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175.護衛兼密偵と万能型従者


「ほんと、扉も閉めねぇーで何をドタバタしてたんだか。おい、喧嘩(けんか)なら外でやってくれ...。」


「おい、うるせーってよ。ったく、お前らが騒がしくするからわざわざ俺らが様子見てこいって駆り出されるんだ...?」


(しか)め面で愚痴を吐きながら、階段を上がってきた男二人が何か異変を感じ取ったのか、怪訝な顔をして廊下を踏み出す。

しかし、腰に()いた剣には手をかけていないので侵入者が居るとまでは思っていないようだ。


ルシアは二人の会話から階下の雇い主の誰かから上に居る奴等を静かにさせて来いとでも言われた|用心棒だと判断した。

多分、先程ベッティーノが手前の個室に突入した際に椅子を倒すなど音を立てたからだ。

誤って倒した程度の音だったから気にするほどのことでもなかったが、どうやら運悪く階下まで響き、加えてヘアンの工作員の中に神経質な人間でも居たらしい。


「......。」


すっとルシアが真上にあるベッティーノの顔を見上げれば、視線に気付いた彼が気不味げに視線を逸らした。

それでもルシアがそのまま見上げ続ければ、ベッティーノは眉尻を下げて渋々というようにこちらに向き直った。


「いやー、俺が遊んだせいですよねー。すみません、ほんと。あ、でも体よく敵を各個撃破出来るんじゃ...。」


「ベッティーノ。」


「はい、すみませんでした!」


本日、何度目かのエドゥアルドの叱責が飛んだ途端に反射のようにベッティーノは謝罪を口にした。

その速度に最早、慣れを感じられてルシアは苦笑した。


しかし、確かに各個撃破出来ることはメリットがある。

まぁ、結果オーライってことではあるかな。

そうこうしているうちに男たちが手前の個室を覗き込もうとしていた。


「おい!聞いてんのか!!...!?」


「?何だ、どうしたんだ?」


手前に居た男が室内の惨状を見て驚きを表情に表す。

その男に遮られて室内が見えていない後ろの男が呑気に疑問を口にした。


さて、ここからは一瞬だった。

まぁ勿論、騒がれて階下の敵にまで報される訳にはいかないから当然の結果なんだけども。

まず、先手を打ったのは扉影に隠れ、男たちのすぐ横に居たイオンではなく、何処に居たのか見当がつかなかったクストディオだった。


クストディオは音もなく急に飛び降りてきて、後ろの男の首を絞めた。

そこでやっと、ルシアはクストディオが天井に張り付いていたのだと気が付いた。

確かに梁や照明を使えば、張り付けなくもない...?

いや、少なくとも私や普通の人間には無理だけども。


後ろの男が絞め落とされたことにも気付かなかった手前の男が、部屋の状況に焦って後ろの男へ振り返ったところでイオンが飛び出し、がら空きだった鳩尾(みぞおち)に一発。

早くも伸びた男が二人、出来上がりである。


「おお、あっちの従者の方も中々のやり手じゃん。」


ベッティーノが感嘆を口にするのを聞きながら、ルシアは状況を見て、扉を開けた。

廊下では既にイオンとクストディオが男たちを縛り上げて、個室へと放り込んでいた。


「いやいや、お褒めいただき光栄ですね。」


ベッティーノの声が聞こえていたらしい、イオンが照れもなく、社交辞令のように手をはたきながら返答する。

あれ、聞こえてたか、とベッティーノが顔に出す横でルシアはそういやイオンは地獄耳だもんな、と思い出した。


「...残りは五人、どうしますか。」


クストディオがエドゥアルドを見て、指示を仰いだ。

ここでルシアに指示を仰いでも、ルシアはエドゥアルドに選択をと言うのを分かっての言葉だった。


「...そうですね。先程と同じように音を立てて(おび)き寄せ各個撃破でも良いでしょうが、不審に思われて逃げられても困ります。」


確かに逃げられると困る。

現在、ほとんどの敵を()したお陰で数としてもこちらが優位だ。


「エディ様、わたくしのことは気になさらず。ほら、わたくしの護衛たちが如何(いか)に強いかご覧になられましたでしょう?」


ルシアを思って、時間をかけてでも安全性を取ろうかと悩む素振りを見せたエドゥアルドの背中をルシアは押した。

大丈夫、むしろ過剰戦力状態だからね?


「...分かりました。残りの敵が居る居間へ乗り込みます。ベッティーノは突入してすぐに正面入り口を塞いでください。ルシア嬢は絶対に護衛から離れず、後方に待機することです。」


「了解しました!」


「ええ、ちゃんと言い付けは守りますわ。」


ルシアの自信満々な微笑みにエドゥアルドは仕方なさそうに息を吐いてから、居間へ乗り込む提案をした。

指示を出されたベッティーノが首肯し、ルシアも微笑んで答える。


後ろでよくも出来ないもしないというか、守るつもりがないだろうことをはっきりと宣言したな、という顔をしている護衛たち、後で覚えておけよ。

ちゃんと守るわ!

何事もなければ!!


ルシアはこれが終わり次第、己れの護衛たちと話し合う必要があるな、と思いながら、では行きましょう、と言ったエドゥアルドに並んで、騎士たちに続いて上がってきた階段を下りたのだった。


あっれ、可笑しいな。

全く話が進んでないぞ...?


...すみません、各キャラクターの書きたいところを書いたら展開が全く進まないという状況に(汗)


つ、次は今までのは何だったんだ、と言いたくなるように展開が急に早く動く予定ではあります。

(あくまで予定)


それでも引き続き、今作品を読んでくださると嬉しいです。

それでは、次話投稿をお楽しみに!


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