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エンド・オブ・ワールド  作者: 高崎司
6/26

6話

 ────2020年 8月14日 月曜日────


 学校の授業中に、ふと携帯を開いて、《EOW》の掲示板を覗いた俺は、驚愕に目を見開いていた。

 早くも昨日のボス戦が話題になっており、そこには《ある》いくつもの共通した噂が流れていた。

 曰く第2フィールドのボス戦では、一人の男がボスを倒した。

 曰くその男が使うスキルは、誰も見た事も聞いた事もないようなスキルであった。

 彼のスピードは常軌を逸していたなど。


 全てがレンに纏わる噂話であった。

 冷静に考えてみれば、それも納得だった。

 昨日あれだけ派手に皆の前で、スキルを使ってしまったのだ。

 噂にならない方がおかしい。

 ただここまで噂が早く浸透してしまうとは、自分でも予想外の事であった。

 学校から帰った俺は、早速ログインすると、新しく解放された第3フィールドにインした。

 第3フィールドは山岳地帯となっていて、町から見える範囲で無数の山々が屹立しているのが見える。

 俺は新フィールドに心躍らせながら、しばらく町を歩き周った。

 いちどフィールドが解放されれば、誰でも行き来が可能になり、第2フィールドの町では見かけなかった顔も、ちらほら見える。


 たぶん皆も久しぶりのボス戦勝利の朗報に、舞い上がっているのだろう。

 町はお祭りムードに包まれており、誰もが笑顔で会話をしていた。

 そんな中、《ある噂》が俺の耳朶を打つ。


「なあ聞いたか? 第2フィールドのボス戦の話……」

「聞いた聞いた……今ネットでもすごい騒ぎになってるよな!」

「あれって本当の話なのかな? 何か一人でボス倒したあげく、物凄いスピードで動き出して、ボスを翻弄してたって話だぜ……」

「でももし本当なら、ソイツが一番先にこのゲームをクリアするんじゃねーか?」

「いくら何でもそりゃ無理だろ……この先にはまだ二つフィールドが用意されてるんだぜ?」

「だよな……そんな簡単にクリアできたら、《暁の騎士団》がとっくにクリアしてるよな」

「そういや最近、名前聞かなくなったな……お前何か知ってる?」

「いや、俺も全然わからなくてさー。噂だとボス戦で負けて解散したんじゃないかって……」

「マジで!? いくら何でもそれはないだろー。あれだけのギルドが解散となりゃ、もっと噂になってるさ」

「そっかあ……でも今は《神速の剣士》が一番熱いよな!」

「だよな! 俺も生で見てみたいぜー」


 そんな会話が俺のすぐ近くで聞こえてきた。

 どうやら渦中の人物は俺らしい……。

 しかも変なあだ名付けられてるし……。

 恥ずかしくなった俺は、そっと側を離れると、人ごみの少ない裏通りへと入った。

 ふうっと息を吐くと、先程話に出てた《暁の騎士団》について考えた。

 彼等の話が本当なら、《暁の騎士団》はボス戦に負けて解散したのか?

 いやでも、そんな事実があるならもっと噂になってるはずだし……。

 この第3フィールドまで来ても、噂が聞こえてこないと言う事は、第2フィールドに留まっているのか?

 それに第2フィールドのボスは倒されてなかった。

 それはつまり、彼等《暁の騎士団》が第2フィールドをクリアしていない事を意味する。

 それならユイの姉を探すなら、ここではなく第2フィールドに戻らなければならない。

 俺はユイを呼び出すと、自分の考えを話した。


「俺は第3フィールドにユイの姉さんはいないと思うんだ。なぜなら第2フィールドがクリアされてなかったからな。つまりユイの姉さんは、まだ第2フィールドに居ると言う事になる」

「確かにそうですね……でも今第2フィールドに戻るという事は、レンさんが一番大事にしている、ゲームクリアとは反対の道になっちゃいますよ?」

「そうなんだよな……でも俺もユイの姉さんの動向は気になるんだ。もし何らかの事情があるなら、俺はそれを知りたい。そして助けられるなら助けたいんだ」

「レンさん……なら一旦第2フィールドに戻ってみますか?」

「ああ、そうしよう。もしそれで何もなかったら、このままゲームを進めるしかないな」

「わかりました。それじゃ第2フィールドに行きましょう!」


 俺達は第3フィールドを後にすると、第2フィールドの町【スノーヘブン】へと一旦戻るのだった。

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