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堕天転生戦記  作者: 里原 健
19/80

部隊集合1

 拙作を覗いて下さりありがとうございます!

 主人公が新しい仲間達と出会います。

 ご意見、ご感想を聞かせて下さい。

 よろしくお願いします。

 ガルバはジゾーの後ろについて『本陣』へと向かった。本隊の中はたくさんの人がいた。歩いているうちに色んな人とすれ違う。

 まず鎧兜を付けた兵士。鎧や兜の素材は硬く鞣した革がベースで、革鎧に金属片を縫い付けたり、鎖帷子を鎧の下に着込んでいる者がいた。中には、全て金属製の鎧兜を着けている者も多くいた。

 自分と似た格好をした人々は恐らく奴隷達だ。こちらは布製の丈夫そうな衣服が多かったが、手甲や脚甲そして簡単な革鎧を身に着けた者もいた。

 また奴隷の服と異なり、布製の長いガウン、ローブを羽織った十数人の集団も見かけた。

 更に数人の女性ともすれ違った。医療係であったり賄い係であったり、こちらも様々であった。

 ジゾーは人を掻き分けながら迷いなくズンズンと進んで行く。ガルバは何処へ向かうのか検討もつかない。少しでも情報を得ようとジゾーの後ろから質問した。

「本陣ってのは何だい?」

 ジゾーは顔半分をガルバに向けながら答えた。

「本陣は我らが本隊の頭、スレイ将軍がいるテントのことさ。」

「そこで何があるのかな?」

「さあな、分からん。本陣に奴隷が呼ばれることはあまりない。だが3部隊を集めているからには、将軍自ら何かの命令を下すんじゃないかな?それよりも、奴隷部隊の仲間がどれだけ生き残っているかが気がかりだが………、ほら、着いたぞ。」

 シゾーが足を止めて顎で指した。

 指された先には緑色で染められたテントが一つあった。テントの入口には数名の兵士がおり、入口前には40〜50人の赤服を着た男達が集まっていた。恐らくは皆奴隷なのだろう。雑多な人種がそこにはいた。前世の感覚で言えば、北欧系、アジア系、中東系、黒人系、ラテン系、西欧系と殆ど全ての人種がいた。どちらかと言えば西欧系が一番多いようだった。

 対して、鎧兜を着けている兵士は西欧系が多数派で、その他はほんの少しずつ混じっているようだった。

 ガルバは周囲を観察していたが、脇から男の大声がしてそちらに気を取られた。

「おお、ジゾー!生きていたか?!」

 声の主は大柄な黒人であった。顔を見れば額から右頬にかけて大きな傷跡があり、髪はボサボサに逆立っていた。無精髭の笑顔でジゾーに近付く様子は陽気な性格を表していた。

「やあ、チェーザ!無事だったか?死ぬとは思ってなかったけどな!」

 ジゾーもチェーザという男に近付き、お互いの無事を称えあった。

「ジゾー、他にも生き残りはいるゼ!」

 そう言って、チェーザが振り向く方向を見れば3人の男達が立っていた。

「ドルトン!ビーラー!ノバスコ!無事だったのか?良かった良かった。」

 ジゾーは3人を見ると、心から生き残っているのを喜んでいた。

「…いやドルトンはあの雷で耳をやられて少し聞こえ方が悪い。ノバスコは同じ雷の衝撃で腕の痺れがまだ取れていない。」

 チェーザは仲間の状態をジゾーに伝えた。ジゾーとガルバは3人の仲間の方ヘ向かった。

 ドルトンと呼ばれた男は長い黒髪を後ろにまとめており、彫りの深い中東系の顔立ちをしていた。左手に酷い火傷跡があった。耳が少し悪いということで、ジゾーは顔を近づけて助かった事を祝った。

