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エンド・オブ・ワールド  作者: 高崎司
14/26

第14話 新たなる門出を祝して

初めまして!高崎司と言います。

今回からちゃんとサブタイトルを付けようかなと思い付けました。

やはりサブタイトルはあった方が話も掴みやすいですし、気分的に小説っぽくなる気がします(笑)

 あの後第三フィールドの町【タンタロス】へと帰還した俺達三人は、現在宿場でささやかな打ち上げをしている最中だった。

 まだいちお未成年の俺とユイはジュースを頼み、ハロルドは豪快にビールをグビグビと飲み干している。


「っかーッ! やっぱ戦闘した後のビールは最高だな! お前達が飲めないのが残念だよ」

「そんな苦い飲み物のどこが旨いんだ?」

「まだお子様にはわからないかー。もう少し大人になったら嫌でもこの味が好きになるぜ」


 少しイラッときたが今回はハロルドに世話になった手前、あえて何も言わないでおいた。

 俺達が打ち上げをしていると他のプレイヤー達もやってくる。

 近くに座ったプレイヤーからこんな話が漏れ聞こえてきた。


「なあこの第三フィールドのボスってどこにいるんだろうな?」

「さあ~今まで遺跡みたいなとこにいたから、今回も遺跡にいるんじゃないか?」

「そんな単純なもんかね~。でも第三フィールドに来てから雑魚モンスターのレベルもグンとあがったよな」

「そうだな。正直ソロだともうきついだろ……ここからソロで行こうとする奴は相当の変わり者だぜ」

「ちげーねー」


 俺達はそんな会話を聞きながら顔を寄せ合いヒソヒソと話す。

 正直男と顔を近づける趣味はないがこの場合致し方ない。


「今回のフィールドボスはどこにいるか大体の見当ってつくか?」

「いや正直な話俺もまだ来たばっかだからわからねえな」

「だよな……ユイはこのまま進めても平気か? お姉さんも心配だよな……」

「私なら平気ですよ! お姉ちゃんはまだ足取りがわからないですし、今はゲームを進める事しかできないですから……」

「わかった。ならこれからハロルドも含めた三人パーティーで行こう。ハロルドはそれでもいいか?」

「ここまで来たら乗りかかった船だ! 一緒に行ってやるよ!」

「ありがとう」

「ありがとうございます!」


 俺達は一先ずこのままゲームクリアに集中する方針で話をまとめた。

 そうと決まれば後は食事を楽しむだけだ。

 出てくる色とりどりの食事を堪能した俺達は一先ずの解散をする。

 また後日インして連絡を取り合ってパーティーを組む事にした。

 別れ際ハロルドからフレンド登録を済ませてもらい、これでいつでも一緒にパーティーが組める状態になった。

 俺達は別れを告げるとそれぞれ自分のインしている施設へと戻る。

 俺は現実世界で目覚めると真っ先にコンビニへと向かい、いつものように食事を買って家に帰宅した。

 向こうの世界で食事をしてももちろん現実世界の空腹は満たされないのである。

 帰宅すると電子レンジに弁当を突っ込み温まるのを待つ。

 その間今日の戦闘について考えていた。

 正直ユイと俺の二人だけだったら今回は危なかった……むしろ死んでいただろう。

 ハロルドが参加してくれたからこそ今日は勝てたのだ。

 これから一層戦いは激化していくだろう。その為には戦力の増強を図るとともに俺達もギルドに所属するか、自分達で作らないと厳しい事になるのは目に見えている。

 次にインして合流した時にでもそれとなく話てみるか……。

 丁度電子レンジがチンッと音を立て止まった。

 俺は温まった弁当を取り出すと冷蔵庫からお茶を出してコップに注ぐ。


「いただきます」


 一人寂しく挨拶を済ませると十分程で食事を済ませた。


 ****


 それから一週間が経過して現在俺のレベルは25まで上がっていた。

 ユイのレベルが23、ハロルドが27だ。

 もう雑魚モンスターであれば充分余裕を持って戦えるレベルにまで到達している。

 そろそろボスに挑んでもいい頃かもしれない。

 俺は自分の考えをメンバーに話してみた。


「そうだな……連携も取れるようになったしいいかもしれないな」

「私はレンさんに付いて行くと決めてますから!」

「じゃあそろそろ俺達もギルドを立ち上げてみないか?」

「ギルドかあ~確かに三人でボス攻略は無理だからな」

「そうですね。私もお姉ちゃんがギルドやってたから興味あります!」

「一旦町に戻ってギルド申請をしよう」


 俺はアイテムボックスからテレポートマテリアルを取り出すと石に念じた。

 すると右手に持つ石が淡い光を放ち始め気付くと【タンタロス】の広場に戻っていた。

 今使ったテレポートマテリアルは貴重なアイテムで、店で大金はたいて買うかモンスターからのドロップでしか手に入らない。

 実際モンスターからドロップする確率は三パーセント程度なので、店で買うしか手に入る方法がないのが現状だ。


 俺達は真っ先にギルド申請をしに行くと受付のNPCに話かける。


「ギルドの申請をしたいんだけど、今大丈夫か?」

「はい。ギルド申請には申請料と名前が必要になりますが、宜しいでしょうか?」

「それは問題ない。名前とはギルドネームの事か?」

「はいそうですが? 何か問題でも?」

「いや……」


 俺は内心脂汗を流しながら焦っていた。


(しまった! ギルドネーム何て考えてなかった……)


「で、ギルドネームは何にしたんだ?」

「レンさん早く教えてください!」


 二人してキラキラした目で俺の事を見つめてきていた……。

 俺は何も考えていなかったので一生懸命名前を考える……。


「……《黄昏の月》(クレセントムーン)」


(うぎゃああああ!)


 自分で言って自分で恥ずかしくなってしまった。

 何だその中二病をこじらせた様なネーミングは!

 俺は穴があったら入りたかった……。


「い、いいじゃねーか!! かっけーぜ!」

「私もいいと思います!」

「────へっ?」


 思いの外好評で俺の方が面喰ってしまった。

 てかあれでいいのか……。何か喜んでいいのかわからない微妙な感じなんだが……。

 すると受付のNPCが確認を求めてきた。


「では《黄昏の月》で登録しますね。変更するならできますが、どうしますか?」

「それでいいよ」

「わかりました。それでは登録致します。しばらくお待ちください」


 その後何分かして登録を済ませた俺達は、広場まで歩いて行きギルド誕生の喜びを分かち合った。


「やったな! これで俺達もギルド持ちだ! これからメンバー集めないか?」

「そうだな……誰か目ぼしい奴知ってたりするか?」

「残念ながら大体の奴はもうギルドに所属してるんだよな~。今だったらソロでやってる奴見つけて勧誘する方がいいんじゃないか?」

「それもそうか。だったら一旦フィールドに出てレベル上げのついでに勧誘して回るか」

「おうとも! そうと決まれば出発だぜ!」

「はい! 何だか賑やかになりそうですね!」


 ユイはふふっと笑うと嬉しそうに歩き出す。

 今まで一人で心細かったのだろう。今やハロルドという心強い仲間も増えた。

 これからもっと増えるかもしれない。それを思うと自然と嬉しくなるのも理解はできる。

 ここに新生ギルド《黄昏の月》が誕生した瞬間だった。

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