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堕天転生戦記  作者: 里原 健
21/80

戦闘の経緯

 拙作を選んでくださりありがとうございます。

 今回は主人公が知らない昨夜の戦闘の経緯が明らかになります。

 是非、ご感想やご意見を聞かせて下さい。

 よろしくお願いします。

 ガルバ達が向かった飯場は本陣から近くにあった。辺りには温かい料理の匂いが漂っていて4〜5つ程の鍋が並んでおり、それぞれに兵士や奴隷が列をなしていた。半分が兵士用、もう半分が奴隷用だった。

「この戦で唯一ついているのはメシの美味さだな!」

 巨漢のチェーザが嬉しそうに話した。周りの男達も賛同の声を上げるか、黙って頷いていた。

(そんなに美味いのか?楽しみだな。)

 ガルバは期待して奴隷用の列に並んだ。先に椀とスプーンを受け取る時には部隊名を告げるように言われた。ムステフ隊と告げると木製の椀とスプーンを渡された。雑に洗った後のようで、ガルバの椀には少し料理の残り滓があった。それらの滓をこそぎ落としながら列を進むと、鍋に辿り着いた。

 一人ずつ鍋から料理が盛られた。それは米か麦か分からない穀物の粥で、チラリホラリと肉片と野菜片が混じっていた。

(うーん、見た目は美味そうには見えないぞ。)

 ガルバ達は飯場の隅に座り粥を食べ始めた。

 ガルバはスプーンで掬って口にしてみる。塩辛いざっくりとした味付けだったが、濃い旨味が舌を喜ぼせた。

「美味い………。」

 つい言葉に出してしまった。

 ガルバ達は黙々と粥をかき込んだ。量もそこそこ多くて食欲が多いに満たされた。

 あっという間に食べ終わると椀とスプーンを回収場所に返した。飯場の一角には抱える程の大きさの水桶が十数個あり、そこでガルバ達は柄杓で水を掬って水分を補給した。

 その足で本隊の出入口に向かい、そこで命令を待つことにした。皆、地面に腰を降ろしたが、互いに昨夜の戦闘で何があったか話し出した。

 チェーザは自分の武勇を語り、ドルトンはいかに逃げきったか話した。ビーラーは頷いたり首を横に振るだけで、ノバスコのみ食糧が足りないことをボヤいていた。ジゾーは皆の話を聞き出しながら、立ち聞きした兵士達の話を伝えた。

 ガルバは自分の『小さい小指』のことを聞きたかったが、他の仲間は先の戦闘の経緯を知りたがっていた。今はその戦闘のことを知る方が先だと判断して、時折戦闘について質問をし、耳に入った情報を集めて整理した。その結果、大方以下のことが分かってきた。

 ニ、三日前に突然、隣国で強国のゲレノア国が約6000人の兵で国境を侵してきた。レノクッス国の国境都市ジョヨーは報せを受けて、すぐさま戦闘兵を組織した。ジョヨーの奴隷達は労働兼戦闘の為に保持されていたので、一部の奴隷達は人手が足らない奴隷兵に組み込まれた。ガルバ達もその流れで兵隊となった。

 都市の上層部では籠城するか迎撃するか意見が分かれたが、ジョヨーの首長兼将軍であるスレイ将軍は籠城策をとった。しかし籠城する準備に時間が必要だったので、時間を稼ぐためにスレイ将軍は約2000の兵で出撃した。ゲレノア軍とレノクッス軍の間にはパルコ川という川が流れていて、昨日の午後その川の浅瀬を挟んで対峙し開戦した。

 レノクッス軍は川を自然の堀として利用して、ゲレノア軍の進出を阻んだ。初めは上手く防いでいたが、敵方はより多勢で精鋭。こちらは兵士と奴隷の急拵えの軍隊。戦闘は時間が経つに連れてレノクッス軍が押されだした。元々敵の進軍を遅らせることが目的だったため、機を見てレノクッス軍は撤退した。それが昨日の夕方前だった。

