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開幕戦開始!

〈皆さんこんにちは! 雲1つ無い快晴の中、ここアレーナ・マジックファイトドームにてプリズマ・カップ開幕戦が開催されます。実況は私、ティム・マクミラーとユーイン・ラヴァレインでお送りします。どうですか? ユーイン、今シーズン最初の勝ち抜き戦はどんな展開が繰り広げられると思いますか?〉

〈そうだな、ティム。昨シーズンではゴールドラッシュが3年連続優勝を果たしたから今年もぶっちぎりで優勝出来るのか期待が高まるよ。個人的に昨シーズンから入り、大旋風を巻き起こしたブライアン・タンタル選手が今シーズンではどんな活躍を見せるのか。そこも注目だね〉

〈そのゴールドラッシュに負けないくらいのインパクトを持つチームも今シーズンから新たに出場するとの情報も入っていますが?〉

〈マーメイドスケイルか。確か今大会で出場する代表選手はなんとライアン・シルト選手だ。彼は昨シーズンまでゴールドラッシュに所属していたけどクビになりフリーに、その後新たにチームを立ち上げたらしい〉

〈でも、彼は結界魔法しか使えないはずでしたが? 今まで勝ち抜き戦においては出場したことがなかったのに……〉

〈まぁ、恐らくシルト選手なりの考えがあるんだろう。どんな戦いを見せてくれるのか、楽しみだ〉

〈さぁ、注目の開幕戦は間もなくスタートです!!〉

ティムの声がドーム中に響き、選手達はスタート位置である魔法陣の所へ集まる。



このドームは元々砂漠のど真ん中にあり、広さは他の競技場の比ではない。なので、選手達は魔法陣で競技場内でランダムの場所に転移して戦うことになっている。


ライアンもそこへ向かおうとしているところに不意に誰かが声を掛けて来た。正直、ライアンにとって顔も見たくない者の1人だ。


「あら。負け犬じゃない。 今シーズンから別のチームに拾ってもらったの?」

「なんだ、サンダースか。お前が今大会の代表者なのか。てっきり話題のルーキーが出るんだと思ってたよ」


ラム・サンダース。ゴールドラッシュの選手の1人で、雷魔法を得意とする女性選手だ。同じチームにいた頃からライアンを見下していた鼻持ちならない選手だ。サンダースはチラリとスポンサー席の方を見やると意地悪そうな顔で言った。スポンサー席にはライアンやチームブレインのジェスとわざわざ一緒に来てくれた町の住人達がマーメイドスケイルのチームデザインが施された特製の旗を振り、ライアンに熱い声援を送っている。


「あの田舎者達があなたのチームなんてね。あなたにはピッタリじゃない?」

「へぇ、そうかな?」

ライアンは飄々とした様子で答えると、サンダースは苛立ったように眉を顰める。自分の思うような返事じゃなかったのに苛立ったらしい。


「まぁ、あなたみたいな雑魚じゃすぐやられるのがオチね。じゃあね、負け犬」

三下のような台詞を吐いてサンダースは行ってしまった。チームブレイン席にいるジェスから無線が入る。


『随分と良い仲間を持っていたみたいだな。同情するよ』

「まあな。あそこまで来ると小物感丸出しで笑うしかないな。チームにいた頃はあそこまで嫌な奴じゃなかった気がするんだがな……」

『まぁ良い。今は勝負に集中することだ。あっと言わせて見せろ」

その言葉にライアンは闘志を燃やしながら答えた。


「ああ、目にもの見せてやるよ!」



スタートの合図のファンファーレが鳴ると足元にある魔法陣が光り輝き、ライアンを始め、多くの選手達を包み込み、転移した。


〈さぁ、いよいよ始まりました! この開幕戦の勝利は誰が掴むのか? 注目です〉

ライアンは開始と同時に走り、他の選手を探す。すると、無線からジェスの声が聞こえる。


『注意しろ。右方面から選手が来るぞ。お前のトレーニングの成果を見せてやれ』

「了解」

ライアンは短くそう言うと、ジェスの言う通り右方向から別の選手が現れた。その選手はライアンを見るや否や即座に魔法で攻撃を仕掛けて来た。風を使ったカマイタチだ。威力からして強力なのが分かる。見覚えのない選手だから恐らく新人の選手なのだろう。いきなり結界魔法の使い手である自分に向かって強力な魔法を放ってくるなんて。俺の魔法を知っている選手ならまずそんなことはしない。


ライアンは冷静にそれを結界で防ぐ。そして、ついでにここで新しい技を使うことにした。防いだ魔法攻撃に自身の魔力を加えて威力を強化させ、それを相手に纏めて返したのだ。


「な!? 嘘だろ!?」

その攻撃に相手選手は驚愕し、咄嗟に躱そうとするが、満足に動けない。ライアンが新たに結界を展開して相手選手の移動スペースを制限したからだ。その選手は強化された自分の魔法をモロに受けて気絶してしまった。


〈おーーっと! ここでゼッケン361番、スペードシックスのシャン・カンマセ選手戦闘不能! ライアン・シルト選手にポイントが入りました!〉

〈何だって!? 彼は攻撃が出来なかったはずなのに…… 信じられない!〉


スペードシックスの選手か。番号から察するにどうやら、今戦った選手はマイティの後任だったらしい。地面から魔法陣が現れ、倒れたカンマセを包むと、パアァーーッと光り輝いてカンマセの姿は消えた。脱落した選手はその場でリタイアになる。


『良いぞ、小僧。だが、終了までまだ3時間50分だ。気を抜かずに気張って行くぞ』

「ああ。次の選手の場所は?」


ライアン達選手には他の選手がドーム内のどこにいるのか分からない。なので、チームブレインの指示で位置を把握しなければならない。選手とチームブレインとの間に信頼関係が無ければ勝てないのだ。


『次の標的は左に50メートル程の所にいる。別の選手と交戦しているようだな。上手くいけば纏めて倒せるぞ』

「了解」


ライアンは左方向に向かって走り出した。そして、ライアンは新たに2人の選手を戦闘不能にした。

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