始まりの朝
初作品なので拙い部分ばかりだと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします!
俺は今、神様に祈りを捧げている。
「神様…俺を………にしてください。」
反応はない。
既に相当のお賽銭を入れた。なのに一向に神様が出てくる兆しは…ない。
「はぁ………」
ため息をつく。
「なんで神様…降りてこねえんだろ…?」
絶望の淵。
俺は空を見上げながら、先週の朝、すべてが始まった朝のことを思い出していた。
**********
「もう嫌だ………」
朝。鏡に映る自分の顔を見て俺、夏目雄也は、1人呟く。
俺は、鏡に反射して眼前に映る、自分のひどく気持ち悪い容姿が大嫌いだ。
荒れた肌。
角ばった頬骨。
広すぎるおでこ。
左右非対称な目の大きさ。
まるで豚のように大きく平らな鼻。
分厚く、腫れ上がったかのような唇。
雄也のそれらは、そのどれもが吐き気をもよおす気持ち悪さを持っていた。
(…昔、この唇のせいで散々イジメられたなぁ…)
醜い唇を撫でながら、ふと思い出してしてしまった。思い出したくもないのに。
ーー「えっ…なにその唇!?蜂にでも刺されたのっ!?痛そう…大丈夫?…えっ…生まれつき…?………………えっwうそっwwwwクソワロタwwwwwあっwあの………wwなんか…ぷぷっwごめ…んね?(笑)」
(あの、人を軽蔑する目つき死んでも忘れない…。あーー!思い出したらイラッイラしてきた!くそが!氏ね!)
そして、俺中最大の気持ち悪いポイント(略して、気持ちいい。)は、明らかに人より3回りは大きいんじゃないか?ってレベルの頭蓋骨。正直、新種のエイリアンと言われても信じるレベル。
(なんなの?なんなのこれ?あれカナー?新人から俺だけ進化しちゃったのかな?脳みそ2000ccくらいあるのかな?ひぇーーwもしかして君たちまだ新人なの?ダッサーwえ?ぼく?僕はもう進化してるからwwwwゆうなれば…神人?みたいな?wwwwとか言っちゃえる人種なのかな俺。なわけないよね。ありえないよね。なんなんだよ。糞が!もうマジ死ね!)
首から上だけでこれだ。首から下も当然酷い。体型完全におっさんだし。もうヤダ泣きたい。
「なんで俺はこんなブサイクに生まれたんだよおおおおおおお!?!!!」
絶叫。
ドンドン!
壁ドン。
(やべっ………)
慌てて口を抑える。まぁ今更抑えても意味はないのだが。気分気分。
(恐らく今の壁ドンは妹様の仕業でござるな…って今の絶叫妹に聞かれたとか俺………)
「はぁ…………ぁぁぁ…ぁぁぁ…………………………」
俯くと、なが〜いため息をがでた。
「んっ?」
床に見慣れない雑誌が落ちている。
(妹様の私物でございますかねぇ?)
興味本位で手にとってみた。
ぱらぱらっとページをめくる。どうやら妹のもので間違いないようだ。
(おっ何だこのページ…折り目ついてる)
なんとなく声に出して、記事を読み上げることにした。
「だれでもなれる…ふんいき…イケメン…だぁぁ?」
「だれでもなれるわけねぇだろおおおおおおおおおおおお!」
ビリいいいいいいい
怒りのあまり雑誌破いちゃった♡てへっ☆
(ってやべええええええええ!!!これいもうとのじゃぁぁぁぁぁぁんんんんん!????)
ドンドンドン!
「カッカッカッカッ!!って太鼓の達人か!!!!」
やべぇ。焦って意味わかんねぇこと言っちまった。
ってか壁ドン二回目とか次会ったら多分俺、妹に殺されるな…。
死因、だいたい顔のせい。なにそれ最悪。
「それは置いといて…これ…どうしよ。」
手元に残ったビリビリの雑誌を見る。
このままだと絶対に殺される…。
(まっ…セロハンテープではっとけばいいや)
もうどうしようもないので、手早く諦める。
二度と妹に会わないようにしよう。と、心に誓う。なんてすてきな兄弟愛。
「てか、誰でも雰囲気イケメンになれるとかどうせ嘘じゃん」
だって俺!どんだけ頑張っても雰囲気フツメンにさえなれなかったよ!?
俺、自分を少しでもよく見せようと色々な努力をしてきたけど。
でも、"その全部が、失敗に終わったんだよ!?"。
時には、髪の毛を芸能人みたくおしゃれにしてみた。
鏡に写っていたのはわかめ?を頭から被った気持ち悪い姿をした俺だった。
時には、158cmという身長の小ささを隠すためにシークレットブーツを履いてみた。
一時間後にはクラスの不良に燃やされていた。かかとの部分だけ燃えきれてなくて逆に辛かった。
(ん?その全部が失敗に終わった…?)
なにかとてつもなく素晴らしい案が頭をかすめた気がした。
俺はそのなにかを逃さないよう必死に思考を集中させる。
刹那。
(そうかっ!!)
クワッッ!!!!目を見開く!!!クワッッ!!!ガタッッ!!!
「何をしても無駄…なら、生まれ変わるしかないじゃない!神頼みしかないじゃない!」
こうして俺の神頼みDAYSがスタートした。