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2話:希望と絶望

しばらくすると、フレーが駆け寄って縄を解きLv5の回復魔法『至上之祝福グランド・ケア』で治療してくれた。


フレーは鑑定のスキル持ちで、長年この家に仕えているハイエルフだ。


彼女はフード付きの紫のローブを着た金髪碧眼で容姿端麗な女性だ。


「申し訳ありません!私に力さえあれば・・・。」


「頭を上げてくれフレー。君に罪はないよ。」


「あ、ありがとうございます。しかし・・・。」


「大丈夫だ。私は大丈夫だから・・・。」


かろうじて私が自殺もせず、道を外れないのはすべて彼女のおかげだ。


彼女を連れてこの家を出ていくこともできたが、彼女は顔も名も知れた一級の鑑定士。


家を捨てて逃げたばかりか、その家に仕える最重要人物をさらったという噂が流れたらそれこそ彼女に迷惑が掛かってしまう。それに・・・。


「ハロルド様。」


「なんだ?」


「希望を捨ててはいけません。魔法が使えなくても、知恵の神ディプートス様の神殿で行われるスキルギフトの儀式で魔法と見間違うほどのスキルがもらえるのですよ!」


「そうなのか!」


「ハイ!」


まぶしいほどの笑顔で答えた彼女に、魔法が使えず両親や弟に虐められ絶望の日々を送っていた私は一抹の希望を見出した。


あれから2年、今日は待ちに待ったスキルギフトの日だ。


家族と一緒に神殿へ行くと、スキルギフトを授かる親子連れの貴族たちでごった返していた。


フレーによると、知恵の神に仕える神官長様がスキルギフトの儀式を行うらしい。


ちなみにスキルギフトの時間帯は身分によって分かれていて、今は貴族の子供たちがスキルをもらう時間だ。


スキルギフトには、空位となっている宮廷魔導士を探すために王室の方々も参加している。


「はあ、いつ見てもティアナ王女さまは綺麗だな。」


思わず心の声が漏れてしまった。当然だ、彼女は王国でも千年に一度の美少女と呼ばれているからだ。


手入れの行き届いた長い金髪、宝石のようにきれいな碧眼、ピンクドレスから覗く、透き通るような白い肌。


「いつか私も彼女に見初められたいものだ。」


まあ、魔法が使えない私は彼女の眼中にないだろうがな。


名前を神官長様に呼ばれた貴族の子供たちは、元気よく返事をして祭壇に上がり次々と何かしらのギフトを授かっていった。


スキルはフレーの鑑定はもちろん、嗅覚強化、視界強化、筋力上昇、記憶力上昇、各属性魔法強化(闇、火、水、風、錬金、錬成、光のどれか一つ、あるいは確率は低いが2つ3つほど)、防御力上昇、攻撃力上昇、回復力上昇、従属などが存在する。


勿論、これらは基本的なスキルでこれに当てはまらないユニークスキルというものがある。


フレーから聞いた話だが、ユニークスキルは主に召喚士によって異世界から召喚された勇者と呼ばれる人物と、生まれつき魔法が使えない人が授かることが多いそうだ。


かつては前者が多かったそうだが、今はもっぱら後者の方が多い。


理由は、博識なフレーでもわからないそうだ。


そして、いよいよ私の番だ。


「ハロルド・レオン・マホウスキー君!」


「ハイ!」


神官長様に呼ばれた僕は元気よく返事をして壇上に上がった。


すでに私が魔法を使えないことは、貴族の間では周知の事実のためにあちこちから悪いうわさ話が聞こえてきた。


「見て、あれが噂の無魔人よ。」


無魔人とは、文字通り魔法が使えないものの蔑称である。


「見ちゃダメ!無魔人になっちゃいますよ。」


父は、もともと曇らせていた顔をさらに曇らせた。


緊張の面持ちで私は神官長様にスキルギフトの儀式をしてもらった。


神官長様に頭をポンポンと二回たたいてもらうと、彼の手が光り輝きその光が収まると儀式が終了した合図だ。


そして、スキルの名称や内容を神官長様の口から聞かされるのだ。


「ふむ・・・君は確か魔法が使えないんじゃったな?」


「は、ハイ。」


神官長様の表情も父親同様曇っていた。


「『空気操作』、それが君のユニークスキルじゃ・・・。」


「はい?!」


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