僕は○○○

　蝙蝠が凍えるほど寒い夜だった。

　轟々と吹きつける風がギシギシと音を立てる。

　僕は左手に握った彼女の右手を放して、扉をこじ開けた。

　古びた小屋の軒には氷柱が何本もぶら下がっている。

　その一つを折って俺は自分に突き刺した。

　痛かったが、彼女の為なら仕方の無いことだった。

　僕の腹部から溢れる濁った血液が彼女の細い黒髪にボタボタと滴り落ちる。

　徐々に修復していく彼女を確認すると僕は翼を広げ、飛び立った。

　僕は吸血鬼。

　誰かの為に生きる者。

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救いたかったんです。