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エンド・オブ・ワールド  作者: 高崎司
2/26

2話

 ────2020年8月10日────


 昨日エンド・オブ・ワールド、通称《EOW》でユイと出会った翌日。

 俺は朝学校へと行き、特に何事もなく放課後を迎えると、帰ってきてからまたログインした。

 わざわざ専用の設備に行かないといけないのはめんどくさいが、家にあんなでかいカプセル置けないから仕方ない。


 いつもの様にログインした俺は、第2フィールドの町【スノーヘブン】に立っていた。

 この町は第1フィールドがクリアされてるので、誰でもテレポートして来る事ができる。

 テレポートとは、町の中心に専用の機械があり、それを使えば違う町へと簡単に行く事ができる便利な機械だ。

 ただし外に出て冒険するには、レベルが最低でも20ないと厳しい。

 俺のレベルでとりあえず戦闘できるレベルだ。

 本当このゲームが、もうちょっとレベル上がり安ければ、とっくに全クリされてるんじゃないかと思う。


 そんなどうでもいいことを思っていると、俺の耳に着信音が聞こえた。

 着信音と言っても、携帯電話の様な音ではなく、簡易的なポーンと聞こえる音だ。

 俺は自分のステータスウィンドを目の前に表示させると、フレンドからメッセージが届いている事に気付いた。

 差出人は……ユイと書いてある。


 実は昨日、ログアウトする直前に何かの縁だと言う事で、お互いをフレンド登録したのだ。

 このフレンド登録をしておくと、こうやってメッセージが送れたり、連絡を取り合う事ができるので非常に便利なのだ。

 ただナンパ紛いの事をする輩もいるので、女性のプレイヤーはフレンド登録は慎重にやった方がいいと思う。

 ナンパ目的ならいいが、何か事件に巻き込まれてしまってからでは遅い。


 俺はユイのメッセージを表示して読んでみた。

 そこにはこう書いてあった。



 ────レンさんへ────


 よかったらこれから会えませんか?

 今私も【スノーヘブン】にいるんですが、今時間大丈夫ですか?


 ユイより




 別に時間はあるんだけど、厄介な事になりそうな予感がする。

 でも無碍にする事もできない優柔不断な俺は、結局ユイと連絡を取って会う事にした。


 二人が待ち合わせたのは、広場と呼ばれるベンチが多数あって広い空間で構成されている場所だった。

 ここはいろんな人が待ち合わせに使ったり、中にはカップルでベンチに座ってイチャついている人達もいる。

 そんなカップルを尻目に、先に着いた俺は少し暇を持て余していた。

 すると遠くの方から、俺の名前を呼びながら美少女が走って来た。


(なんだあの恥ずかしい女はっ! つか俺の名前を大声で呼ぶなよ! めっちゃ見られてるからっ!)


 俺は逃げたくなったが、近づくに連れその女が見た事あるプレイヤーだと気づき、なんとか逃げるのは辞めた。


「なんだユイか……てっきりどっかの馬鹿な女かと思ったぞ」


「ひどいですっ! 馬鹿な女ってなんですかっ!」


「悪い悪い。それより俺に用事ってなんなんだ?」


「そうでした! そこのベンチに座って話しませんか?」


 ユイが指したベンチはカップルがイチャついていたベンチだ。

 しかもさっきユイが俺の名前を呼びながら走って来たから、周りからはカップルだと思われてるだろう……。

 俺は少し恥ずかしかったが、ユイは何にも気にしてなさそうなので、意識せずに平静を装って隣に腰を下ろした。


 すると早速ユイが話かけてきた。


「レンさん。実はレンさんに頼みたい事があるんです!」


「やだ」


「なんでですか! まだ何にも言ってないですよ!?」


「どうせお姉さんを探すのを手伝ってくれって言うんだろう?」


「どうしてわかるんですかっ!?」


「だって俺に頼みたい事って、それしかないだろ」


「そうんなんですが……ダメでしょうか?」


 なんか子犬の様な目でお願いされた。


(くっ! こいつできる!)


