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聖職者ういさん~ 超初心者編  作者: ばっちょ
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ういさんの物語 1話 治癒魔法

これは、実際にあった出来事を元にした ういさんの物語である。

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 私は、ういさん。この街、プロンテラ教会の聖職者。

今日も教会の慈善事業の一環で、街の広場におもむいて、負傷者の治療にあたる。

広場には、戦いで傷ついた者、病気がちの者、自爆した者などが集まり、治療を受けている。

ういさんも、他の聖職者仲間と同じように治癒魔法をかけて差し上げる。

「ヒール!」

負傷者の体は、光り輝き、治癒魔法が効果を発揮しているように見えた。

「より一層悪化した気がします。寒気がします。・・・大丈夫でしょうか?」

治癒魔法の効果が効いていないようだ。

「治癒魔法も効かないそんな時は、教会が祈りを込めて作った白いお薬、

ホワイトポーションを飲みなさい。市販のものとは比較にならない効能があります。」

「ありがとうございます。頂きます。」

負傷者は、白い飲み物を一気に飲み干した。すると、

「い、生き返った心地です。す、すごいです。ありがとうございます。」

ういさんは、女神のような笑顔で言葉をかけた。

「もし、危険な時は、これを飲みなさい。ひとつ1万銭です。」


「たかっ! で、ですが、命には替えられない。買います!」

「お買い上げ、ありがとうございます!」

ういさんは、今月も順調に売り上げを伸ばした。



 数日後・・・

教会内で、奉仕活動による売上成績の表彰が行われた。


「今月も、教会の奉仕活動による売上は好調だ。特に、ういさんは、抜群の売上成果を残した。」

ういさんは、司教から檀上に呼ばれ、表彰された。

「奉仕活動トップのういさんには、金一封が贈られる。おめでとう。」

「ありがたく頂戴します。今後も奉仕活動により人々の救済を率先して行う事を誓います。」


表彰式後、ういさんは、司教に呼ばれた。

「ういさん、このあと裏に来てくれ。」

「ういっす。」


教会裏手にまわると、司教からいきなり壁ドンされた。

「ういさん、今まで大目に見てきたが・・・、いずれ、ばれる。わかっているな?」

「う、ういっす。」


「治癒魔法を最高水準まで取得しているのは、知っている。

だが、問題はそこではない。ういさん、レベルとステータスを教えなさい。」

「わ、私のレベルは・・・ 3」


「3?・・・駆け出しの冒険者でも、レベル10は越えているというのに・・・3?」

「はい。この世界では右に出る者はいないくらい低いです。」


「ステータスはいくつ?特に知能指数を表す値は。」

「知能指数は、マ・・・、マイナス53です。」


司教は、驚き声をあげた。

「マイナス53?、何をどうやったら、そうなる?知能指数がマイナスに振り切ってるのか。」

「ものすごく、頑張りました。」


司教は怪訝な顔をしつつ、理解を示した。

「・・・内容はわかった。そのような特技を持つ人間は、おそらく居ない。試しに、私に治癒魔法を

かけてみてくれ。」

「大丈夫ですか? かなり効きますよ。」

「大丈夫だ。やってみてくれ。」


ういさんは、精一杯の祈りを込めて治癒魔法を唱えた。

「ヒール!」

司教は、片膝をつき、杖にもたれかかり、倒れる寸前になった。

「これが・・・マイナスヒールか! 危険極まりない。・・・ヒール!」

司教は、自分に治癒魔法を唱え、再び立ち上がった。

「良く分かった。ういさん、君はもっと、この魔法の活用方法を考えてみなさい。」

そういうと、司教は去って行った。


「活用方法ねぇ。さて、どうしたものか・・・。」

ういさんは、考えあぐねた。


後日・・・。

「近くで暴漢が暴れているとの通報が入った。ういさん、出番だ。行ってこい。」

司教がういさんを指名して、出動要請した。

「ういっす。」


現場へ駆けつけてみると、先日、ういさんが治癒魔法をかけた男が暴れていた。

「白いお薬をくれー!足りないんだ!」

ういさんは、すぐさま治癒魔法をかけた。

「ヒール!」


暴漢は、すぐにおとなしくなり、地に倒れ伏した。

「・・・やばい。石ころに当たっただけで、死にそうだ。・・・た、助けてくれ。」


ういさんは笑顔で近づき、優しい声でささやいた。

「今なら2万銭で、白いお薬を売ってあげます。買いますか?」

「か、買う。」


男は白い薬を飲み干し復活した。

「生き返ったー。ありがとうございます。死の淵から、蘇った気がします。」

男はさらに要求した。

「もっと売ってもらえないでしょうか。100個とか。」

ういさんも笑顔で応じた。

「100個セットで、今なら150万銭でお売りしましょう。」

交渉は成立した。


暴漢は鎮圧され、お薬の売上も好調。

今日も、とっても良いお天気です。


それから一ヶ月後、

教会内で表彰式が行われた。司教が壇上で発表する。

「ういさん、あのあとも、数件、暴漢を治癒魔法で沈めたらしいな。

都市の警備長から、感謝状が届いていたぞ。」


司教が感謝状を読み上げた。

「感謝状 ういさん どの。貴殿のおかけで、治安は保たれた。

日頃の慈善活動の評判も高く、貴殿に、アイドルの称号を授与する・・・とある。

おめでとう、やったな。」

ういさんは、困った。

「望んでもいないのに、アイドルにされた。なんでだ!」



(ういさん~ 治癒魔法編 終わり)

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