 ビーラーは白人で、小柄な赤毛で髭の濃い男だった。右目を瞑っており口数が少ない性格のようだった。

 ノバスコは金髪碧眼で北欧系に近く、長身痩躯の体格をしていた。ジゾーが差し出した手を握り返していたが、手がフルフルと震えていた。

 お互い無事を確かめ合った後、チェーザがガルバに目線を向けた。

「ジゾー、そいつは…、ガルバか?」

「ああ、ガルバだ。だけど、あの雷に頭をやられて記憶を無くしているんだと。多分、お前達のことも覚えていないんだろう。」

 チェーザ達の目線がガルバに集まった。どうしていいかガルバは分からなかったが、ひとまず頭を大きく下げて挨拶をした。

「ガルバです。雷に打たれて記憶をほとんど失くしてしまいました。迷惑がかからない様に気をつけます。よろしくお願いします。」

 一息に挨拶を告げると、チェーザ達は珍しい物を見たように少し驚いているようだった。

 誰も反応しなくて気まずかったが、ドルトンが声を発した。

「迷惑をかける前に学習しろよ。」

「ハイッ、頑張ります!」

 ガルバは再度頭を下げた。ドルトンとガルバの真面目くさったやり取りが面白かったのか、他の男達は表情を崩した。

「ミノール、テレスコ、ビンクスはどうだ?見たか?」

 ジゾーはチェーザに他の奴隷仲間の安否を確認した。

「いや、テレスコとビンクスは死んだ。ミノールも恐らくはダメだろうな。残念ながらモリデブ隊の奴隷兵は他に見つけていない。兵士様には何人か会ったがな。」

「そうか、俺らもモリデブ隊の奴隷兵には会っていない………。」

 男達は押し黙ってしまった。沈黙は悪い空気を呼び込んでしまう。

 しかし、その中でジゾーは明るい声を挙げた。

「んまあ、生き延びたんだから、それで良しとしようや。ここにいればメシにはありつけるだろうよ!とりあえず、皆で固まって命令を待とう。すまないが、チェーザとノバスコは他のモリデブ隊の奴隷兵を探してくれ。」

 チェーザとノバスコの二人はジゾーからの命令に素直に従って広場の中を探し出した。ジゾーは同じ奴隷仲間からまとめ役として信頼されているようだった。

 ガルバはすることもなく、黙って立ち竦んでいた。広場を見ているとガルバ達とは他に二つの集団ができてきた。

 ふと、ジゾーはガルバに声をかけた。

「なぁ、ガルバ。お前は記憶を失くしたから分からないかもしれないが、お前の『右手の小さい小指』は隠しとけ。特に偉い兵士様には見せるなよ。」

 六本目の指を隠すように言われた。

「………、どうして?」

「細かい説明は後だ。とにかく見られない様にしておけ、悪い事は言わねェ。」

 そう言われたガルバは意識的に右手を握り込んだ。

 待ち続けていると、大きな銅鑼の音が聞こえた。

 そして命令を告げる大声が聞こえた。

「ここに集まった兵士よ!部隊ごとに集まれ!ハース隊!モリデブ隊!シスラー隊!兵士もしくは奴隷のまとめ役の指示通りに動く様に!」

 ザワザワと騒がしくなりながら人が動き出した。急な命令で各人の動きは鈍かったが、その中でジゾーは率先して声を挙げた。

「よし!モリデブ隊の奴隷兵はこっちに来い!」

 ジゾーの指示されるままにガルバ達は後に着いて行った。チェーザとノバスコも元モリデブ隊にいた数人の奴隷を連れて合流した。広場の一角にモリデブ隊の奴隷兵が集合した。同じ隊の兵士も十数人いたようだった。

 広場で部隊毎に人が動いた後に、再度銅鑼が鳴り響いた。

「各部隊の兵士、奴隷のまとめ役は人的状況を伝えろ!」

 新たな命令が出るとジゾーは腰を低くしながら銅鑼を鳴らした兵士の元へ行き何事かを報告した。

 兵士から何かどやされたが、ジゾーはそれを上手く躱してこちらに戻ってきた。

 ジゾーは戻ってから仲間に報告した。

「どうやら他の部隊も損害が大きかったみたいだな。3部隊で生き残っている兵士様も半分くらい、奴隷兵も多くが死んじまったみたいだ。まぁ、後は御沙汰を待つしか無ぇなぁ。」

 仲間たちが戦場から戻らない状況において、モリデブ隊の奴隷兵達は一様に不安気だった。

 そんな中、三度目の銅鑼が鳴った。

「膝を突けー!スレイ将軍のご指示があるぞー!」

 その時に本陣前にいた男達は全員片膝を突いてしゃがみこんだ。ガルバも慌てて皆と同じ様に膝を着いた。

 ーーーーーー

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