第二話
唐突だが私の通う学校。
白鷺高校には特殊階級と言うのがある。
ラングスペルス
と言われるそれは名前の通りな様々な分野から秀でた天才のみその肩書きが与えられる。
その基準は厳しく、特待生入学した子ですら弾かれているのが現状だ。
そんなラングスペルスには現状六人いる。
みんな頭がよかったり、異常なまでの身体能力だったりはたまた、変わり種で言えば超能力なんてものもある。
私の場合財力である。
訂正。
財力は副次期的なものだった。
厳密に言えば経営力か。
中学のとき、戯れで始めた会社経営がいつの間にやら世界的なものになってしまった。
その月日が二年。我ながら異様である。
その経営手腕を買われてラングスペルスに入ることになるのだが。
会社は中学三年の夏頃信用できるものに引き渡した。
ちょうどその頃に父の仕事で日本に来ることになり私はこの白鷺高校に入学することになった。
そして、去年の入学式前。
海外から来た私はもちろん注目を集めた。
ブロンドの髪にキリッとしすぎてると言っていい目付き。そして、親譲りの美少女フェイス。とくれば当然だろう。
…実際はそれ以外が一番だったのだが。それは思い出したくないのでそっとしておいて。
そして、どこからか「あのお嬢様は経営の時やばいことしてた」とか「邪魔者には手段を選ばず制裁を与える」などという噂もたっている。
私には聞こえてないと思ってるのか。
そんな結果私は学校では特定の人を除き近づく者はいなくなった。
そして、今日。
いつもどおり、高校近くまで車で送ってもらい校門より学校に入る。
私に気づいた生徒達は先輩、後輩問わず道を開けていく。
モーゼだったか海を割ったという話があったが私は人の海を割れるらしい。
もう慣れたとはいえ気に入らない。
たまたま私と目が合ったと思った男子はひっと悲鳴をあげる。
私がため息をつくとその男子の近くにいたものが軽く肩を叩く。
男子はうなだれてしまった。
誓って言おう。
私は何もしないと。
目線を上にあげる。
空は先ほどと変わらず青いが何故か悲しく感じた。
と、どんと何かにぶつかった。
訂正。ぶつかってきた。
私はよろめいたがなんとか体勢を立て直した。
「ごめんなさい。」
そんな声が聞こえる。
周囲からどよめきと可哀想にと同情の声が聞こえた。
「ええ。あなたは?」
私の声。
ぴたっと音がしなくなった。
目線を移すとぶつかったであろう女の子が私を見上げている。
不思議そうに少し首をかしげたように見えた。
まじまじとわたしを見てどうしたというのだろう?
「ナターシャ様。大丈夫ですか?」
二人の女の子がかけよってくる。
名前は左京と右京。
双子で右にサイドテールがあるのが右京。
その逆。左にあるのが左京である。
私がかえす前に左京が叫ぶ。
「あなた!ナターシャ様にぶつかるなんてどういう了見?」
右京もこくこくと同意する。
女の子は突然のことに口をぱくぱくさせた。
「ナターシャ様。少し外していただいても……」
「よしなさい。みっともない。」
大衆の面前で女の子を怒鳴るなどもってのほかだ。
まるで、いじめているようではないか。
「その子には後で私から話しておきます。」
ざわざわとまた周りがざわついた。
そうでも言っておかないと……。
「しかし。ナターシャ様。」
「いいから。それとも私を遅刻させる気かしら?」
左京は収まらないだろう。
私の言葉に左京は
「申し訳ありませんでした。」
と引き下がった。
「大丈夫ですよ。それに」
これは私のキャラじゃないので左京の耳元で
(私のこと心配してくれてありがとう。)
少し赤くなる左京を置いて私は歩き出す。
場所を見て右京にもお礼を言わないといけない。
それにしても、朝の予感はなんだったのだろう?
私はため息をついた。