「そもそも出会って間もない俺に、何で頼むのか教えてくれないか?」


「だってレンさん頼りになりそうだし…………それに昨日助けてくれた時、カッコよかったですし……」


 なんか後半は聞き取れなかったが、どうやら厄介事が舞い込んで来たみたいだ。

 俺は正直そんなめんどくさい事したくない。

 自分のレベルを上げて早くクリアしたいし。

 俺の目的は、このゲームを最初にクリアした人しかもらえないと言われている、《レジェンダリー・ウェポン》が欲しいのだ。

 オンリーワンの伝説上の武器。

 その価値は金では買えないと言われ、このゲームをプレイしている誰もが欲しがるお宝だ。

 それなのにそんな厄介事を引き受けたら、クリア所ではなくなってしまう。


 俺は可哀相だが断ろうとした。

 するとユイが立て続けにこう言ってきたのだ。


「レンさんはソロですよね? ソロだとこの先厳しいんじゃないですか?」


 くっ! 痛い所を突かれた。

 そうなのだ。俺は今までソロで進めてきた。

 しかしこの先難易度は上がるばかり。

 これからはパーティーを組んで、戦闘して行かなければ途中で積んでしまうだろう。

 それは俺もわかっていたのだが、今の所はソロで何とかなっていたので考えない様にしていたのだ。

 何よりこのゲームで知人と呼べる知り合いもいないし……何か自分で言ってて悲しくなってきたな……。


 ────こいつどこでそんな知恵を付けてきたんだ?


 俺が何の反応も示さないでいると、ユイは更に詰め寄ってきた。

 既に肩と肩が触れ合う距離で、少し近づけばキスしてしまいそうな距離だ。


「近い近い!」


 俺が言うとユイも気付いたのか、少し顔を赤くして距離をあけた。

 少し沈黙が流れたが、俺はある事に気付きユイへと話しかける。


「でもユイってレベル10だったよな? 正直足手まといなんだが……」


「うっ! でもでも! これからレベル上げればいいですし、私遠距離攻撃だからレンさんとは相性いいと思いますよ!」


 確かにそう言われるとそうだな。

 遠距離アタッカーがいれば、戦闘も安定する。

 何より遠距離からの攻撃なら、敵からも狙われにくい。

 ……ユイが狙われる心配もないわけか……。


 俺はしばし逡巡してから結論を出した。

 しょうがない。俺には選択肢はなかったと諦めよう。


「わかった。けどゲームクリアが目的だから、悪いけどお姉さんを探す事に専念はできない。ゲームを進めながら探す……それでもいいか?」


 ユイは花が満開に咲き誇ったような、そんな幻想を抱かせる様な笑顔で言った。


「はいっ! これから宜しくお願いしますねっ!」


 その笑顔を見た俺は、少しだけ……本当に少しだけだが、引き受けてよかったかもしれないと思った。

 この笑顔が見れるなら、少しの厄介事なんて苦にならない。

 そんな気にさせてくれる笑顔だった。


(やれやれ……結局俺も甘いよな)


 一人心の中で呟いて、俺は空を見上げるのだった。

 今日もゲーム内は快晴だ。

 空を眺めながら、あの空の向こうにまだ見ぬ第5フィールドがあるのだろうかと思った。

 もしあるなら、絶対一番最初に到達してやると固く誓いながら、これからどうしようかと思案するのだった。




 ────その後、とりあえずはユイのレベルが低すぎるので、俺はユイにレベル上げをしようと提案した。


「そうですね! 私の今のレベルじゃ足手まといだし、でもレンさんはいいんですか? 攻略が遅れてしまいますよ?」


「まあしょうがないだろ。ユイの手伝いをするって言っちゃったし、このままじゃ探す所の話じゃないからな」


「ありがとうございますっ! 私レンさんがいなかったら、今頃路頭に迷ってましたっ!」


(またこいつは恥ずかしい事をさらっと……無自覚なのか? 末恐ろしいな)