 レノクッス軍を退けたゲレノア軍であったが、陽が落ち始めたせいか、勝ち戦に乗って無理に追討することなくパルコ川沿岸に留まった。

 そうして全軍をゆっくり渡河させている時に、あの嵐が起きたのだった。

 南の空からモクモクと黒雲が立ち昇り、忽ち全ての空を埋め尽くした。風と雨が吹き荒れ始めて、陽が沈む前に辺りは暗闇になった。風に木の枝は振り回され、雨粒は地面に穴を穿つくらい激しくなった。

 並の武将なら、これ幸いと本拠の都市まで退却するところだがスレイ将軍は違った。

 ゲレノア軍は渡河の途中であり、川が荒れて軍勢が分断されている。今なら渡河しきった軍勢は孤立しているので、劣勢のレノクッス軍でも打ち倒せる。勝機と見た。

 反対意見も当然出たが、首長権限で押し切った。この判断のもと素早く作戦が立案された。地形を熟知した少数の歩兵部隊を隠密に先行させる。敵軍の不意を突き、混乱させたところを騎馬隊の突撃を加える作戦が立てられて実行された。

 その先行した歩兵部隊がハース隊、シスラー隊そしてモリデブ隊だった。指揮官に率いられ一部隊に兵士約50人と奴隷兵約50人、合計300の兵が雨風を目眩ましに先行した。しかし運悪く敵の警邏中の少数部隊と接触してしまった。

 一気に戦闘となった。素早くこの少数部隊を片付けて、敵の主力に奇襲をかけねばならない。

 あわや作戦失敗かと皆が焦った時に、その混戦の真っ只中を、白い大落雷が戦場の真ん中の大樹に落ちた。視界を真っ白く染め、大音声は耳を潰す。大地は揺れ、爆風は四方に吹き出されて、大樹は燃え上がった。落雷の後、暫く空に穴がポッカリと開き、燃える大樹を月光が美しく照らした。その超自然的な現象に、両軍はただひたすら啞然としてしまった。

 この時にスレイ将軍はこの月光を瑞兆と見た。戦場の間隙を突いて、騎馬隊を自ら率いて突撃した。

 正に機先を制した一撃だった。

 敵軍は態勢を整える前に騎馬隊の突撃を食らい、千々に乱れて踏み潰された。川向うのゲレノア軍は川が荒れていたので渡河できず、手も足も出せず友軍が討たれていくのを見るだけだった。正に壊滅であった。

 レノクッス軍の作戦は成功して皆が本隊に戻り、今に至るということだった。しかし元モリデブ隊の立場で考えると、部隊が雷の落下点すぐ側にいたので一番被害が大きかったということだった。先行した歩兵部隊の生き残りは、皆命からがら逃げ延びたとのことだった。

「結局よ、あの雷は何だったんだ?」

 ドルトンは腕を組みながら考え込んだ。

「たまたまの雷じゃないか?」

 チェーザが髪をポリポリ掻きながら適当に答えた。

 それに合わせてノバスコが声を上げた。

「いや、あんなに不自然極まりない雷は見たことない。敵軍の大魔法じゃないか?」

「それはおかしい。敵兵もかなり殺られたんだろ?」

 ジゾーも議論の輪に加わった。

「………。」

 ビーラーは黙って話を聞いていた。

 皆は喧々諤々と考えや推測を言い合ったが、結論に達することはなかった。

 つと、ガルバは魔法という言葉に気を取られた。

(魔法があるのか、この世界には………。)

 ガルバは飛び交う意見の中をボンヤリしていると、兵士の命令する声が聞こえた。

「ムステフ隊ッ、集合!指揮系統を決める!その後、『宝探し』に行くぞ!」

(『宝探し』?何か楽しそうだな。)

 ガルバはそう思いつつ立ち上がって、皆の後を着いて行った。

 ーーーーーー

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 よろしくお願いします。

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