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オープニング
もう少しで陽もくれそうな夕暮だ。永遠と坂を登ると、いつの間にか街並みが途絶えていることに気付いた。私は旅路の合間に地図を見ていたが、このような場所には目印になり得る印が一つも見当たらない。
私は道端の木製のベンチにもたれかかり、太陽が峰々の窪みに刺さってゆくのをじっと見つめていたが、陽が当たらなくなったことで視界が暗くなったので宿を探すことにした。
田舎の民宿などさぞ趣のあることだろう。胸を高鳴らせるのはいいが一向に宿らしきものが見当たらない。大学生の身なので、あと2ヶ月で名古屋まで帰らなければならないのがツライところだ。
バイトで貯めた貯金で東海道を旅するのはいいが、日々泊まる宿を決めてなかったのが悔やまれる。値段も構わず取り敢えず安息の場が欲しかった。
これから暇な時に連載します…