快進撃
『かんぱーい!!!』
チーム「マーメイドスケイル」の面々はマーメイドスケイルに戻って来るといつもの酒場で祝勝会を開いた。初めての勝利だ。酒場は貸し切りで盛大にやった。マイティなんかは嬉しそうに酒を開けて飲んでいる。もう3杯目だ。明日のトレーニングに支障をきたさないと良いが…… ライアンは元々酒に強くはないのでジュースにしている。
やっとだ…… やっとゴールドラッシュに一矢報いることが出来た……
ライアンがそう少し勝利の余韻に浸っていると、リディアがやって来た。
「お疲れ様、ライアン君。大活躍だったわね。すごいじゃない」
「リディアさんか。まぁね。仲間の力も大きかったけど。でも……まだまだこれからだ。次の……これからの大会もベストを尽くさないとな」
「うん。その調子よ。応援してるわ」
ライアンのその言葉にリディアはニッコリと微笑んだ。
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「ねぇ! 見てよ、この新聞!!」
ある日、トッドがスポーツ新聞を片手にライアン達の元にやって来た。その新聞の一面にはマーメイドスケイルのことが『今注目のチーム マーメイドスケイル 初優勝!!』という大きな見出しで細やかに紹介されていた。
無名のチームとして出場して早々にプリズマ・カップの王者チームであるゴールドラッシュと渡り合い、遂に初優勝を飾ったマーメイドスケイルはすぐにメディアの話題になっていた。新聞だけではない。プリズマ・カップ・ワイドを始めとした魔導武闘の特集番組や雑誌でもこの町マーメイドスケイルのことが取り上げられ、町を訪れる人も日に日に少しずつだが増え始めていた。
そのことにライアンだけでなくチームメンバー達の顔にも笑顔が浮かんだ。
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「どういうことだ!? あのチームは勝てないと言っていたではないか!? なのに何だ、あのザマは!?」
ゴールドラッシュの会長室でフォッツォがウェールズに向かって怒鳴り散らす。苛立たしげに机を叩き付けるが、それでもフォッツォの気は全く収まらない。
唯でさえマーメイドスケイルに注目が集まってそのことで腹わたが煮えくり返っているのに、先日のトーナメント戦で遂にゴールドラッシュが敗れたのだ。田舎の無名のチームに、それも自分達が追い出した選手がいるチームに。フォッツォの怒りはかなりのものだった。チームブレインのウェールズは冷や汗を垂らしながら答える。
「申し訳ございません。私もこれは予想外でして…… しかし、ご安心ください。そろそろ常勝チームとしての我々の力をあの田舎者チームに見せつけてご覧に入れます」
ウェールズのその言葉に少し落ち着きを取り戻したフォッツォは唸るように尋ねる。
「本当に勝てるんだろうな?」
「無論です。所詮あの勝利はまぐれだったのだと証明して見せます。あの田舎者チームに格の違いというものを見せてやりましょう」
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ウェールズは次の大会でそう勝利宣言をしたが、その言葉通りにはならなかった。続く7戦目の勝ち抜き戦もマーメイドスケイルがトップをかっさらったのだ。
〈マイティ・アイスバーグ選手、後続とポイントの差を大きく引き離しての勝利! これで2連続優勝です!〉
モニターでマイティの惚れ惚れするような活躍シーンが何度もリプレイされる中、ティムが興奮した声で大きく叫ぶ。それに伴い観客の歓声が巻き起こった。マイティは観客席に向かって雄叫びを上げて勝利を喜んだ。
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更に8戦目のトーナメント戦もマーメイドスケイルの優勝で終わり、意気揚々と町に帰るとそこには思いがけない光景が広がっていた。町に大勢の観光客が押し寄せていたのだ。町の住民達は接客に追われて大忙しだった。
「あんた達がここにいない間に沢山お客さんが来たのよ!」
「店の在庫が足りなくなるなんて何年ぶりだぁ?」
立ち並ぶ店からは嬉しい悲鳴が聞こえてくる。
マーメイドスケイルの選手達は思わず目を見張る。突然、ファンの1人がライアン達の姿を見て興奮したように声を上げる。
「いたぞ! チーム『マーメイドスケイル』だ!」
「ライアンさん、一緒に写真撮ってもらっても良いですか?」
「マイティさん、サインお願いします!」
「握手をお願いします!」
「大ファンです! これからも頑張って下さい!」
あっという間にファン達はライアン達選手を取り囲んだ。あまり経験の無いエドやトッド、ヴィアッカは驚き、目を白黒させながらもなんとかファンサービスをこなしていく。その時、以前1人でこの町に来てくれたファン、セナがファンの群れから姿を見せた。
「ライアンさん! また会えて嬉しいです! この間の大会見ました。凄かった! 3連続優勝おめでとうございます!」
「ありがとう、君や他の人達の応援もあってここまで行くことが出来た。今後も応援をよろしく頼むよ」
ライアンはセナに笑顔で答えた。セナは嬉しそうに笑った。