 レンがユイに恐怖を感じていると、昨日ユイと出会った【異界への森】が見えてきた。

 とりあえず今日の所は、土地勘のある場所でレベリング(レベルを上げる事)をしようと言う事になったのだ。

【異界の森】に入る前に、レンは確認したい事があった。


「なあユイ、ちょっと聞きたいんだけど、装備って今どんな感じだ?」


 はい? と首を傾げながら、ステータス画面を見せてくる。


(いやいや!! 本当にコイツは無防備だなっ!!)


 普通ステータス画面は簡単に他人に見せるべきではない。

 男の俺なら関係ないが、女性だとマズイ理由があるのだ。

 ステータス画面には、身長・体重・その他に、いわゆるバスト・ウェスト・ヒップといった、身体データも書かれている。

 だから普通は女性プレイヤーなら、ステータス画面を他人に見せるなんて事、まずありえない。

 これはもっと初歩的な事から教えていかないと、いつかユイが大変な目に合うなと思った。

 俺は頭を抱えたくなったが、なるべくステータス画面を見ないようにして、ユイに質問した。


「今のユイの装備を教えてくれるか?」


「いいですけど……何で顔を逸らしているんですか?」


 ユイは不思議そうに首を傾げてこちらを見つめている。

 しょうがない、レクチャーしてやるか。

 またまたレン先生の初心者ニュービー講座が始まった。


「あのな……知らないんだと思うけど、ステータス画面には身長と体重と一緒に、見られちゃマズイもんが書いてあるんだよ。自分で確認してみな」


 俺が言うと、ユイは自分のステータス画面を見て読み上げ始めた。


「えーとっ……身長・体重・それから……バスト8ッ!! なんですかこれはッ!?!? なんでこんな情報がッ!?」


 ユイは顔を真っ赤に染めると、あわあわとパニくっていた。

 見ている分には可愛いので、イジワルしたくなるが可哀相なので教えてやる。


「最初に身体スキャンみたいな事されたろ? そのせいで、身体データも繁栄されてるんだよ。たぶんそれが原因だな」


「────ッ!! てことは、ステータス画面を他人に見せるのはマズクないですかっ!?」


「そうゆうこと。だからこれからは無闇に、他人にステータス画面は見せちゃダメだぞ?」


「…………」


 ん? どうしてユイはムスッとした顔してるんだ?


