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堕天転生戦記  作者: 里原 健
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戦闘への序章

 拙作を覗いてくださりありがとうございます。

 戦闘が明けて平和な時ですが、静かに大きな戦闘が近づいてます。

 ご意見、ご感想があれば是非とも教えて下さい。

 よろしくお願いします。

 チュンチュンチュン!

「んあー、朝か?」

 朝の鳥の鳴き声でガルバは目を覚ました。朝靄が薄く漂う中、目覚めた場所は汗臭くキツめの体臭が漂う広場だったが、とても気分が良かった。

 昨夜、ルと結ばれたのは奇跡のような出来事だった。まだ一つになった感覚が残っていて幸福感に満たされていた。

 体を起こして見回すと、何もかもが美しく映えた。例え、目の前の大男が大欠伸していようが、だらしのない格好をした男が股間をボリボリ掻いていても変わらなかった。ちなみに二人の男はチェーザとドルトンである。

「グーっ。」

 ガルバの腹の虫が鳴った。

(腹減ったな。朝食が欲しい。………、そうだ!ルに会えるかも!)

 ガルバは元気良く立ち上がり飯場に向かった。

 ガルバが軽い足取りで走り去る様をを見たジゾーは、ポツリと微笑みながら呟いた。

「若いなぁ。恋していやがるな。」


 飯場には配食の列がもうできていた。ガルバはルが配っている列を見つけると直ぐに並んだ。

 一歩一歩が待ち遠しく思えた。

 椀と匙を受け取り、ルの前に空の椀を突き出した。ルはガルバのことには気付いていたが、敢えて目を逸らしていた。

 ガルバは小声で、

「オハヨー。」

 と声をかけた。

「………、オハヨ。」

 ルは椀に食事を盛りながら返事をした。

 二人は視線を一瞬だけ合わせた。その時だけ互いに笑顔になれた。

 そこから先は他人である。昨夜ルに言われた通り、奴隷の男女の交際は厳禁であった。

 そうしてガルバは列から離れて飯場の隅で朝食をとった。相変わらず濃い旨味の粥であったが、とても美味しく味わった。

 そんなガルバの左隣にドスンと誰かが座った。

「よお、夜はお楽しみだったか?ガルバ?」

 チェーザであった。

「おい、褒美の中身は口外無用なんだろ?」

 ガルバは小声で答えた。

「同じ夜襲に参加したんだ。秘密はないだろ?なぁ、ノバスコ?」

 チェーザの反対側の右隣に長身痩躯のノバスコが座った。

「そりゃ、そうだろ?ヤッパリ兵士の褒美に女は欠かせないって!」

「全くだな。女は細いのに限るぜ。」

 チェーザがニヤつきながら朝食を頬張った。

「ふくよかで柔らかい女は最高だぜ。」

 ノバスコもうっとりしながら咀嚼していた。

「いや、最高なのは細いのだろう?」

「はぁ?太めのがいいだろう?」

「お前は分かってないな。細くて脆そうなのを優しく抱くのが一番だ。」

「聞き捨てならないな。重みのある肌が男を癒やすんだよ?!」

「あぁっ?」

「何だぁ?」

 ガルバを挟んでチェーザとノバスコは女の体のことで口論しだした。

「よお、ドルトン!お前はどっちだ?」

 チェーザは周りの男に同意を求めた。

「俺は痩せた方がいいな。」

 ドルトンは匙を上げながら答えた。

「ジゾー、お前は太め派だよな?」

 ノバスコはジゾーに話を振った。

「ははは、ノバスコと同じだ。」

 ジゾーも笑いながら答えた。

「「お前はどっちだ?」」

 チェーザとノバスコは、二人の間に座ったガルバに詰め寄った。

 急に話を振られてガルバは困ったが、何となく次のように答えた。

「中肉くらいの真ん中が良いんじゃない?」

「「ハ〜〜〜??お前は何を言っているんだ!!」」

 二人はほぼ同時に溜息を吐いて、即、否定した。

「ガルバは分かってないな!」

 チェーザが声を上げると、

「全くだ。分かっていない。」

 と、ノバスコも同意した。

「ええ?!何で二人から駄目だし食らうんだよ?」

 ハハハハハッと何処からともなく笑い声が上がった。両極端の女の嗜好を持つ二人は、中肉はナシということで何故か意見が一致したのだ。それからも、何やかんやで女についての朝の会話は盛り上がった。女の話題で盛り上がるのは男の常であった。

 そんな中、ビーラーだけはムステフのテントに片目の視線を向けていた。

「………、動きがあるな、これは。」

 慌ただしくテントを出る指揮官を見て、一人不安気に眉を顰めていた。


「遂に来たか………。」

 スレイ将軍は重々しく呟いた。

 そこはレノクッス軍の朝の軍議であった。放っていた斥候からの報告があったのだ。

「ハッ!敵の後詰めは距離にして二日の行程におります。」

「予想よりも遅いのは、やはり攻城兵器を伴っているからか?」

「それもございますが、大軍であるため動きが鈍いのも理由としてあります。」

 大軍という単語にスレイは反応した。

「如何ほどか?」

「………、約2万5千であります。」

 軍議に参加した諸将が少しざわついた。予想よりも増えているのは悪報だと言える。

「報告、ご苦労。引き続きゲレノア軍の軍容について調査すること!情報は多ければ多い程良い。」

 スレイは指示を出して斥候を帰した。

「さて、川向うはどうだ?」

 話題を変えると、担当の武官から返事が挙がった。

「不思議な程に静かです。敵勢が動くなら今日から明日にかけてかと思われます。」

「散々、こちらから嫌がらせをかけてきたのだ。動いてくれなければ困るものよ。フフフ。」

 スレイはいつもと変わらぬ落ち着き様であった。

「それでは、予定通りに?」

 諸将の一人が発言してきた。

「そうだ。撤退する。殿しんがりを除く全ての部隊と人員はジョヨーへ退け。行動を開始しろ!」

「「「ハハっ!」」」

 歯切れのいい返事と共に諸将は動いた。

「ムステフ?」

 スレイは一人顔色が悪かったムステフの背中に声をかけた。

「ハッ!」

 ムステフは素早く振り返り、返事をする。

「案ずるな。殿しんがりと言えども、我と一緒ならお前は死なん。」

「ハッ。有り難きお言葉、勿体無く存じます!」

 ムステフはその場に片膝をついて頭を垂れた。すぐに立ち上がり、ムステフはスレイのテントを出て行った。

 ムステフと入れ違いにスレイの飼い犬ヴィンデルがテントに入ってきた。ヴィンデルはその黒い巨体でスレイの足元に行儀よく座って、自分の主人を見上げた。

「フフフ、タダで撤退すると思うな。ゲレノア軍よ。」

 スレイは愛犬の頭を優しく撫でながら、テントの中で不敵に一人笑っていた。

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