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前兆
☆この話はアシンメトリ―のその後のお話になっています。
☆ミク22歳の春、専門学校を卒業したミクは、クラスメートだったトオルと付き合っていた。
トオルは優しくて今時珍しい真面目な男だった。
わがままを聞いてくれるトオルの傍は居心地が良かった。
デザイナーの彼と、絵が好きなミクは一緒にいるだけでいつも楽しく、一緒にご飯を作ったり、絵を描いたりして暮らしていた。
このまま結婚して、子供を産んで平和に暮らすのも悪くない。
なんだか男運がないせいかミクはだんだん結婚を意識しはじめていた。
トオルの事は恋愛対象というより、旦那だと思っていた。
…しかし
トオルは言った。
「結婚?そんな先の事よくわかんないよ☆」
…は?
ミクはトオルと別れる事にした。
ただ、今よりも幸せになりたいってその時は思った。ミクは探していた、自分とずっと一緒に居てくれる相手を。
彼の事は全然嫌いじゃない。だけど平行線な毎日がただ続いていくのが怖くなったのだ。
そしてミクは一人になったのです。