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君臨少女   作者:
第一章 魔術学園都市ユミナ編
15/41

第十四話「プライドと屈辱」


「けほっ、けほっ!………うおぇっ………」



 私は今、学園内にあるトイレの中で一人便器に向かって嘔吐していた。

 なぜ、いきなり“この私”が、誰が使ったかもわからない便器と睨めっこすることになったのかって?

 理由は単純………………計画通り試合に負けたからだ。




 ----二時間ほど前----





 試合は学園中央部に位置する対戦場で行われた。【正統なる冠掠】と【君臨少女】のメンバーが、対戦場内に入ると結界を張る先生たちの合図で試合は始まった。


 私の予想通り、正統なる冠掠のリーダーヘルミナは【白滅流(ホワイトフロウ)】を虚原素顕現させると、私に向かって一直線に突っ込んできた。その速度はリゼスよりも速く、正直目で捉えるのがやっとだった。


(予想通り、初手は私狙いね。リゼス、アルシャ頼んだわよ)


 私は、リゼスとアルシャに向かって目配せすると、すぐにヘルミナの移動速度を上乗せした中段からの強烈な攻撃を受け流すため後ろに下がる。

 リゼスとの特訓では、何度もシミュレーションしてきた動きだ。足に魔力を集中させて、上半身の力を抜くようにして思いっきり一歩下がるのだ。しかし………


(どういうこと!? 足に魔力が回らないッ、ていうか魔力自体世界から取り込めない!?)


 どういうわけか魔力を取り込むことができなかった私は、体重を後ろに掛けていたせいで、そのまま体勢を崩して尻もちをついてしまった。

 尻もちをついた状態で上を見上げると、先ほどまで私の上半身があった場所で、ヘルミナが思い切り剣を振ったのか、剣から漏れる光が綺麗な弧を描いていた。

 受け流すことはできなかったが、運よく攻撃を避けることはできたようだ。

 すぐに態勢を立て直そうと、体中に魔力を巡らせようとするが、やはり上手くいかない。

 原因を考えているうちに、ヘルミナからの次の一撃がやってくる。それを目の端で捉えることができた私は、なんとか黒臨緋を使って体の横全体で受け止めるようにしてその攻撃を防いだ。

 しかし、その反動で私の体は数十メートルは飛ばされてしまう。


 立ち上がり、顔を上げ、ヘルミナの方を向くと彼女は虚原素顕現を解除していた。そのまま素手で急速に迫ってきた彼女は私の腹に一発、鉛玉のような拳を打ち上げた。



「あがっ」



 その強烈な一撃により、私の体は宙に浮く。次に、宙に浮いた私は、サッカーボールのように蹴り飛ばされた。なんとか肺に酸素を送り込み、すぐさま次の動きに対処しようとヘルミナの方を向くが、彼女はその場に立ち尽くすだけで、何か次の動きに出る素振りはなかった。その隙にアルシャやリゼスの方を見るが、彼女たちは問題なくいつも通り戦えているようだ。



「正直、がっかりしました。あれだけ威勢のいい啖呵を切ったのですから、何か策を講じているのかと思いましたが……期待外れだったようですね」



 ヘルミナは冷淡な目でそう言うと、再び虚原素顕現させた剣を両手で握り、肩に乗せるようにして構え………………

 その後、私の視界は光に包まれて消失した。





 目を覚ますと医務室のような部屋で、ベッドの上に寝かされていた。

 上半身を起こし周りを見渡すと、リゼスとアルシャも私の隣のベッドで眠っている。机の上に置かれた水を飲もうとして手を伸ばすと、試合の記憶が頭の中にフラッシュバックしてきた。


 圧倒的実力差を前に、為す術もなく尻もちをつき、挙句の果てにサッカーボールの様に蹴り飛ばされる私。なによりも私のプライドを傷つけたのが、彼女が一回、虚原素顕現を解除したということだ。私は完全に舐められていた。そんな私を何かまずいものでも食べたかのような目で見つめるヘルミナの瞳。それと………………気絶する前に一瞬目の端で捉えてしまった、観客達の中にいたシヴィの失望したような顔。

