秘密の小部屋
主人が留守の間、絶対に覗いてはいけないという禁忌の部屋へ、私は立ち入った。
ほんの6畳ほどの小さな部屋。
でも、思わず私は入ってしまった。
わずかに開かれていた扉の隙間が、私を誘ったのだ。
その部屋は、他の部屋とは打って変わって、壁も床もコンクリートだけだ。
そこには、あちこちにセロハンテープで紙が貼られている。
紙は何が書かれているかわからない。
外国語で書かれているからだ。
そしてところどころに絵が描かれている。
外国のようだ。
形だけで判断すると、ヨーロッパのどこかという感じだ。
「入ってしまったんだね」
声にヒッと驚いて振り返ると、主人がいた。
「ご、ご主人様……」
「悪い子だ」
私が何を言おうと有無を言わさずに部屋から連れ出す。
「君は私の言いつけを破った。これはどうしようもない事実だ。だが、私も狭矮な心の持ち主ではない」
そして、私は主人と一つの契約をした。
この部屋の秘密を絶対に外に漏らさないこと。
そして、この部屋の秘密を一緒に解くということ。
こうして、私は、主人と全世界をまたにかけ、秘密を解く旅が始まった。
でも、それはまた別の話。