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if√if  作者: 北口
【現実世界編】First Evolution
13/21

夜の街・橋の上・雨の気配


翌日には完治したが、ターゲットはいつまでたっても学校に来ていなかった。

家の調べはついてる。だが…家に殴り込みというのはどうにも良く無い。教師達にバレるわけにも行かないからだ。

仁がいれば多少報道やら警察は機能しないが、それも何処までの力なのか不明瞭だ。

その為…仕方ないので、夜に行くことなった。


「やって来ました!敵の本拠地!」

「まだ敵と決まったわけでは無いのですが…」

メンバーは、北神、リースト、裏神、十柏。他のメンバーは予定通り置いてきた。

現在地は件の男の家のど真ん前。隠れる必要も無いだろうということでそうなった。


時刻は11時半、夜の戦闘が始まるまであと30分。本来は1時間前のはずだったのだが、リーストが遅刻したためだ。


暗闇の世界は街灯で照らされ、視界は良好。

空からの光は雲に遮られてしまっている。星もそれらに隠されてしまっていて…もしかしたら雨が降るかもしれない。


「武器が要るなら先に渡しておくが…」


「あくまで話し合いだ。隠し持てる物なら良いが…そうだな、銃は作れるか?」


仁は首を振った。作ろうと試みた事はあるが…少しのミスでもあれば弾が発射されない、構造もかなり複雑なそれは、今の彼には作れない。

以前拝借した物には、残弾が3発のみ。それを見せるのは避けたほうが良いだろう。


「なら良い。元々、俺はこれ一本だ」


そう言って十柏は拳を鳴らした。どうやら…本当に空手か何かやっていたらしい。

だが、それが通じるとはとても思えないのだが…それでも彼はついてくると言った。


「っ…!」


気配探知はまだフィーリアに比べると大した事は無いのだが…目の前の扉から男が出てくる3秒前には、来ることが解った。

赤髪の、上に伸びたツンツン頭が特徴的な男…河野 鋼は自身の家の前にいた複数人に一瞬驚いたような顔をして、それからやれやれと溜息をついた。


「おいおい…ったく……」


一歩前に出たかと思うと、男はそのまま溜息交じりにこちらに歩を進め、


「場所を移そうぜ」


4人の前を素通りで、そのままのんびりと歩き出した。


4人はそれぞれ顔を見合う。そして頷きあい、それについていく。

辿り着いたのは、車の通りも既に一切無い、陸と陸を繋ぐ橋の上だった。そのちょうど真ん中、道路の上で、河野は振り返った。


「んで〜?用件は何だよ」


話し合いはメインに裏神が担当することになっている。十柏が指摘する事もあるだろう。


「貴方があの、夢の中の少女に炎を向けていたのを見ました」


男は動じた様子も無く、また否定する事もふ〜ん…とだけ。そしてまた黙った。


「何も、警察に言う等の、貴方に不利益な事をする気はありません。私達はただ…知りたいんです」


知りたい…その言葉で察したらしい。というよりも、予想できていたようだった。


「はぁ…俺はあのクソガキの正体を知ってる。だがそれだけだ。現在地も知らない。…んで、これでいいのかよ」


思ったよりも簡単にそのことを喋った河野に少し驚きながらも、裏神は質問を重ねる。

思ったことを隠せるほど、子供(うらかみ)は器用ではないらしい。


「何故、知っていたんですか。そして、あの炎…あの子を、殺そうとしていたんですか」


ぴくりとも動じた様子は無い。

だが…視えた。

質問が口から発せられると同時に、裏神の眼前に鋭い水の弾丸が迫る。

仁は彼女のパーカーの首元をひっつかんで避けさせた。


「っ…げほっ…北神、さん…助かりました」


文句の1つでも飛んでくるかと思ったが、彼女はそう礼を言うと、キッと鋭くした目で真っ直ぐに河野を見据えた。


「へぇ…やるじゃねぇか北神。お前のその髪も、あのクソガキのソレなのか?」


「いいや、俺は自分の意思でこの力を掴んだ。…引っかかった馬鹿と、一緒にするな」


悪びれた様子も無げに、河野は今度は炎を右手に出現させる。


「…どうして、攻撃してきたんですか」


「情報が欲しければ力ずくで奪え。それもできないようなお子ちゃまにホイホイと情報を渡す程、俺も馬鹿じゃあないんでな」


完全にやる気らしい。男の前に仁が立ち塞がり、その横に十柏も。少し離れた位置に、リーストと裏神が移動した。


「さぁて…1分でケリつけてやるぜぇ!」


間違って殺すようなことはないだろうということで、彼は双剣を投影した。

そして特攻。河野が放った幾つもの炎と水をそれで撃ち墜としながら駆け…右手の剣を振り下ろす。

河野はそれをひらりと躱す。それも、涼しい顔で。…万が一刺さったら命が危ないかもしれないのに、だ。

常人では避けられないであろうそれを軽々と避けるこの男は…明らかに“ただの能力者”とは違う位置にいる。


振り下ろた剣の軌道をズラすと…刃が届くのを覚悟で全方位へ向けて、爆発的な炎を放つのが視えた。


攻撃を中断、後方へ跳ぶ。視えた通りの爆発じみた炎が放たれた。