 怒り、絶望、恐怖、………………そして、屈辱。様々な感情が入り混じり腹の底から逆流してくる。ついに、耐えられなくなってしまった私はベッドから飛び出して、男性用か女性用かの確認もせずにトイレへと駆け込んだ。




 ----





 そして現在に至る。



「けほっ!………………けほっ!………」



 作戦通りだった。負けることは作戦のうちだった。それなのに………どうして私はここまで苦しんでいるのだろうか。作戦はうまくいったはずなのに。圧倒的経験不足だった。私は負ける事に慣れていなかったのだ。どこかで期待している自分がいた。きっと私ならこの学園でも最強の相手に対してだって、それなりに戦えると思っていた。負けるとしても、ここまで圧倒的な実力差があるとは思っていなかった。

 頭の中では分かっているつもりだったのに、みんなの期待に応えられない。準備していたはずなのに、それが何の意味もなかったかのように消えていく。そのことが、こんなにも恐ろしい事だったなんて……



(最悪の気分。聴衆の面前で敗北することが、ここまでの屈辱だったとはね……)



『レイサマ!レイサマ!』


 私の後に遅れてフラフラとついてきていた虚機友導が呼び掛けてきた。



「なによ。あんたも私に失望したんでしょ?ご主人様がこんなプライドだけ高い役立たずで、がっかりした?」


『………………』


「なんとか言いなさいよ!」


 大声で叫んだ声は誰もいないトイレの中でよく響いた。



『ナマエ…ナマエ………チョットダサい』


「………………は?」


黒臨緋(レインブラス)ってナマエ、アンマリスキジャナイカラ、カエテイタダキタイ…』


「………………」



(いきなり何を言い出すのかと思えば名前の話?『空気を読め!』と言いたいところだけど、無機物に対してそんなこと言う方が無理があるのか………)


 なんだか力が抜けてしまった私は、トイレの床にへたり込んだ。その私の頭上を先ほどから呑気にしゃべる虚機友導がくるくると回っている。



「変えてほしいって言っても、どんな名前にしてほしいのよ。そもそも、あの名前はあんたにじゃなくて刀につけた名前だったんですけど」


『カタナハボク、ボクガカタナ』


「もう、わかったわよ。でも、あの名前、結構気に入ってるから、それとは別の名前をつけてあげる。どんなのがいいわけ?」



 私は気怠げに言葉を投げた。


『アノナマエヲ、キニイッテイル!?』

「今なんか言った?」


『イ、イエ。デハ………………ソウデスネ、ナニカモットカワイラシイナマエヲ、イタダキタイ!』



(可愛らしいって何よ。可愛いかどうかなんて主観的な問題じゃない。そもそもこんな無機物が可愛いと思うものと、私が可愛いと思うものが一致するわけ?)


 壁に頭を支えられながら、私はしばらくボーっと頭上でクルクルと回る虚機友導を見つめていた。この時の顔は私史上最もアホらしい力の抜けた顔をしていたと思う。


虚機友導(ボイド)だから………………)



「じゃあ、あんたの名前は今日から【ボド】よ」



 我ながら良いネーミングセンスだと思った私は、死んだ目の状態で口元をニヤリとさせながら命名した。もしこの虚機友導との会話が私の中の幻想、妄想だとしたら、側から見たら相当惨めな姿だと思い、変な笑いが出た。



『…ボド………ボド………………ボド!イイデスネ!マエノヨリモ、コッチノホウガ、ズットイイ!』



 私の付けた名前に満足したのか、ボドはその回転スピードを上げて、私に微かな風を送ってくる。



「はあ、じゃあ、もう行くわよ」



 回転を続けるボドを手でどかすと、私は立ち上がり、先ほどまでいた部屋へと戻った。


(絶対、黒臨緋の方ががいいと思ったんだけど……………)




