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堕天転生戦記  作者: 里原 健
29/80

夢の女

 拙作を覗いてくださりありがとうございます。

 今回は主人公がとある女性と出会います。でも交流はないんですけどね。遠くから見るだけです。

 ご意見、ご感想をお待ちしております。

 よろしくおねがいします。

 夜明け前、陽が登り始めて少しずつ辺りは光を帯びてきた。青みがかった闇が取り払われ新しい明日が始まってきた。

 ガルバは立って哨戒していた。

 彼はビーラーから戦闘について座学を受けていたが、夜明けが近付くと中断された。

「朝が近づくと周りが明るくなり安心してしまうので、見張りが油断しやすくなる。朝方は気をつけるところだ。周りが気を抜くところで、最も用心深くいれば生き延び易くなる。」

 ビーラーはそう言いながら周囲に目を配った。ガルバも目をあちこちに向けて警戒していると、ムステフ隊の本陣であるテントに目を向けた。

 テントの入口から誰かが出てきた。スカートを履いた女である。彼女はこちらに向けて歩いてきた。

「誰かテントから出てきた。」

 ガルバはチェーザにテントから女が出てきたことを告げた。

「………、ああ、指揮官様の奴隷女だろうよ。女を抱いたんだな。」

 チェーザは淡々と答えた。

 近づくにつれて女の容姿が見えてきた。顔は青白く整っており、赤味の強い赤茶毛の白人系であった。白いシャツと髪の毛に合う赤色がかったオレンジ色の袖なしワンピースをまとい、朝の冷えをえるように両腕を組みながら歩いていた。

(綺麗な人だな。)

 ガルバは素直にふと思った。

 女は飯場の方に歩みを変えて去って行った。

 後ろを向きながら彼女に目を向けていたが、急に後頭部をはたかれた。

「っ痛。」

 顔を上げるとチェーザがニコニコ笑っていた。

「注意が散っているな。女のことより仕事しろよ、フフフ。」

 指摘を受けて警戒を再開した。しかし脳裏には悲しげで俯いてばかりいた奴隷女の姿を思い返していた。


「あれ?」

 ガルバは急に立ち止まってしまった。

 朝の配膳を待っていると、飯盛り係の女が今朝見た女だった。

 女の顔には朝食を作る時についた煤が顔にあり、パッと見では分からなかった。しかし眉の下の強張らせた目を見ると、明け方の女と一致した。

「………、何?」

 女は眉間に皺を寄せて怒ったような表情でガルバを見た。

「いや、その………。」

 口籠るガルバを後ろの男達が急き立てた。

「オラっ、早く進め!」

 ここは飯場で誰もが腹を空かしている。腹を空かしていると皆が気が荒くなりがちだ。ガルバは急かされて慌てて前に出た。飯場から少し離れた所で朝食を腹にかきこんだ。

 昨夜の寝ずの番の男達は午前中休むことを許された。ガルバは手ぬぐいを目に当てて軽い睡眠をとった。

 ビーラーから教わったことを思い返しながらウトウトしていたが、朝方見た女が夢に出た。

 彼女は踊っている。薄い絹の服を払いながら体をくねらせ口元に笑みを浮かべている。踊りに合わせて彼女の肩下まである豊かな髪が揺れていた。そして音楽の旋律に身を任せつつガルバに迫ってきた。

(あぁ、いい女だ………。)