「どうしたんだよ? 何かあったか?」


「……見ましたか?」


「何を?」


「私のステータス画面です。見たんですか?」


「おい……俺はさっき目を逸らしてただろう! 言いがかりだっ!」


「レンさんはエッチですっ! もう知りませんっ!」


「なんでだよっ!!」


 俺は理不尽だと思った。

 せっかく親切に教えてやったのに……しかも冤罪だし。

 それからしばらくは、ぷくっと頬を膨らませたまま怒りっぱなしのユイであった……。


 やっと落ち着いたユイを連れて、【異界の森】へと足を踏み入れる。

 最悪な事にユイの装備は、初期装備のままだった。


 武器:ウッドアロー

 防具:ウッドベスト

   足:ウッドブーツ


 ────何て見事なまでの初心者丸出しなんだ……。


 俺はユイの頼み事を聞いた事に、後悔し始めていた。

 これからユイを鍛えるとして、俺が攻略始められるのはいつになるのだろう……。

 天を仰ぎながら、自分の置かれた境遇を嘆く事しかできなかった。


 しばらく歩くと、目の前にモンスターが出てきた。

 昨日戦った《スノーウルフ》だ。


「ユイ! 俺が先手を打つから、止めはユイが刺せ! できるかっ!?」


「ハイッ! 大丈夫です!」


「じゃあ行くぞ! はああああ!」


 俺は《スノーウルフ》へと斬りかかった。

 俺の斬り下ろしを躱した《スノーウルフ》は、俺へと突撃してきた。

 その大きな体を生かしたタックルだ。


 しかし俺は冷静に躱すと、背後から【クロスエッジ】を放つ。

 剣が肉を抉る確かな手応えを感じた。

 《スノーウルフ》のHPが残り1割まで削り取られる。

 俺はユイに手で合図を送った。


 すると俺の後方で待機していたユイが、弓を引いているのが見える。

 本当に弓を引いている姿が様になっている。

 綺麗な姿勢で弓を引いていたユイは、一気に弓を弾いた。


「ハッ!!」


 綺麗な掛け声と共に放たれた矢は、見事《スノーウルフ》の体のど真ん中を射抜くと、悲鳴をあげながら散った。

 やっぱり弓を引く姿が綺麗すぎると俺は思った。

 弓を引く姿勢、放った後の間、そしてあの命中率。

 どれも一朝一夕でできるレベルではない。


「おめでとう。ユイはもしかして、現実世界でも弓を扱っていたりするのか?」


「よくわかりましたねっ! 実は私、弓道部なんですっ!!」


 なんでか胸を張って誇らしげにしていた。


「やっぱりか。あれだけ弓の扱いに慣れてると誰でもわかると思うけど。とりあえず1体倒せたな。実は最後に止めを刺した人が、1番経験値をもらえるんだ」


「そうだったんですかっ!? あっでもそれだとレンさんは経験値が入らないんじゃ……」


「それは大丈夫だよ。今は二人でパーティー組んでるから、ユイ程じゃないけど俺にも経験値は入るから。それにこのレベルのモンスターじゃ、俺だと大して経験値もらえないし」


「そうですか。なら良かったです!」


 しばらく手頃なモンスターを狩ってレベリングを続けた。

 その成果はユイのレベルが3上がった事で、ユイは大げさなくらい喜んでいた。

 時間も結構立っていたので、一旦俺達は休憩する事にした。

 手頃な場所で座り込み、疲れた体を休める。

 実際に体が疲れているわけではないが、脳から送り出された信号を読み取って、この仮想の体を動かしている。

 そのため長時間戦闘を続けていると、脳が疲れてきて体が疲労を感じている錯覚に陥るのだ。

 そうゆう時は無理せず休憩しないと、後々重大なミスに繋がりかねない。


「ユイはさ、ゲームするのが初めてなんだろ? 怖くないのか?」


「怖い? 何でですか?」


「いやだって、仮想の体とはいえダメージ受けたら血が出るし、死ぬ恐怖だってあるだろ? 女の子にはキツイんじゃないかなって思ってさ」


「……そうですね。今まで考えた事もなかったですけど、言われてみればそうかもしれません。でも私には姉を探すという目的がありますから。あんまりそういう事考えた事なかったです」