---




 部屋へと戻ると既に起き上った二人と、椅子に座った男が一人いた。



「あ、レイ、どこ行ってたのさ!早くさっきの試合の結果について話し合おうよ!」



「私がんばった。レイに伝えることたくさんある」



 アルシャは手を振りながら、リゼスは得意げな顔で、医務室へと誘い込むようにして私に声を掛けた。


 二人の反応に思わず私は歯をギュッと噛みしめてしまう。

 二人は私が気絶した後、一体どうなったのだろう。医務室で眠っていたということは、きっと二人も、私の後にやられたということだ。それなのに二人は、前向きにこれからのことについて考えようとしてくれている。そもそもこの計画を最初に考えて、【正統なる冠掠】に苦手意識を持っていた二人を説得したのは私だったはずなのに……本当に情けない。


 この世界では『黒義院』という名前も、それによって形成されてきた私のプライドもなにもかも、私が前の世界で手にしていたものは役に立たない。私は黒義院冷として生まれ、そして黒義院冷として育てられた。だからこそ、この家名は私にとってはアイデンティティの奥深くに位置している。それをきれいさっぱり捨てきることはきっとできないだろう。でも………………つまらないプライドのために二人の足を引っ張るのだけは、嫌だ。



「…………はい!ぜひお願いします!」



 拳をギュッと握りしめると、二人の笑顔に答えるように、私は足早に二人の座るベッドへと向かった。



「…ところで、この人はここで何をしているんですか?」



 ベッドに座ると、本を読みながら椅子に座っているトノワ先生の方を見ながら二人に質問をする。



「何してるって、一応先生ですから。私たちが張った結界に対しては絶対の自信がありますが、もしも、ってことがありますからね。こうやってお見舞いにきたんですよ。それと、抑魔リングの回収に」


「そうですか」


抑魔リングとは今私が右の太ももに装着しているガーターリングのようなものだ。パーティー戦を行う時はこれを体のどこかに装着することが義務付けられている。先生たちが張る結界内で私達に与えられる限界を超えたダメージをこのリングが肩代わりしてくれるのだ。一体どういう仕組みかはわからないが、これのおかげで私たちは死ぬことなく気絶するだけで済んでいる。

私は太ももにつけていたリングを外すとトノア先生に投げ渡した。



「いやーでも三人とも元気そうでよかったです」



「確認が終わったのなら、早く帰っていただけますか?」



 この後三人でこれからの計画についての話し合いをするので、話を聞かれたくなかった私は、先生を催促する。



「わかりました。…あー今から言うことは独り言なんですが………………デマルクスが非公式の虚列審査官の潜入に成功したとか………………ああ、あと、ヘルミナさんは絶大な魔力吸収力を持っているとかいないとか………。それでは、失礼します」



 そう言うとトノワは本をポンッと閉じて私達三人分のリングを持ちながら足早に部屋を後にした。


(………………なるほどね)



 デマルクスの協力者であるトノワ先生からの情報を理解すると話を結果報告の方へと戻す。



「まずは謝罪します。時間稼ぎをするつもりでしたが、上手くできなくて…ごめんなさい」



 私は立ち上がると二人に対して深々と頭を下げた。



「ちょっ、ちょっとやめてよ。作戦通りだったよ。ボクたちも【正統なる冠掠】と戦うのは怖かったけど、レイが真っ先に囮になってくれたおかげで、前回よりも遥かにいい試合ができたと思うよ」



「うん。レイのおかげで上手くいった」



 顔を上げると二人は、『そんなことする必要ない』という顔で私のことを見つめていた。



「ほら、レイも早く座って。今から報告をするからね!」



 そう言うとアルシャとリゼスは、先ほどの試合に関する報告を行ってくれた。


 私がヘルミナのヘイトを集めている間、アルシャとレイはヘルミナとすれ違うようにして一直線にジーナ・ユーの方へと向かって行った。リゼスとジーナが戦っている間、アルシャはヘルミナの弟であるアスミルの警戒を行っていたようだが、何もしてこなかったそうだ。


