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ちょこっとあめー  作者: 星
3/13

1-1

 3月に入り、卒業式が無事終わる。

 卒業式当日や直前は、さすがに生徒会全員がほとんど集まった。たまっていた作業もかなりすっきりした。


 これで、生徒会の仕事も一段落、と思いきや、今日も昼休みに先生に呼び出される。


 放課後、生徒会室に入ると誰もいない。それは予想してた。そして、紙の山が復活していた。これは予想外だった。

 どうやら、今日は、山から1枚ずつ拾って<紙の束を小さい金属製の針で留める文房具>でがっちゃんする作業。それをこの枚数かー…。そびえ立つ紙の山。これ、ソロでいけるクエストですか…。

 嘆いていても作業は終わらないので、まずセットを作る方から始めることにする。


 ため息をつきながら、順番通り1枚ずつ集めて重ねる。トントンと紙を揃えて、やっと1セット終わり。

 また初めから。1枚2枚3枚…トントンと紙を揃える音が響く。

 また初めから…。


 うん、全然減ってない。

 まあ、やれば終わる。やらねば終わらぬ何事も。いつかはきっと終わる…はず。そして、悲しいことに、こういう単純作業を私は好きなのだ、と思う…。苦にはならない。でも……


「どうせ羽宮がやるんだろって言われるのはなんかムカつくー!」


 はっ、つい、思いっきり叫んでしまった…。思わず耳を澄ます。隣の教室などからは特に音はしない。多分誰もいない…。ほっとするのとため息が一緒に出る。投げ出すつもりはない。結局やるのだ。みんなの思惑通りに。


「ごめんね。僕も羽宮さんやってくれるかなーと思っていたよ…」


 ガラっと引き戸が開く音がする。えっ、と思って振り返ると、申し訳なさそうに、でも少し笑って、キョウ先輩が立っていた。


 (またやってしまったー!!!)


 心の中でムンクの叫びになっている。絵画と化した私を物ともせずに、作業の進行度を見ている。

 気がついたら、カッチョンカッチョン、<紙の束を小さい金属製の針で留める文房具>の音がしていた。


「あ、ありがとうございます」


 とりあえず、私も作業を再開することにする。ええと、今の分はどこまで拾ったか。これで3枚目か…。


「礼を言うのはむしろこっちの方だ。いつもありがとう。」


 小さい箱に入った芯を取り出しながら言う。「アキラとシュウは部活で」カチョンパチン<紙の束を小さい金属製の針で留める文房具>の芯の追加を終えて「佐々木さんは委員会かな」

 カッチョンカッチョンと再び先輩は、規則正しく山を崩していく。

 アキラ先輩と佐々木先輩が2年で、シュウくんが同じ1年。そろそろ運動部は大会のようだ。

「そうらしいです。」と答えてから、少し迷って、もう少しだけ迷って、私は、なるべく自然なように、そしてちょっと呆れたように、聞こえますように、と祈りながら口に出す。

「レンは逃げました。」

「そうみたいだね。」

 先輩は答えて苦笑する。


 帰り際の会話を思い返す。

キリ悪くてごめんなさい…。

この先でちょっと迷ってる部分があって…。

明日にはアップできるように頑張ります。

ここまで読んで頂きましてありがとうございます。

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