表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

005 - 空海の勇者vsブリタニア

「よっしゃァァァァァ! おきたどォォォォォ!」


 体を起こし直ぐにベットから降りる。因みに先ほどの台詞は心の中で叫んだことです。んな恥ずかしい台詞マジではけるほどオレのヘタレは甘くないぜ。

 おっと、アホな事を考えてないで部屋を出てアンドレイにシエルちゃんが言っていた魔物の気配について教えに行かないとな。

 だが、ドアノブを回しても扉が開かない。どうなってんだ? こんな時に故障か……?

 しかし押しても引いても体当してもビクリとも言わない……つか、何か変な違和感を感じる。


「ほほぉー、漸く『魔界』に気付いたようだのぉ」

「はい? あれ? シエルちゃん!?」


 耳元でシエルちゃんの声が聞こえたんで右を向いたら、オレの肩にシエルちゃんが座っていた。真っ黒な拘束衣と全てを飲み込むような海と同じ碧色の長髪……間違いなくシエルちゃんだけど、ムチャクチャ小さい、本当のお人形さんみたい。それに透けて見えるし……まるでお化けだ。

 ああ、分かった。遊○王の闇○戯的な感じね。もう一人のオレだし……それにしてもこの小さいな可愛さは異常過ぎる。かわいいは正義。


「やはり妾の容姿と外見年齢は貴様の特殊な性癖かのぉ」

「…………」


 いやァァァァァ! 僕は違うんだ、僕は! 僕はノーマルで年上LOVEで愛してる! ロリに一ミリ足りとも興味は沸かないんだァァァァァ! ボンキュッボンな大人の女性さいこー!

 ってあれ? まだまだ何かおかしいぞ……。


「も、もしかして……心読めるの?」

「うむ。貴様が妾に精神世界を共有を提言したのであろう?」

「……そんなデメリットがあったなんて知らないし……っつかなら何でオレはシエルちゃんの心の声が聞こえないわけ?」

「貴様と妾の同期率が低いからかのぉ。今は力の流れが妾から貴様となっておる。で精神の共有も貴様から妾に……つまり一方通行ってことだのぉ。わかるか?」

「……ああ、何となく」


 いや、実際は一方通行って所しか分かっちゃいないけど適当に頷いておく。オレ難しい話は苦手なんだ、テヘッ♪


「キモイぞ……」

「……ごめん」


 一方的な「オレの心、アンロック」はんたーい! みんなで一緒に「ネガティブハートにロックオン! オープンハート!」したいです。

 シエルちゃんの心を思いっきり聴いて弱みを握りたい。


「コロスゾ?」

「ごめんなさい!」


 表情豊かで嬉しい限りです……でも怖い顔をマジで怖い、ちっこくても怖いです、ハイ。

 っとアホは今度こそにしてと。一体全体どうすればいいんだろうな……部屋から出れない。って窓からという手段あるじゃん……。ごめん、前言撤回……窓から危険、おもくそ高い……。っつかそれ以前に開かないし叩いてもガラスが割れないって……。


「なあ……」

「ん? どうした、シエルちゃん?」

「貴様は何故に力が覚醒したか分かるかのぉ?」

「つまりは何でシエルちゃんが目覚めたかってこと?」


 うむ、とシエルちゃんは頷く。僕の考えだと……召喚されたとき、つまりこの世界に召喚されて直ぐに目覚めたものだと思うけどな。大体の召喚モノってそんな感じだからな。


「でもな実際は違うのだよ」

「どういうこと?」

「この世界で自身に眠りし力を目覚めさせるには『覚醒の儀』と呼ばれる儀式を行わねばならん。だが貴様は、それを行わず力に目覚めた。と同時に魔物軍が攻めて来た……おかしいと思わんかのぉ?」

「一つ聞いていいか? 力が目覚める瞬間って……みんながみんな自分の力と戦うわけ?」

「否。貴様は精神世界を直ぐに自分の物にしたが普通は力無き者に出来る技じゃない。そして最初から主を殺そうとする力などおらん。何故なら主が死ねば自分も死ぬのだからな。それに力の目的は主の守護」


 何か色々と分かってきたような気がする……この世界の人たちがオレを召喚するタイミングが遅いこととか、いきなり自分の力に殺されそうになるとか……。それに今気づけばシエルちゃんがオレに戦いを挑む少し前に魔王軍が攻めて来た……明らかに話が上手いこと進みすぎる、魔王軍側的に。

 オレが『覚醒の儀』を行わずに力を目覚めたのは、魔王軍側の魔法か何か?