 そして、肝心のジーナについての情報だが、どうやら彼女は接近戦タイプのようだ。つまり彼女は虚遷士ということになる。彼女が使うのは武器ではなく、虚機友導をチョーカーのように首につけて戦っていたらしい。リゼスが直接戦った感じだと、彼女とのタイマンならなんとか勝つことができるかもしれない、とのことだ。これは、かなりの戦果と言っても過言ではないだろう。不確定要素であったジーナをリゼス単体で倒せるのならば勝率はぐんと上がる。


 しかし、私が倒された直後、私を倒したヘルミナは超高速でリゼスの方へと向かって行き、ジーナに気を取られていたリゼスはそのままKO。

 アルシャも最後までなんとか情報を得ようと頑張ったらしいが、やはり彼女もヘルミナが近づいてきた途端に魔力を練ることができなくなり、そのまま速攻でKOされたようだ。


 だが、ヘルミナが近づいてくる直前、弟であるアスミルに関する情報を少しでも得ようと思ったアルシャは、彼に対して渾身の水波放出(アクアディミシス)を放った。その攻撃に対しアスミルはこの世界での雛型ともいえる基本魔法、風属性の強風(ストロングウィンド)で対抗してきたようだ。もちろん、三年生であれば誰でも使える基本魔法よりアルシャのオリジナル魔法である水波放出の方が威力は高い。そのまま、押し通せる、というところでヘルミナが近づいてきて、アルシャも魔力を使えなくなり、そのままKOということだったらしい。



「こんな感じだったんだけど、これからの作戦に何か使えそうな情報はあったかな?」



 説明を終えたアルシャが足をバタバタとさせながら私に聞いてきた。今回【正統なる冠掠】と思っていたよりも戦えたこと、そして計画が上手くいったことがかなり嬉しかったようだ。



「………はい。今回はかなりの収穫だったと言えます」



 顎に手を当て、二人の話を頭の中でまとめながら、私は数秒考えこんだ。



「今回の試合では、相手の弱点をつかむことができたと思います。これまでの彼女たちの試合を直接見たわけではないので、ほかのパーティーも気づいていることかもしれませんが………」



 前振りを行うと、私は二人に今回のパーティー戦で得ることができた情報から導きだされる推測を話し出した。


 一つ目の推測だが、【正統なる冠掠】はヘルミナのワンマンパーティーなのではないかということだ。これまでは、ジーナ・ユーに関する情報が取れないほど、ヘルミナの力は絶大だったようだが、どうやらパーティーメンバー全員が彼女ほどの実力を持ち合わせているわけではないようだ。仮にこの推測が当たっているのなら、ヘルミナさえ何とか攻略することができれば私たちにも勝機があるということになる。


 二つ目の推測は、ヘルミナの弟であるアスミルが攻撃魔法に関してはそんなに得意ではないという可能性だ。アルシャの最大火力である水波放出を基本魔法の一つである強風(ストロングウィンド)で防ごうとするだろうか?この魔法なら私だって使うことができる。アルシャのことを舐めてかかっていたという可能性も捨てられないが、この行動を楽観的に見るならば、彼は支援魔法特化型と推測できるだろう。 

 なぜなら、彼が得意とする魔法として記されていた聖域展開(ホーリーロード)は支援魔法だからだ。この推測が正しければ、やはり【正統なる冠掠】攻略のカギはヘルミナ突破ということになる。


 そして三つ目は、この推測は前の二つほど確信を持てるものではないが、ヘルミナが近づいてきた途端に魔力を世界から上手く吸収できなくなってしまったことについてだ。これについては、先ほどのトノワ先生の独り言にヒントが隠されているのかもしれない。


 トノワ先生は『ヘルミナは絶大な魔力吸収力を持つ』と言っていた。このことは、ヘルミナが世界から魔力を吸収する力が、私たちとは桁違いだと解釈できる。もし仮に、この世界に満ちている魔力の元となる虚原素が場に一定量しか存在しないとしたらどうなる?その場に、魔力吸収力が高い者と低い者がいたら、一定量しか存在しない虚原素は一体どちらの方へ向かって行くだろうか。もちろん、前者の方へと向かって行き、後者に残るのは虚原素のないただの空間だけになる。


