第1章 姉妹と一人目の守護精霊
挿絵を描かせていただきました。稚拙な絵ですが、ご覧くださいませ!
愛しい姉を想いながら叫んだ後、妹は目を閉じた。
約十秒後。
襲い掛かってくるはずの獣の形をした幽鬼の唸り声が聞こえず、妹は目を開けた。
そして仰天する。
一体いつの間に現れたのか、巫女服を着た、長く美しい黒髪の、大柄な女性が幽鬼を抑え込んでいたのだ。
「安心しろ。もう大丈夫だ」
彼女は、姉妹を見つめながら、透き通る声でそう言った。
なんて綺麗な人なんだろう。女神様みたい。
妹は、巫女服の女性を見つめながら、そう思い、次にその胸元を凝視する。
自分達姉妹とは、胸の厚みが異世界レベルで違っていた。
動きを封じられた幽鬼は、それでも諦めずに暴れている。
一体何が起きているのか、ほとんど分かっていない妹はただ目を見開いて唖然とすることしかできなかった。
一方、意識を取り戻していない姉の眼は閉じられたままで、その形のいい唇が少し震えて呻き声を漏らす。
「う、うう、ん」
巫女服の女性が、それに気を取られて一瞬隙を見せた。
それを待ちかねていたかのように、幽鬼が一層激しく暴れ、遂に拘束を振りほどいた。
「危ない!」
妹が声を上げる。
幽鬼は高く高く跳躍し、そのまま空中でピタリと停止した。
姉妹を襲った怪物が、宙に浮いている。
自由になった獣は、己より数メートル下にいる巫女服の女性を睨みつけて唸り、なんと炎を吐き出したのだ。
火炎放射器のように。
それでも全く動じない彼女は、これまた、いつの間にか出現していた日本刀を握りしめ、抜刀し、振るった。
この上無く、流麗な動作だった。
その一閃は、炎を切り裂き、そのまま幽鬼を一刀両断する。
悲鳴を上げた幽鬼は、次の瞬間、光の粒子となって消滅した。
挿絵で描かれているのは、「巫女服の女性と、光の粒子となって消滅した幽鬼」の場面です。
異世界百合ハーレム物語は、ここからスタートします!