 ドキドキしながら彼女を迎え入れた途端に頭を小突かれて起こされた。

「んがぁ、何だ?」

 目を開けるとチェーザの暑苦しい顔が視界いっぱいに出てきた。

「もう昼過ぎだ。仕事だよ、仕事。」

 至福の時から現実に戻されたガルバは、苛つきながら仕事のために起き上がった。


 午後からは昨日の穴掘りの続きをするよう命令が出た。昨日と同じように二人一組で作業を進めた。

 今日ガルバが組んだのはドルトンだった。やや小柄の相方は飯の少なさに文句を言い、逃げ出すことばかり話した。

「オレは、ここから逃げて生き残ったら商人になるんだ。相手を騙してガッポリ儲けてやる。」

 ほとんど独り言で文句ばかり言っていた。

 ガルバは無視しても良かったが、考えを変えてみる。この世界について情報は幾らあっても足りない。情報を得るために相手をおだてて話を続けた。

「流石だな。アンタなら国一番の商人になれるぜ。」

「そうだろ?オレはこんな所で這いつくばる器じゃねーんだ。ジョヨーから離れてな、サポローやハカトーで店を開くんだ。運が良ければ景気のいいゲレノア国に住むんだ。」

「どこも戦で大変じゃないのか?」

 当然、ガルバはサポローもハカトーも知らない。そんな軽口にドルトンは簡単に乗った。

「サポローやハカトーは国境沿いじゃねーからな。特にハカトーは通りが綺麗で、花が咲き乱れる街だ。」

 男はウットリとして笑った。

「………。オレは怪我のせいで何も覚えていない。サポローやハカトーの街も知らない。ましてやゲレノア国のことなんて、遠い世界の話だ。あぁ、世界は広いんだな。」

 ガルバはモノを知らないバカのフリをした。

「ふんっ!俺様は世界を股にかける男だ。知らねーことはない!」

 ドルトンは胸を張って大威張りだった。ドルトンはどうも自慢話をするのが大好きなようだった。ガルバの狙い通りにドルトンは饒舌になってきた。

「それはスゴイ!アンタみたいな大先生から世界の話を聞かせてくれ!」

 ガルバは片膝を突いて、ワザとらしく崇めるように彼に頼みこんだ。やり過ぎかなとガルバは思ったが、前世からの経験で、人間を喋らすためには称賛が一番の呼び水である。

「ハハハッ!そうか、教えて欲しいのか?ならば耳を揃えて聞きやがれ!俺様が巡った都市の話を聞かせてやる!手を休めずに聞けよ!」

 そしてガルバは穴掘りの午後はずっと、ドルトンから話を聞き続けた。彼は奴隷になる前は兵士としてあちこちに転戦してきたそうで、地理に詳しかった。お喋りな彼からジョヨー以外のレノクッス国の地理、そして近隣の勢力配置について大まかなことを教えてもらった。

 話をするうちに担当の兵士から撤退の命令が出た。ガルバ達はさっさと掘った穴から飛び出し、本隊に向けて走った。

 本隊に戻った頃は夕方だった。

 ガルバは腹が減ったので、まだ早かったが夕食をもらうために飯場に向かった。配膳には朝方見かけた女がいた。全く無表情で飯を配っていたが、ガルバにとっては何故か気になる女性だった。

 飯を食べた後は日が暮れるまでの短い間、ビーラーに槍と盾の稽古をつけてもらった。内容は昨夜の座学の復習と実践だった。聞くだけでは分からなかったことをよく身につけることができた。

 ガルバ達は太陽が落ちきった頃に稽古を中断した。二人は仲間達の元に戻って焚き火の周りに座っていると、ガヤガヤと騒がしく、とある一団が近づいてきた。奴隷のまとめ役スペックスが先頭に立っていた。

「そこのゴツいの!あとお前!それから………、そこの六本指の犬野郎!ついてこい!」

(六本指の犬野郎ってオレのことかな?)とガルバは思った。

 スペックスは、チェーザとノバスコそしてガルバを指名して後について来るよう命じた。奴隷のまとめ役の指示には基本従うものとなっていた。チェーザとドルトンは言われるままに着いて行った。

(何だろう?嫌な予感がするな。)

 ガルバは本能的に悪い感じがしたが、大人しく歩き出した。

 ーーーーーー

 主人公は何処に連れて行かれるのでしょうか?

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 よろしくお願いします。

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