どうやら、ズラそうが否であろうがそうするつもりだったらしい。

裏神達の元まで跳んだ結果、爆発は彼には当たらず…炎が止んだその時、いつの間にやら男の背後に移動していた十柏の、助走の乗った右ストレートが放たれる。

背後を振り返った河野、しかし既に遅く…右頬を殴り飛ばされて大きく飛ばされた。


十柏は殴った右手を確認する。

彼の右手は少し赤くなっていた。

それは全力で殴ったからではなく…河野がとっさに、1cmにも満たないような小さな炎を出現させたから。

背後にいると解るや否やすぐに能力を発動させる…。そんなことができるぐらいには、戦い慣れているらしい。


飛ばされてきた河野を、サッカーボールの要領で蹴り飛ばそうと仁は構えたが…男はうまく受け身をとり、彼の蹴りに合わせて自身も蹴りを放った。それも、炎を纏った足で。

避けるには間に合わず…彼は脚を止め、それを剣で防ぐ。

剣の腹が鋭い蹴りによって殴られ、武器はいとも簡単に壊れてしまった。

勢いの止まった脚はしかしまだ炎を纏っている。

どうしたものかと男2人が悩んでいたその時に…その脚に、一筋の針のような光が突き刺さる。

弾丸の飛んできた方角は裏神とリーストが下がっていた方向。

光は、リーストが持つ黄金の銃から放たれたものだった。

その光が刺さった足から一瞬炎が消える。同時に光も消えるが、刺さった足から血は流れていなかった。


思わぬ方向からの攻撃に驚いている隙を突き、下段から河野の腹めがけ、薙ぎ払うように左脚で蹴りを放つ。

橋の手すりに激突した河野は衝撃で唾を吐き、やがてノロノロと『降参』の両手を挙げた。



「あいつの手掛かりが欲しくて、親のコネやらで“公的なその組織”に入った。“世界”を受け入れ敵対せず、しかし気付かれないように、情報を得る事だけを目標に動く…俺らはその組織を“社会”と呼んでいる」

裏世界はどうやら、あの夢での宣言よりも前から各所で存在を知られていたらしい。

その動きの情報をいち早く獲得するための組織、そこに彼は入っているとのこと。

潔く負けを認めた河野が告げたのは以上のことだった。


「ん〜…いよいよそれっぽくなってきたね〜」


「あの、それって…私達に言ってしまって大丈夫なんですか…?」


「まぁ…勝者は絶対、だからな」


河野は頭を掻きながらゆっくりと立ち上がる。やれやれ…と、表情が言っていた。


「知りたかった…というのは?」


「…個人的なことだ。過去に、あのガキに恨みがある、そんだけだ」


言いたくないらしい、目を逸らした後、『聞くな』と再び目を合わせ、ジッと言葉無く訴えていた。


「あの能力は…他人にトラウマを植え付ける力だ。それで頭が可笑しくなって、髪が白くなるって〜わけだ」


「…そうか。……現在地の手掛かりは、本当に知らないんだな?」


嘘を見抜く力がある癖に、十柏は再度そう尋ねた。


「ああ…。つうか、“世界”が何処にいるか、今現在入ってる情報はない。いままではある程度入ってたんだが…あの日から、何処にも姿が見えてない」


そうか…と十柏は頷いた後また考え込んだ。

合図は無いし、嘘は言っていないのだろうが…今後のことで迷っているのかもしれない。


「組織に入りたいなんてことは言わないだろうが…一応。秘密を守れる…つまり、拷問に耐えられるような奴。加えて戦闘能力か探索能力を持ってる奴なら大歓迎だ」


言いながら彼は右手に炎、左手に水の塊を、それぞれ出現させる。両手を重ねると…あり得ないことに、炎が水の中で揺らめいていた。


…お前は秘密をペラペラしゃべったけどな、というツッコミが喉元まで出掛かったがなんとか飲み込んだ。


「んで…それを知ってお前らはどうする気だ?」


彼のパフォーマンスに喜んでいたのはリーストのみで、裏神と十柏は考えにふけっていた。そして仁は…あることを感じ取り、溜息を漏らしていた。


「俺たちがお前に接触を図ったのは、お前が何か、世界がしようとしていること、居場所、能力などを知っているんじゃないかと思ったからだ。ただ…今後に備えて、世界に対しての情報が欲しかった。それだけだ」


「…愛する者が白くなっていたとかじゃなくてか?」


キョトンとしながらのその河野からの質問に全員が首を振った。


「おいおい、そりゃないぜ…。はぁ、やれやれ…なるほどな。…なら、最後に1つだけ教えておいてやる」


頭を抱えて溜息を漏らす。しかし、所詮そんなもんだよなぁ…とポツリと呟くと、男は忠告をしてきた。

…今思えば、少しは考えておくべきだったのかもしれない。…どうして、他の白髪達がこの場にただの一人も来ていないのか。乱入する気が有ろうが無かろうが、少なくとも、あの爆発じみた炎に気付かないはずはないのに。


前日に風邪を引いた話があったのですが、賞の文字制限に触れてしまうので飛ばしました。後日投稿します。


台詞の前後に改行を入れてみましたが、必要無いでしょうか?


2016/04/14 作品タイトルを変えました。

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