二人目の守護精霊
女神のように美しい黒髪の女性は微笑んで言った。
「よく頑張ったな。助かったぞ」
その透き通る声を聞いて、妹は慌てて言い返した。
「助かってないよ!お姉ちゃんが大怪我してるのに!」
その通りだった。
姉は妹の腕の中で呻いている。
「む、そうだったな。おい、顕現しろ、夕里!」
黒髪の女性が声を上げた。誰もいない空間に向かって。
ユウリ?
誰の名前なのか分からず、妹は困惑する。
すると、その数秒後。
「はいはい、分かってますよー」
なんと、おっとりとした女性の声が返ってきた。
そして、光芒を発しながら、奇妙な衣装を着た麗しい女性が現れたのだ。
妹は、もう、呆然とするしかない。
黒髪の女性の年齢が20歳くらいだとしたら、この人は20代後半くらいだろうか。
黒髪の女性より背は少し低いが、スタイルは負けず劣らず抜群で、ナイスバディのお姉さんだった。
「お疲れさまー、沙夜香ちゃん」
「早速だが、主が怪我をしている。治して差し上げろ」
サヤカ、と呼ばれた黒髪の巫女服の女性の発言通り、ユウリ、というらしいお姉さんは姉妹を見て、声を上げた。
「あらあらー、大変じゃなーい!了解したわ」
夕里は、そう言いながら左手をかざす。
次の瞬間、夕里の掌から暖かい風と柔らかな光が放出した。
妹は、こんな異常事態に遭遇しているにもかかわらず、その風と光に、姉と一緒に包まれて、心身が溶けてしまいそうなほどの気持ち良さを感じ、幸せな気分になった。
三十秒ほどそうしていただろうか。
「はい、おしまーい!」
夕里が嬉しそうに言った。
風が止み、光も消える。
姉と妹は綺麗に治っていた。
今回の挿絵は、姉妹を治している二人目の守護精霊・夕里の姿を描いたものです。