prologue.05
黒影の意識が徐々に覚醒してくる。
視界には白く染み一つない清潔感のある天井と芸術的な石彫りが刻まれた大理石の壁。
綺麗にベットメイキングされたのであろう天蓋付きのベットはまさしく中世の貴族が使うような神々しさがあった。
部屋に有るのは必用最低限の家具で、ここが寝室なのだろうと見て取れた。
部屋に置かれる家具は、美しい彫刻の洋服棚とベットの横に置かれたナイトテーブル。二つは黒く艶のある光沢を放ち。それが見る人によっては大変価値の有るものだとわかるであろう。
他には大人でも全身を見ることが出来るであろうピカピカに輝く姿見が置かれているぐらいだった。
天蓋とシーツは絹の素材で出来ており、肌触りだけで深い眠りにつけそうなほど気持ちが良かった。
あぁー、やべぇー。
このまま、寝ちゃいてぇー
黒影は睡眠欲に抗いながらも部屋を観察する。
それにしても首が動かし辛い。もしかしたら首が折れてるのでは? っと勘違いしそうになる。手が動いてるし、脚も動かせる。首が折れたりはしてねーだろ?
動かし辛い首を横にふることで初めて横に人が居ることに気づく。
黒影の隣には金髪の美女。
おいおい……確かに俺は朱犂との生活で性欲はだいぶ隠して生活してきたさ。だけどよ……いきなりパッキン美女とやっちまうとは思わなかったぜ……俺も俺の息子も捨てたもんじゃねーな。
ってことはだ。この頭痛は二日酔いか?
記憶がない……せっかくのパッキン美女との経験がないなんて勿体ないことしちまったぜ
「ιε&,ёιεццё&ч.оι&ζоцч&」
すると部屋の中にある唯一の扉からは黒髪黒目の東洋系の顔つきをした体格の良い男が表れる。
__どこの国の言葉だ? 聞いたことのない言葉を話ながら部屋に入ってくる男はベットの隣に置かれた椅子に座って金髪美女の髪を優しく撫でる。
「оё.,ειч,ёει&"/ц.ё."/оч,./чцёεζιυБψρυЖ」
男が何かを言って金髪美女に微笑むと寝てたで有ろう金髪美女はゆっくりと瞼を開き男に微笑み返す。
「цζελχξγκψβρψφυκρГШЮ」
その光景は映画のワンシーンのように美しく目が奪われてしまう。
すると金髪美女は黒髪の頭をゆっくり撫でながらベットから上半身を起こす。
男が制止するように止めていたが金髪美女は微笑んで大丈夫なことを男に見せる。
金髪美女は黒髪を優しく。
白い肌の腕を黒影に回して持ち上げる。
金髪美女の細く、芸術品のような指で抱き上げられてしまい。男のまえまで持ち上げられる。
……ん?持ち上げられる?
ちょっと待て?俺は自分で言うのも何だがだいぶデカイ図体をしてるぞ?
それを持ち上げるって……
黒影は動かし憎い頭を、自分の身体のほうへ向ける。そこに合ったのは赤子の身体だった。
「なっ…なんじゃこりゃぁぁあああああああ!?」
黒影の叫びは赤子の泣き声に代わり、部屋中に響いたのだった。
何故か10分ほど傷ついている男を見ながら俺は地球でのことを思い出していた。
ここは既に異世界なのだろう。だから俺は記憶が残ったまま赤ん坊に戻ったことが推測できる。なら俺のすることはこの世界の情報収集と来る日に備えて力をつけることの2つだろう。
あの自称神様は何時か会えると言っていたし、こっちの世界の朱犂は22歳まで生きれると言っていたのを信じるなら俺はここで力を磨くしか選択肢はないのだ。
……っと考えていると、傷心から立ち直った男が俺の前まで歩いてきてからゆっくりと頭を撫でて話かける。
「クローシャ。ギルバード・クローシャ。」
黒影は男と金髪美女が何を喋っているかわからなかったが、何故か今の会話の中でハッキリと自分がこの世界で生きるために使っていく名前が呼ばれたのだと理解したのだった。
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