謎の人物との遭遇
「貴様、何者だ!? 斬るぞ!」
いきなり現れた、謎のおばさんを目の当たりにした沙夜香が、携えていた剣を振るおうとした。
夕里がすぐに諫める。
「さ、沙夜香ちゃん!乱暴しちゃダメよー。この人は幽鬼でもないのに、いきなり斬るなんて」
おばさんは、二人の守護精霊には構わず、加奈美と智花の姉妹に語りかけた。
「とても信じられないでしょうけれど、今さっき私が言ったように、この異世界には男が全く存在しないの。いるのは女だけ」
加奈美は首を振りながら呟く。
「そんな・・・異世界だなんて・・・そんなもの実在するわけがない・・・しかも男の人が存在しない、女だけの異世界なんて・・・」
智花は憤った。
「嘘ばっかり!私達は騙されませんからね!」
おばさんは暗い表情で言い返す。地獄の底から響いてくるような声で。
「やっぱり信じないか・・・まあ、いい。どうせ、すぐに分かることだから」
言い終わると同時に、おばさんの姿は煙のようにフッと消えてしまった。
四人は立ち尽くす。
一体、彼女は何者なのか?
今の時点では、何一つ、さっぱり、分からなかった。
今回の挿絵は、「謎のおばさんが消える瞬間」を描いたものです。