第九話
空き教室の一つに移動してきた。
放置されてる机の一つずつに二人で腰掛ける。
瀬名は座ってすぐに話を切り出す。
「ここだけの話ですが実は今回の選定は私の占いで決める案が出ておりまして。」
「あくまで一般的意見なのだけど…。」
思わず口を挟んでしまった。
しまった。とも思ったが言ってしまったことは仕方ないので続ける。
瀬名の顔色は変わりなかった。
「あなたの占いで決めたとしったら公平性を疑われる可能性があると思うのですけどそれは大丈夫なのかしら?」
私は可能なだけ気遣うように言う。
実際疑われて被害が出るのは彼女と選ばれた人だ。
「選考方法は毎回伏せてますので大丈夫というのが教師の方々の意見です。」
無責任な気がする。
が、私は部外者ではある。
口出ししすぎるのは問題かもしれない。
「あなたはこの方法についてどう思いますか?」
私の言葉に瀬名はにこっと笑って答えた。
「私はなんでもいいです。」
主体のない答え。私は頭を押さえた。
「やりたくないのでしたら断わってください。いつも通り決めればいいのですから。無駄にあなたがリスクを負うことはありません。」
私の言葉に意外そうな顔をする。
何か変なこと言ったかな。私は首を傾げた。
その様子を見て瀬名はあ、いえと少し言葉を濁して
「私が選ばれるようにしなさいというのかなと思ってたので。」
「不正をしてなっても意味ないでしょう。もし、占いで決めることになっても私に気を使わないでくださいね。その力は正しく使われるべきです。」
私ははっきりとそう切り捨てる。
それに選考者なんて本当に興味ない。
私は平穏に楽しく私の時間を過ごしたいだけだ。
思考と行動が矛盾していることも多々あるが。
「そうですね。お話聞いて決めました。私占います。」
なんでそうなるのか。理解できなかったが本人が決めたならそれでいいとも思った。
「そうですか。何か面倒ごとがあったら話してください。相談を受けた(いや、一方的に話されたんだけど)からには最後まで見ますよ。」
「はい、そうします。」
そう笑う彼女は前の印象とは異なった。
もとからそうしていれば受け入れやすいのに。
私はそう思った