四。桜舞能力
やっと。
長かった。
疲れた。
腹減ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
桜の木はなんとも言えないすごさを放っていた。
「……凄い」
私はつい見とれてしまった。戦闘中にもかかわらず、だ。すると、何か迫って来る感じがした。
「櫻華危ないっ!」
「来て…ます」
「はっ!」
いけないいけない、つい見とれて過ぎていたらしい。最後の一匹が私に攻撃を仕掛けて…ってヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!
すると突然、風が吹いてきた。驚いて目を閉じたけどなんとか大丈夫だったらしい。
『大丈夫…ですか?』
その声で私は目を開けた。そしたらそこにはどっか見たことあるような顔をした薄いピンクの着物を来た女の人がいて、周りはその人と同じ様なピンクの世界に二人でたっていた。
「だ、誰?」
『よかったぁ~
怪我は無いようですね』
「だから…」
『私は櫻姫。あの桜に宿る…神様みたいなそn』
「は?神サマ?またですか?」
『えっと……』
「さっきのあいつも神サマっつてたし。なんなのよ」
『あぁ、彼かぁ~』
「え、知り合いなの?」
『社の中にいた彼でしょ?またこんなことして…』
「あいつ何者ですか?」
『それは教えられないんだけど、私はヤチホコって読んでるよ?』
「ヤチホコ?」
『知らないなら良いや』
「それで…」
『ま、とりあえず彼のことはおいといて、とにかく、あなたに私の力を授けましょう。桜の帯をイメージして手を出して。そしたら私が力を送ったげるから!』
「う、うん。分かった」
『それじゃ、後は頑張ってね!』
気が付くと、さっきの場所に戻っていた。
一体何だったんだろう。でもまずは。さっき言われた通りに手を出したら、体の中があったかくなってきて、
「"桜ノ舞"ぃっ!!!!」
気が付いたらそう叫んでいた。
次の瞬間、あの桜の木から突風と共に桜の花びらが帯のようになって襲って来た、と思ったら、最後の一匹に向かって行き、貫いてしまった。
「何、今の?」
「凄い…」
「えっ、えっ、」
突然のことにみんな驚いちゃった。そりゃまぁ、誰でも驚くわな。
アヤメ達の魔法とは全然別物だもん。
「それが技だ」
「は?」
「だぁかぁらぁ~、それが技だっていってんの。今の感覚を覚えとき。後々ちゃんとした使い方を教わるから」
「何処で?」
アヤメがそう言い寄ってるけど、私は予想がついていた。だってここから学校らしきものが見えてるんだもん。
てか、社に言い寄ってるって変な人みたい。
「君たちは来年度、つまり高校にはここの高校、神帝高校に入学してもらう」
「やっぱり…」
「えっ…」
……声に出てた。
多分、
「あそこだ」
ですよねぇ~。
でもどうやっていけばいいか分かんないんだけど。
「いまから使いの者を送る。そいつについていけ」
すると、目の前に真っ白いフードの人がいきなり出てきた。びっくりした。
(ついてこい)
今そういった?めっちゃ聞こえんのだけど。
「ちょ、そこの栗毛の二つ結びの娘、なんという?」
えっ、私?
こんな嘘臭い神サマに名乗らないといけないの?
「嫌です」
「勿論ただでとは言わない。三人で一番聞きたいことを聞いてもいいとする。でも、答えられないのはカウントしないとしよう」
よし、それじゃ
「先に答えてくださいね。あなたは何者何ですか?」
「神サマd」
「そんなことはどうでもいいんです。私は、人に名乗らせるならまず自分が名乗るべきだといってるんです」
「……なるほど。それも一理あるな」
「じゃあ…」
「ヤチホコ」
「「「えっ」」」
「ヤチホコと名乗っておこう」
「知ってます。」
「………櫻姫、か」
やっぱり本当だったんだ。
「あ、あの、兄は…」
「ん?」
「山上武はどうしてますか?」
それね。多分風利が一番聞きたいことだね。
「あぁ、あの子か。こっちで元気に過ごしてるよ?来年三年生だからって張り切ってる」
「ありがとうございます」
気を取り直して、あのフードの人についていこう。そうしよう。
「オイ!」
ばれちった。
「清水櫻華」
「………やはり」
何この人。なんか知ってんの?
「あの…」
「もういい。行け」
それじゃいってきます。