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猫耳姫と不良王子  作者: 実森
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剣と人質

「んで?他はなに買うんだよ!?」

 「ん―・・・・」

 大量の荷物を持つ俺と、荷物とリストを見比べるエミリー。そして俺にくっつくロゼッタ。はっきり言ってロゼッタ邪魔っ!!

 でもすりすりとくっついてくるロゼッタに俺は強く言えない。泣かれるのは嫌だし、それに嬉しそうにしていると離れろって言いづらい。


 「とりあえず買い出しは以上で終わりですね!なにか食べて帰りましょうか?」

 リストを閉じながらエミリーが、嬉しくなることを言ってくれた!

 「お・・おう!!な・・なにがおススメ!?」

 エミリーの何気ない一言で俺はウキウキしている。

 俺的には、街に来てすぐ見た串焼きを食べたいっ!!

 俺がキラキラしていたようで、エミリーは俺を見るなりプッと笑いだした。

 「そんなに、食べたかったんですか?」

 クスクスと笑いが止まらないエミリーに、俺は少しムッとした。

 「~~っ・・別にいいだろうが!食ってみたかった・・・んだよ・?」

 ふと俺はロゼッタの気配がなくなったように感じ、いたであろう方向を見るがいない。


 「・・・・ロゼッタ?・・~~~~っ!!??エミリー!!」

 青ざめる俺は大声でエミリーを呼び、その声にビクッとするエミリー。

 「なっ・・なに?笑ったことそんなに怒らなくても・・?」

 「違うッ!!そんなことで怒らねぇよ!!じゃなくてロゼッタがいねぇ!!」

 俺の言葉に(えっ!?)と目を見開き固まるエミリー。

 俺の周りをキョロキョロ見てもいない。どこ行った!?


 あのバカ!つーか、お前はフラフラどっか行くなっ!猫かっ!?そりゃあ猫耳だけどさ!!


どうしたもんかとエミリーに尋ねようとする俺だったが、エミリーが青ざめている!?


 (ひいいいいいいいっ!!??)

 「ちょ真っ青だぞ!?つーか、すげえ汗の量だぞっ!?」

 ダラダラと真っ青ながらも大量の冷や汗をかいているエミリーに俺は驚愕した。


 「ど・・どうしよう・・ロゼッタ様になにかあったら・・私・・」

 カタカタを手を震わせているエミリー。その姿に非常事態なのかっ?と俺は感じ、

 

 「とにかく探そうっ!そんなに時間経ってねぇから近くにはいるはずだっ!!」

 俺の言葉に震える手にギュッと力を入れるエミリー。


 「そうですね・・ロゼッタ様は私が守るんですからッ!!」

 その言葉とエミリーの表情を見て、ただの主人とメイドといった関係ではないような気がした。

 とはいっても、今はそんなこと気にしている場合じゃない!

 効率よく俺とエミリーは二手に分かれてロゼッタを探すことになった。


 (ロゼッタのやつ・・どこに行ったんだよっ!!)

 

 人ごみの中をかき分けてロゼッタを探す俺。街ってことで人が多すぎて前に進むのも一苦労だ。

 くそっ!こんなことならロゼッタに首輪つけとくんだった!!

 一瞬想像してしまった。猫耳ロゼッタに首輪・・・ハッと我に返り、

(ぎゃああああっ!!!!いかーんっ!!なんだよ!それっ!!というか想像すんな!俺――っ!!!どんなプレイだよっ!!変態かっ!!)

赤面し、その場にうずくまる俺。羞恥ですぐに立てません。こんなこと想像したなんて言ったらエミリー鬼のように怒るだろうな・・。

 

 そんな時だった。

 俺の前の人ごみがガヤガヤ騒がしい。しかも悲鳴も聞こえる?

 状況を確認したかった俺はゆっくりと立ち上がった。その瞬間、前のいる人ごみが全員こっちへ逃げるために流れてくる。

 「うおっ!??」

 (なんだなんだ!?)

 俺まで人ごみに流されそうになるが、必死にかき分けてその場に留まれた。

 はあっとため息をついて顔を上げると、俺は凍り付いた。そして青ざめた。


 「・・・・・・・・・ロゼッタ・・?」



 俺の眼前に広がっている光景・・それは、大きな剣を持ったドレッド頭のかなりガタイがいい男が、ロゼッタを人質状態にしている。

 俺は口をパクパク動かしている。声が出ねぇ・・。


 周りの人々はキャーキャー悲鳴を上げながら、遠巻きになりこちらを見ている。

 流石に剣を相手にというは、分が悪すぎる。にしてもロゼッタは、ぼけーっとしながら人質になっているが普通怖がったり泣いたりするもんじゃねぇの!?

 ロゼッタの感覚が分からなくなった俺は苦悩した。


 「和輝様っ!!!」

 人質になっているロゼッタがこちらに気付いたようだ。しかもなんと俺に手を振っている!?なにやってんだっ!?手を振る状況じゃねぇだろ!!

 益々苦悩する俺に、能天気に手を振ってくるロゼッタ。

 そしてさすがに剣を持った男が気付いた。人質が手を振ってれば不審に思うよな・・。


 「えっと・・、和輝様が迎えに来たので離してください!!」

 きっぱりと男に言い放つロゼッタ。益々青ざめる俺。そしてフリーズするガタイのいい男。


 (ロゼッタああああっ!!!空気読めっ!!お前人質の自覚あんのかっ!!!???)


 フルフルして震える男に、俺は怒りで怒っているのだと思った。つーか、それ以外考えられなかった。だが男は違った。


 「和輝様って誰だ!!??」

  

 (ちょっと待てえええっ!!!そこじゃねぇだろ!!つっこみ所間違ってるから!!!お前も空気読めっっ!!!)


 男とロゼッタのやり取りに俺は、意外と異世界ってのも平和なんかな・・?と本気で思った俺がそこにいた。


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