 この説が仮に正しいとすれば、ヘルミナに対抗するためには、現状彼女と同等の魔力吸収力になるまで成長するしかないということになる。成長できなければ、魔装を身体に纏わせることができず、彼女に対し生身で戦うことになる。



「リゼスはヘルミナが近づいてきたときに、何か違和感は感じませんでしたか?」



 リゼスは先ほどから私の話を熱心に聞いてはいるが、頭を悩ませているようだった。



「うーん、正直覚えてない。一瞬だったから」



 リゼスの魔力吸収力はこのチームの中では最も高い。だから、そんなリゼスが『敵わない』と言ってしまわないか、私は不安だったが、彼女は憶えていないようだ。まあそれも、仕方ない。私だって瞬殺だったのだ。ジーナの相手をしていたリゼスには余裕なんてなかっただろう。



「わかりました。それでは私たちの当面の目標は『魔力吸収力を上げる』ということでいいでしょうか」



「オッケー」



「わかった」



「そこでなんですが、………………そもそも、魔力吸収力ってどうやったら上げることができるのでしょうか?」



『やってやるぞ!』という顔をしていた二人は、根本的な疑問に気が付くと『確かに』という顔をして先ほどとは真逆の反応を見せる。



「「「………………」」」



「あ!」



「何か思いつきましたか、アルシャ」



 三人で一緒になってしばらく頭をひねらせていると、アルシャが一番に沈黙を破った。



「回復魔法を教えるときに、回復魔法は魔力消費量が最も多いって話したよね」



「はい」



 今日までの特訓で、私はアルシャに、彼女が使うことができる基本的な魔法についてはすべて教えてもらっていた。どれも実践で使えるようなレベルには達していないが、ある魔法とほかの魔法との区別くらいなら付けられる。


 この世界での回復魔法は、火、水、風、土、氷、雷、聖、邪、無の九つの虚原素属性を持っており。治癒する転拡者と相性の良い属性の回復魔法を利用することで効率的に治癒することが可能になる。例えば、得意な虚原素属性が風だとしたら、その人物に回復魔法を施すときは風属性の回復魔法、つまり風の虚原素を利用した回復魔法を使用することで、最も直りが早くなる。もちろん他の属性の回復魔法でも直せることには直せるが、効率が悪いということだ。


 そして、回復魔法はその特徴として、ほかの魔法に比べ魔力を大量に消費するという特徴を持っている。よって、回復魔法を使用しながら、魔装を自らの体に纏わせることは困難極まりないことらしい。



「三番人気の【声なき星明り】ってパーティー覚えてる?」



「はい。………………そうか、そのパーティーのリーダー【ユティ・コフィン】は凄まじい回復魔法の使い手」



「そう。だから、彼女に話を聞けば何かヒントがもらえるかもしれないと思ったんだ」



(確かに彼女なら魔力吸収力向上のヒントを握っているかもしれない。でも………………)


『敵に塩を送るような行為をパーティーリーダーがするだろうか』という考えが私の頭には真っ先に浮かんできた。私が考え込んでいるのを表情から読み取ったのか、アルシャが言った。



「今、敵に塩を送るようなことをするのかって思ったでしょ、レイ」



「え?」



 心の中を読み取る魔法でも使ったのかと、私は目を見開いた。



「ボク、なんとなくレイが考えてることがわかるようになってきた気がするよー」



「え、ええそうです。敵に塩を送るようなことを彼女がするでしょうか?」



「レイはまだ彼女と話したことなかったよね。じゃあ、明日話してみようよ。そうすれば分かるよ!」



 アルシャは自信があるのか、得意気な顔でそう言った。

 よって明日、私は授業終わりの後【声なき星明り】と初の接触を試みることになった。





 ちなみに、この会話の間、リゼスはずっと一人頭を悩ませていた。



「魔力吸収量?ってなに?」




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