると バナナの木?のような魔物が出現した。

・・・と思ったら、テレポート魔法で、すぐに、どこかへ飛んで行ってしまった。

「しまった。飛ばれた。」

ギルドマスターがすぐに指示を飛ばす。

「テレポートは近距離にしか飛べない。場外のどこかにいるはずだ。索敵班、いけ。」

「了解した。」

待機していた索敵班10名が、次々と、テレポート魔法で飛び去って行った。


主催者は、進行を優先し、祭りを続行した。

「次の者、前へ。」

次に召喚されたものは、先日の鈍器祭りで捕獲されたものと同じ

女狐の魔物だ。ただ、先日のものより巨大だし、やたらと怒り狂っている。

先日、巣窟を殲滅したからか?・・・などと思っていると、

この魔物も飛んで行ってしまった。


観客席から悲鳴があがる。

「まずい、観客席に移動した。東側の警備班、急げ。」

ギルドマスターの指示が飛ぶ。

女狐の魔物は、移動しながら観客者全員を脱がしまくっていた。

「一旦どんな妖術だよ。」


警備班が急行する。見ると、見知った者達がすっぽんぽんにされて、転がっていた。

「よし。」

そろそろ警備班が魔物に追い付く。その時だった。


「次の者、前へ。」

主催者は祭りを続行した。

「続けちゃ、ダメだろう。」「おい、主催者! 続けるのやめろ。」

「まだ、観客席討伐終わってねぇよ。」


次に召喚されたのは、はじめてみる子供っぽい魔物。そしてすぐに魔法を発動した。

「メテオストームバスター」

聞いたことない魔法だな。一体なんだ?

召喚者は、必死に戦っているが、苦しそうだ。


やがて、主催側から案内が入った。

「えー、お祭り参加のみなさんへ、ご案内いたします。

ただいま、場外、および、観客席にて、魔物が暴れています。

沈静化するまで、一旦、進行を見合わせます。」


「中止にするな! お祭りは、これからだよ。」

警備班が、魔物討伐で移動した隙を狙い、狂乱した者が、闘技場へ乱入してきた。

腕に、大量の召喚アイテムを抱えて。


「あれはまずい。とめろ。」

近くに居た警備班が、すぐさま飛び込み一瞬で仕留めた。


だが、すでに十数体が召喚されていた。十数体とは言え、討伐班よりは少ない。

すぐに鎮圧できるはずだった。


召喚されたのは、すべて、思念体と呼ばれる人型の魔物だった。

そう、先日、鈍器祭りの時に現れたものと同類のものだ。

人間をはるかに超越した存在、相当に強い。


やがて、闘技場の警備班は防戦で手一杯となる。

そこへ背後からも、魔物が襲った。

つい先程、召喚された子供っぽい魔物だ。

召喚者は・・・すでに、倒されていた。


子供っぽい魔物は、つぶやいた。

「ほう、これが、我々を召喚したアイテムか。便利なものがあるじゃないか。」

魔物は召喚アイテムを拾い上げると、次々と魔物を召喚して行った。


ギルドマスターが叫ぶ。

「緊急事態だ。索敵班、即刻戻れ。魔物が、みずから召喚アイテムを使い、魔物を召喚している。」

叫び終わった頃には、すでに恐ろしい数の魔物が、闘技場にあふれていた。


主催者から案内が流れた。

「ご来場の皆様に、ご案内致します。魔物があふれかえっていますので、大変危険です。

誘導係の指示に従い、帰路用のワープポータルより退出下さい。」


観客席のあちらこちらに、帰路用のワープポータルが開かれ、次々と観客達は去って行った。

観客席に居た魔物は、女狐の魔物だけだったため、それ以上の被害は発生していなかった。


女狐の魔物は、狂暴だったが、北側へ逃げるように移動したため、

ういさん達は、観客の退避を優先。観客を守るように誘導し、全員退出するのを見送った。


ギルドマスターからも連絡が入る。

「警備班全員に告ぐ。魔物の数が異常に多い。このまま鎮圧を継続するのは、危険と判断し

運営委員と共に、撤退する。」

「了解した。」


「運営委員専属の討伐隊からも撤退の進言が入っている。負傷者はこちらで収容した。

観客席には、我々以外残っていない。すみやかに、撤収せよ。」


我々は、次々と、闘技場を後にした。

アサシンのみが、監視役として残り、後日、状況を報告した。


召喚祭り運営委員会と警備班は、教会内で報告を受けた。

「闘技場の魔物は、二手に分かれた。子供のような魔物は、おそらく古代の魔王。

ほとんどの魔物は、魔王に付き従い出て行った。統率された動きだった。」

「もう一方は、思念体の集団。こちらは、魔王達とは、違う動きをしていた。

何か調べものをしていたようだった。その後、バラバラに去って行った。」

「召喚されたすべての魔物達は、書類にまとめてある。」


報告書を受け取った召喚祭り実行委員会は、魔物討伐指令を出した。

「全ギルドに通達だ。報酬は、たっぷり出す。今回召喚された魔物、1000体を殲滅せよ。」


「やるぞ。」

ういさんは、報酬に敏感だった。


4話へ続く。

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