夜襲1
拙作を覗いてくださりありがとうございます。
今回から主人公は秘密の任務に就きます。生き残れるでしょうか?
ご意見、ご感想をお待ちしております。
よろしくお願いします。
ガルバ達は本隊の端にある小さなテント前に集まった。テントの前には衣服と剣、それから拳程の瓶がそれぞれ積まれていた。そして色々な部隊から数人ずつ集められた男達が三十人程いた。
少し待っているとテントの中から一人の兵士が出てきた。
「注目!これから貴様らはこの青い服と武器、道具を受け取れ。鎧兜はここで脱ぎ、衣服をこの青い服に着替えろ。脚甲のみ防具を許す。槍は置いていき、剣を装着しろ!」
男たちは指示の通りに装備を受け取った。衣服はゲレノア軍が身につけるような青い服だった。この時、赤い布切れも渡された。これは腕に巻くように言われた。ガルバは装備を一式受け取ると、隅の方で隠れるようにイソイソと着替えた。
「オイっ!犬野郎!そこで何してる。さっさと着替えろ!」
奴隷のまとめ役であるスペックスがガルバを急き立てた。
「着替えたよ。服を畳んでいたんだ。」
「ふん、奴隷がそんなこと気にしてどうするんだ。」
スペックスは大きな顔に怒りの表情を露わにした。
(こりゃ、目をつけられたな。面倒臭ェ。)
何事も目立たないようにしようと考えていたガルバは内心舌打ちしながら、スペックスを無視してテント前に向かった。剣を身につけてみる。剣帯を腰に巻き、剣を抜く。刀身は短めの両刃で、細長い葉っぱの形状をしており片手でも扱えそうだった。
渡された道具は球状の陶器製の瓶で、片手で持てる大きさだった。蓋は糊状の蝋で封をされており、細い紐が延びていた。軽く振ってみると何かの液体が入っていた。
装備を変えた男たちの前に、先程指示を出した兵士と新たに数人の男達が並んだ。兵士は青い服に着替えていた。
兵士が一歩前に出て、命令を出した。
「よいか!これからお前達はパルコ川の上流に向かってから渡河する。その後、川向うの敵陣地を大きく迂回して、敵軍の兵糧置き場を攻撃して焼き払う!お前達の前に並ぶのはこの土地に詳しい兵士である。」
演説をする兵士は、居並ぶ兵士達を一瞥した。
「この者達の後について行くこと。青い服は敵軍に紛れ込みやすくするため、腕に巻いた赤い布は敵との識別するためである。同士討ちは起こすな。お前達の手元にある道具は火炎瓶である。隙あらば、その紐に火を着けて兵糧に叩きつければ、中身の油が飛び散り火が拡散する。火種は現地で調達すること。撤退時には笛を鳴らす。これだ!」
すると兵士は一つ小さな笛を鳴らした。
『ピリリリー』
「この音が撤退の合図である。攻撃後は各自兵士に着いて行って退散し、本隊に戻ること!気を入れて行動するように!以上だ!」
なんと敵軍の兵糧を焼き払うという攻撃を指示された。集まった奴隷兵は皆黙ってしまった。
「気を入れろって言ったって、敵さんの兵糧を焼けって?警戒が厳しい所だ。正気じゃねーな。」
ガルバの隣のチェーザが呟いた。
「ああ、正気じゃないな。見たところ奴隷兵ばかりじゃねーか。体のいい捨て駒だな。ツイてないゼ。」
近くのノバスコもボソッと呟いた。
ガルバは二人の声を聞いてビビッてしまった。
(こりゃ生き延びるよう足掻かないといけないな。)
ガルバは前に立つ兵士の顔を忘れないように覚えた。すぐに部隊はパルコ川の上流に向けて進み始めた。
この作戦は、スレイ将軍の本陣で殿の編成について話し合っていた時に生まれた。
レノクッス軍は敵軍の進軍の足を止めるためにパルコ川とレノクッス本隊の間に、障害物として穴を掘っていた。ゲレノア軍はそれを見て作業を妨害することなく眺めるだけだった。しかも、斥候部隊の報告によると、川付近の警備を緩めているようだった。
つまりゲレノア軍は、レノクッス軍は川を超えて攻撃する意思がないと判断したのだ。もしレノクッス軍が攻めるつもりなら、自ら掘った穴が軍の移動に邪魔になるからだ。
その様子を見て一人の指揮官が意見した。
「ゲレノア軍は我らが攻めてこないと思っております。しかも自軍の大軍が近くに来ているので、安心しきっています。近辺の地理に詳しい者を先導させれば、奇襲をかけられます。」
更に朗報として、魔導師部隊の探査魔法の報告があった。それにより、敵の兵糧の位置が割り出された。敵陣近くの林を利用すれば、敵に気付かれずに奇襲するのは可能だった。
スレイはすぐにこの案に乗った。敵に圧力をかける良い機会だった。
ただ、1部隊にこの作戦の負荷は大きいので、数部隊から人を集めて実行することになった。
軍の上層部は勝算は高いと判断して作戦立案したが、実行する兵にとっては命がけであった。敵にとって大事な兵糧を攻撃できるのか?
ガルバ達は死ぬかもしれないという不安を抱きながら、戦場を隠れながら進んで行った。
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緊急の作戦に突入します。
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