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猫耳姫と不良王子  作者: 実森
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言い合い

俺の目の前で繰り広げられている光景は、剣を持ったドレッド頭の男がロゼッタを人質に魔法リングを強奪しようとしているといったもので、普通緊張感でピリピリするはずなのに・・・。


 「和輝様っていうのはあの御方です!!私の王子様ですっ!!!」

 俺の方へ向かって左手を広げるロゼッタ。

 「王子って・・あんたの男ってことか・・?」

 ドレッド頭の男はロゼッタの首に剣をかざしながら、ロゼッタへ問いかける。

 「そうですっ!!今はまだ和輝様が照れていらっしゃるから「好き」とはまだ聞いてませんが、いずれは私たち結婚するんですからっ!!」

 ふふんといったようなドヤ顔を見せるロゼッタに対して、

 「・・そうか・・いいなあ・・結婚・・」

 ぽわーっと結婚というフレーズで妄想を広げる男。結婚したいんだろうか・・?


 (それにしてもお前ら緊張感なさすぎだろ・・・)


 うんざりとした顔で俺は、ふと思った。

 (放置してもいいんじゃね?)

 だが不用意にそんなことを思った瞬間、ハッと気づいた。

自分自身の身が危険になると感じとったのだ。

 

 (エミリーっ!!そうだよ!エミリーがいた!!放置したなんて知れたら殺されるっっ!!)

 ガクガクっと口を震わせる俺はエミリーに殺されないためにもロゼッタを助けるしかないっと思った。

 実際ロゼッタと男の状況を見ても、危機感はあまり感じない。男への恐怖もあまりない。だが!!エミリーへの恐怖はハンパない!!男への恐怖かエミリーへの恐怖かといったら間違いなく俺はエミリーのほうが嫌だ!!



 というわけで、ロゼッタを助けようと思います。っていってもどうしたら助けれる?


 男は剣を持っているわけで、

(いや一応俺も短剣持っているけど・・)

しかもロゼッタの首の近くに構えているわけだし・・。エミリーを呼びに行ったとしても一応女の子に危険な思いさせるわけには行かないし、呼びに行っている間になにかあればエミリーから殺されるし・・。


 (あ~~~っ!!せめて相手が素手ならなあ・・素手相手なら喧嘩で培ってきた経験値でなんとかなるのに・・・)

 はあっとため息をつく俺は、ふいにポケットへ手を突っ込んだ。


 「!!??」

 ポケットにあるものを掴んだ時に俺は閃いた!


 

 いつの間にか状況は悪化していた。魔法リングを差し出さない店に怒りはじめる男。ロゼッタは捕まったままで男が動くせいで剣がチラチラ動いている。、そのたびにロゼッタはビクッとしている。


 その状況に俺はイラついた。もちろんロゼッタにイラついていたわけじゃない。男の方にイライラしている。

(さっきまで和やかだったろうがっ!!普通そこで人質解放しろよっ!!)

店の物を剣で壊し始める男に、周りの人たちはキャーキャー騒ぎ立てる。五月蠅いなっと思って周りをぐるっと見た後に、ロゼッタへ視線を移した俺はザワッと胸が騒いだ。



「・・・ロゼッタ・・」

俺の目の前で捕まっているロゼッタがボロボロと泣きだした。逃げようともがいている姿に俺は男への怒りを抑えられなかった。


「ロゼッタああああっ!!」

大声を上げロゼッタを呼ぶ俺に、ロゼッタは俺を見た後に左手を伸ばした。

「~~~っ和輝様っっ!!!」

「そこで大人しく待ってろっ!!今助けるから!!」

珍しくしおらしいロゼッタに、俺はついついヒーロー気分で助けるなんて言ってしまったが、言った後少し後悔した。


「和輝様が私を助ける・・きゃあああああああっっ!!!王子様!王子様ですよっ!!やっぱりっ!!!」

さっきまでの泣きべそロゼッタはどこへ行った?

興奮しているようでピンクのハートのオーラが見えるのは俺だけの気のせいだろうか・・?

なんかロゼッタにまでイラッとしてしまった俺は、

「うるせぇよ!!王子じゃねぇ!!!つーか、そんなに元気なら助けねぇぞ!!」

うぐっと口ごもるロゼッタはしゅんとして静かになった。


(一応助けてほしいんだな・・・)

ロゼッタの対応に俺は、クスッと笑った。思い込み激しくて俺のことを王子だの言ってるはた迷惑な奴だが、それ以外は普通の女の子なんだもんな・・と再確認したのだった。

(・・うん、助けるよ!助けねぇわけないだろうがっ!!)



ザッとドレッド男の前に立った俺は、

「おいっ!!お前が人質にしている金髪は俺の連れでね!!だから即刻離してもらおうかっ!!!!」

ドンッと威風堂々とする俺だが、それに対してドレッド男はプッと吹き出しやがった。


「~~~っ何がおかしい!!??」

笑われたことにイラッとする。てめぇに笑われたくねぇよ!!!

フルフル怒りで震える俺に、ドレッド男は続けた。


「お前みたいなヒヨッコになにが出来る!?そこらへんの隅で小さくなってろ!!!」

ハッと鼻で笑われ、俺の血管がブチッと切れた音が聞こえた。


「はあっ!?人質取らなきゃ何も出来ないような奴に言われたくねぇな!!っていうか!俺はヒヨッコじゃねぇっっ!!!!」

イライラしながらドレッド男を睨みつける俺と睨み返すドレッド男。その間にはバチバチっと光線が流れている。


「さっき結婚がどうのこうの言ってたけど、結局のところはモテなくて相手いねぇんじゃねの?相手いなきゃ結婚なんてできるわけねぇよなあ?」

クスクスとあざ笑う俺。イラつきのあまりなんか言ってやりたいっ!!撃沈しろっ!!


 怒りなのか震えるドレッド男は真っ赤になって睨みつけている。

「~~~~~っ貴様はこの女と結婚する気なのか?こういう女はめんどくさいと思うが?女に振り回されて情けない男だなあっ!おいっ!!」


「勘違いすんなっ!!!だれが結婚するか!!!お前と違って俺は結婚願望はねぇよ!!」

「んだとおっ!!!バカにすんじゃねぇ!!!」

「バカにしてんのはお前もじゃねぇか!!!」

がるるっと睨み合いを続ける俺達に、ロゼッタは目を丸くしている。 

 「・・えっと?」

 (・・・なんで言い争いになってるんだろう?)

 不安というか不思議に思うロゼッタは首を傾げたのだった。


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