第十話
四月の終わり頃。この学校では二つ立て続けにイベントが行われる。
一つは学級の垣根を越えて行われるレクリエーションだ。
各学年から二人ずつ。六人一組になり学校内にちりばめられているお題をクリアしていくそんなイベント。
冷静に考えて一学年八クラス。一クラス三十人として合計生徒数七百二十人。これを六で割って百二十グループである。
いくら敷地が無駄に広いとはいえこの数のグループが動き回るのは無理がないかと思ってしまうが恒例行事なので毎年何とかなっているのだろう。
運営する先生方も大変だろうと思ってしまう。
そんな去年も思ったことを考えながら私は自分の席からいまだに満開を維持してる桜の木を眺めていた。
ニュースではすでに桜前線?は北も北の方へ上がっているらしい。
実際町の方の桜はすでに葉桜へとなっている。
疑問持ってるの私だけなのかしらね。
頬杖を突きながらとめどなくどうでもいいことを思考していく。
春の麗らかな陽気というべきものにあてられて少し眠気がする。朝のホームルーム前。
眠気が覚めるような大きさで放送の音が鳴る。
内容を要約すると選考者が決まったので預冠式を近々行うとのことだった。
今年は選考が遅れていたのか遅めの式となる。
この預冠式こそ瀬名が選考に携わっている選考者に冠を預けるイベントだ。
選考者には決まったことが事前に通知されてると思われるので私には関係なさそうだ。
誰に決まったんでしょうね。
私はあくびを噛み殺しながらぼうっと考えた