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第七話

とんとんと扉をノックする音が響く。

そのあと、少ししてきぃと開く音が聞こえた。

私は窓際に座って外に咲いている母が育てた美しい花たちから彼女へと目線を向けた。

ベルはいつも通りのかわいらしい顔で…しかし、少し驚きの感情を混ぜながら

「おはようございます。ナターシャ様。本日はお早いお目覚めなのですね。」

そう話しながら仕事に取り掛かる。

「寝坊助な主人が早く起きてお仕事減っていいでしょう。」

私の皮肉に彼女は残念そうな声で

「でも、可愛らしい寝坊助お嬢様が見れないのは残念ですね。」

そう笑って返してくる。

私はそっと笑ってまた窓の外を見る。

少しして身だしなみを整えるためにヘアブラシを持ってベルが私のもとに来た。

「お嬢様。本日も綺麗な髪でございますね。」

「ありがとう。私も好きよ。」

いつものルーティーン。

今日は時間に余裕があるのでいつもより長く。

「ねぇ、ベル。」

私はできるだけ自然に声をかける。

鏡越しのベルは首を傾げた。

「最近…でもなくていいけどなにか噂になっていることはないかしら?」

「お嬢様の噂なんてそれこそ両の手では数えられないほどありますよ。」

さらっと手元から目を離さないようにベルはそう返す。

私はそうね…と少し考える振りをして

「例えば私が夜歩いている姿を見た…とか。」

私の言葉に対してベルは特に大きな反応は見せなかった。

「いえ、私は知りませんが。何かそんな突飛のないこと思いつくことでもあったのですか?」

そう返されてしまった。

こうなっては下手に話を聞こうとしても心配させるだけだろう。

「いえ、そういうわけではないのですけど。」

私はあわてて話題を閉めに入る。

幸いベルも気にしてないのか。それ以上は聞いてこない。

私はほっと息をついた。


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