「ほほぉ~、思ったより頭の回転が速いと見た。そこまで理解しているのなら上出来だ、だから妾が説明してやろうかのぉ。一つ『覚醒の儀』というのは力を目覚めさせる対象に外部から内部に大量の魔力を流しこむだけなのじゃ。もちろん相手に魔力を流し込むなど接触せねば出来ぬことだがのぉ。先も言ったが力とは本来、主の守護することを目的としてる。外部からの力に反応して表面上に浮上する……そして外部からの力から主を守るため主に力を貸す」

「ちょっと待って! オレはこの世界に来てから、まだ誰にも触れてないよ。召喚されてすぐに部屋に連れて込まれたし」

「思い出してみよ。貴様が王の協力を承諾した時のことを」


 え? そういえば……たしか……、


---


『わかった。協力させて頂きます』

『え……? 本当ですか!? ありがとう勇者様』


 王様はオレがイエスと答えるとは思わなかったのか、一瞬顔を驚きに染め上げる。すぐに表情を喜びという一色に塗り上げるとオレの手を握りながら何回も「ありがと」と頭を下げる。

 なんっつーか、思っていたより良い人だな、この人……。


『オレは夏目海斗。カイトでいいですよ、王様』

『私のこともアンドレイと呼んでくれ構わない』


---


「あ……でも、うそだろ……つまり、それって……」

「察しの通りだ」


 オレを召喚したのは、この世界の最後の国ブリタニア王国の王様のアンドレイでオレに触れたのもアンドレイで……つまり外部からオレに魔力を送った人物もアンドレイで強制的に『覚醒の儀』を行ったのも……。


「でもさ力って主を守ることが目的でしょ? ならさ何でシエルちゃんはオレに攻撃してきたわけ」

「アンドレイが貴様の召喚、覚醒の儀をさせた……そして覚醒の儀が実行されると同時に魔物が攻めてきた。そして儀式中の勇者は自分の力に殺されようとしている……ここまで話せばわかるかのぉ?」

「アンドレイは魔王軍側で……オレを殺そうとしてる。で覚醒の儀に細工をしてシエルちゃんを攻撃的にした」

「ご名答。見ての通り妾の人格となる核の部分はあの頃の貴様。自身を嫌っていた頃の……これ以上に良い殺し屋はいなかろう?」


 なんだよ……これ、つまりそれってさ……。


「ブリタニア王国の内部に、すでに何人か魔物が潜り込んでいる」


 シエルちゃんが告げた一言は物凄く重い、


「更に覚醒の儀が失敗したときようの保険か、貴様が出れぬよう部屋に結界が張られている。それも外部との空間と時間の流れ切断系の強力な結界……『魔界』が。ハッキリと言わせてもらう……おそらく、」


 オレってやっぱり最悪なタイミングで呼ばれたらしい……っつか絶望的過ぎる……。


「ブリタニア王国は落ちた。この城にいる人間は、否、この国にいる人間は貴様だけだ」


 現実逃避したい……けど逃げないと決めたんだ。

 守るって……。

 オレが見ていないところで皆が自分の守るべきものの為に戦って。

 オレが見ていないところで戦えない人たちだって苦しい思いをしている。

 それにオレが死ねば、みんなが悲しむ。

 だからオレは進むと誓う。

 守るためにっ!


「フン! それでこそ妾の主じゃのぉ。では貴様に力を貸す。受け取れ」


 刹那、肩に座っていたミニおばけシエルちゃんがシュンと姿を消す。

 と同時に首元に現れた全てを飲み込むような碧色のマフラー。

 不思議な感じがする……力が胸の奥から、全身から、心から溢れてくる。


「これが力を発動するということ……妾と貴様が一つになる……。主、名を――」


 へぇー、何か最高に気持ちがいい。

 「オレこと海斗」と「空ことシエルちゃん」が一つになったんだ……思う浮かぶ名前は一つしかねえ。

 右手で、思いっきり拳を作り叫ぶ――オレの、オレたちの名前をっ!


「空海の勇者シエル・ラ・メール――」


 瞬間、ドォンと凄まじい地響きを上げて俺たちの拳で結界ごとドアを殴り飛ばしたっ!


 拝啓、バグちゃん(仮)、チートくん(仮)、リアル写輪○ちゃん(仮)……この世界の人たちとシエルちゃんとオレ自身を守るために世界を救う戦いに行ってきます。

 まずはオレを呼んだブリタニア王国をぶっ倒す!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