 あっけらかんとユイは言った。

 俺はこの子は強いなと思った。

 精神的に強いのだ。

 普通だったら怖がるはずだ。

 なんたってゲーム内とはいえ、実際に自分がダイブして体を動かしているんだ。

 死ぬ恐怖は現実のものと、指して変わらない。

 俺だって死ぬのは怖い。

 だから今までソロでやってきたけど、死ぬ事に関しては細心の注意を払ってきた。

 デスペナが痛いのもあるが、何より死の事が怖かった。

 もし何かの手違いで、そのまま目覚めなかったらと思うと簡単に死ぬ事なんてできない。

 それをユイは微塵も考えた事がないと言う。

 この子はこれから更に強く成長するだろうと、確信にも似た思いが俺にはあった。


 休憩を終えた俺達は、あと数時間狩りをしてログアウトする事に決めた。

 その後は順調にモンスターを狩って、ひたすらレベリングを続けた。

 日が暮れて夜に差し掛かる頃には、ユイのレベルは4上がって、レベルは14にまで成長していた。

 途中でユイは弓スキルの《スラッシュ・アロー》を覚えていた。


 《スラッシュ・アロー》とは弓スキルで最初に覚える技らしい。

 一度試しにモンスターに打ってもらったんだが、命中率補正とクリティカル補正がかかるらしく、通常の攻撃の2倍程の威力を発揮した。

 元からプレイヤーテクニックで弓の命中率が高かったユイは、このスキルにより命中率100%を記録した。

 何よりクリティカル補正がかかるのがでかく、ユイの放った矢は《スノーウルフ》であれば、HPを半分程削る威力を叩き出した。

 そのおかげで、途中からはスキルを使って、かなりレベリングするのが楽になったぐらいだ。


 俺はユイがどんどん成長していくのが、嬉しかった。

 これが弟子を持つ、師の気持ちなのかな、なんて調子のいい事を思ったりした。


 俺達は【異界への森】から出ると、真っ直ぐ【スノーヘブン】まで帰還した。

 その後、ユイと別れを告げて二人共ログアウトする。


 意識がブラックアウトする感覚が無くなると、自分の体を覆うカプセルの中で俺は覚醒した。

 少し疲れが残る体のまま外に出た俺は、携帯をポケットから取り出して現在の時間を確認した。

 デジタル表示で20:00と書いてある。

 大分遅くまで潜っていたみたいだ。

 俺は男だからいいが、ユイは帰り道とか大丈夫だろうかと心配した。


(────って何で俺がアイツのプライベートまで心配せにゃならんのだっ!)


 一人ツッコミを終えると、駅に向かって歩き始めた。

 どうもゲーム内の立ち位置が、そのまま現実世界でも繁栄されている。

 別に俺はユイの保護者でもなければ、友達ってわけでもないんだ。

 現実世界への質問は、基本的にタブーとされている。

 だから自分から聞く事もないし、聞かれる事もないだろう。


(でもそれって何か悲しいよな……)


 ────って今俺は何を考えていた?


 湧き上がる変な感情に戸惑いつつ、俺は駅の階段を登ると、電車が来るのを待つ。

 やがて駅のホームへと入ってきた電車に乗り、最寄駅まで座ってしばらく思案していた。

 電車が駅に到着すると、階段を下りて自宅までの道程を走って帰宅した。

 帰宅した俺はすぐに居間に行くと、帰り際コンビニで買ったお弁当を温めて食べる。

 実は両親は今、二人揃って海外出張中で家の中には、俺一人しかいなかった。

 両親は考古学の研究か何かで、海外の研究所に行っている。

 そのため家の家事全般を一人でこなさなければならず、たまには手を抜く事もある。

 今の世の中、コンビニという便利なお店があるので一人暮らしには欠かせない存在だ。

 少し遅めの夕飯を食べた俺は、その後風呂に入って、少しテレビを見てから寝る事にした。

 最近はテレビでニュースばかり見ている。

 ユイから話を聞いた後から、ニュース番組を気にするようになってしまった。

 もしかしたらテレビで情報が得られるかもしれないと思ってのことだ。

 しかし今の所は、それらしき報道はされていない。

 という事は事件絡みではないのだろうか?

 だとするとユイの姉は、今どこにいるのだろう……。

 一人で考え込んでいても、何もわからないので早めに眠る事にした。

 明日は金曜日なので、明日学校に行けば土日は好きなだけログインできる。

 そう思うと自然と高揚してきた。

 ユイに会えるのを、どこかで楽しみにしている自分がいる事に気付くと、俺は頭を振って雑念を追い払った。


(今のはただの気の迷いだっ!)


 俺は自分の心に嘘を吐くと、ベッドに横になりながら、羊を数え始めた。

 羊が1万匹登場した辺りから、意識がだんだん遠のいていく感覚を味わうと、俺はそのまま眠りにつくのだった。

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