「第三話 冒険者としての始まり」
この世界に転生してから四日が経った。
だいぶこの世界のことも分かってきた。
まずあの神も言ってたようにこの世界は本当にRPGゲームの世界そのものだった。
街から出ればモンスターがいるし俺たち一人ひとりにレベルやHP、MPなんかもあってそのまんまだ。
そしてHPが尽きれば死ぬということだ。
昨日も町の外に出て行った奴が二人死んだと聞いた。
多分ガンガン先へと進んでいって格上のモンスターにでもやられたのだろう。
今は最初から持っていた500Gでボロい宿屋に泊まらせてもらっているが金ももう少しで尽きてしまうし早く仕事につかないといけない。
そこで真っ先に俺の頭に思い浮かんだのは冒険者だ。
もちろん冒険者は命の危険が付きまとう危険なものだと理解している。
しかし俺はさっき言った死んでいった奴らみたいにはならないと断言できる。
なぜなら俺はMMORPG歴15年で世界ランキング一位だった男だ。
他にも商人などになるなどの選択肢もあるがやっぱり俺には冒険者とかの方がしゃくにあっていると思う。
ということで今から職業登録ができるという酒場まで行ってこようと思う。
---10分後---
「ここが酒場で間違いないよな?」
内装は市役所みたいな感じで受付が何個も並んでいる。
「すみません。冒険者で登録したいんですけど。」
とりあえず受付の女の子に声をかけてみる。
多分この子もNPCなんだろうな。
「分かりました!ではこちらにサインをお願いします!」
俺は言われるがまま紙に自分のサインを書いた。
「ありがとうございます!登録手続き完了しました!」
「え?これだけですか?」
随分と簡素なもので俺は少し驚いた。
まあこんなものなのかもしれないが。
すると自分から見て左斜め上からクエスト一覧が現れた。
ちなみにオプションメニューの開き方は自分から左斜め上の空中を横にスライドしたら出てくる仕組みらしい。
よくできてるものだ。
俺はクエスト一覧を凝視した。
なになに?
スライムを三匹討伐?
推奨レベルは1か。
まずはこれからだな。
俺は受注ボタンをタップしてクエストを受けた。
「えっと~。まず場所はどこなんだ?大体見当はつくが。」
俺はクエスト詳細欄に目を向けた。
クリア条件:スライム×3
対象生息地域:グランナ平原
グランナ平原ってこの街を出てすぐの所か。
近いしもう行くか。
俺は街のゲートに向けて歩み始めた。
ていうかホントにTHE RPGって感じの世界だなあ。
「ていうかどうせなら異形種に転生したかったなー。」
そう。宿屋のNPCから聞いた話なんだがどうやらこの世界に転生する際に人間族だけでなく前世の特徴を持った獣人や異形種、アンデット族やエルフや巨人、その他いろいろな種族になった奴がいるんだそう。
なぜ俺が異形種になりたいかって?
理由は単純明快。
種族によって伸びるステータスに開きがあるからだ。
その中でも一番最弱なのは人間族で最強なのが異形種だからだ。
まぁ異形種は外見が化け物みたいな姿だから俺のやっていたゲームでも嫌われていることが結構あったが俺はどっちかっていうと俺はそう言う外見の方が好きだったりする。
ま、今のところ種族を変更できるって話は聞いたことがないんだけどな。
ま、人間族でも頑張っていきますかあ。
すると俺はゲートの前までやってきていた。
まわりにはたくさんの人でにぎわっている。
みんな徐々にこの世界に適応しつつあるようだ。
俺はそんなことを思いつつゲートをくぐった。
ゲートをくぐった先には緑の平原が広がっていた。
「うわ。やっぱり結構人いるなあ。」
俺はあまり人の少ない場所へと移動しながらスライムはいないかとあたりを見渡す。
ていうか戦闘ってどんな風にするんだ?
武器屋で無料でもらった木の剣があるがこんなものではたして倒すことができるのだろうか。
そんなことを考えていると地面に生えた草むらからガサゴソと何か物音がするのに気が付いた。
ようやくお出ましか?
草むらの目の前まで生き腕に剣を持ち物音の正体が現れるのを待つ。
ワサ!!!
草むらから現れたのは随分とかわいい姿をしたスライムであった。
スライムLV.1
「よっし!初戦闘開始だ!俺の経験値の糧となれ!」
俺は剣を強く握りスライムに向けて走り出した。
スライムは俺に気が付きびっくりしたのか後ずさりする。
しかしもう遅い。
「よし!間合いに入った!」
俺はそれを見逃さずスライムに剣を振りかざした。
するとスライムのHPバーは見る見るうちに減っていきついにはHPがゼロになりスライムは動かなくなった。
「おっしゃ!初戦闘初勝利!!」
それと同時に俺に経験値が入ってきた。
「経験値3か~。レベル2まで後7。一応スライム三匹でクエストクリアだけどレベル5ぐらいまではいきたいからここらへんで粘るか。」
俺はこの先もっと強い敵がいることに備えてスライムだけでレベル5まで行くことを決めた。
一時間後
「いやあ。結構早かったなー。」
もう少し時間がかかるかと思っていたので俺は少し拍子抜けしていた。
レベルアップしたことによって俺は二つのスキルを手に入れていた。
「よし。じゃあ達成報告してくるか。」
たしか達成報告ってクエスト一覧からやるんだったよな?
俺はクエスト一覧を開いた。
あったあったこれだな。
画面に表示されているクエスト達成報告を押した。
その瞬間壮大な音楽と共に達成報酬である経験値とゴールドを手に入れた。
さてと。
今日はもう疲れたし次のクエストは明日にするか。