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002 - 世界と戦うのが勇者なんです

「私はローマ・ブリタニア王国第四十九代国王アンドレイ・PG・ブリタニアだ。呼びかけに応え、よくぞ参られた……勇者様」


 ……名前無駄になげえよ、ってツッコミしてもいい? ……ごめんなさい、冗談です。あんまりオレと歳は変わらなそうに見えるけど国王ということは王様ってことか。もし本当に「おまえの名前はなげぇんだよゴラァ」と言った頃には、オレは八つ裂きになっているだろうけどな……。

 さて、ボケてないで状況整理。学校が終わっていつものメンツで帰宅していて、家のドアを開けたら……「異世界に来ちゃいました、テヘッ♪」ということになっていた。で、目の前のお偉いさんの発言が正しければ、オレは勇者だから呼ばれたと。ファンタジー過ぎるだろ……アホォー……。

 兎にも角にも今の状況を何とかしないとな。話だけでも進めておくか。


「はい? ブリタニア? 王国? 勇者? あの~全く状況が飲めないんですが……」

「失礼、確か召喚された勇者は異なる世界の住民と聞く。私が順に追って説明しよう」


 たぶん王様から告げられることは、テンプレートと化した貴方は異世界に召喚された勇者様です。どうか我々にその力を貸してください。そして魔王を倒してください! とかだろうと予想する。

 って予想しなくても絶対にそうなので、百パーセントの予測……。

 オレって戦術予報○ですね、わかります。


「先ずは我々の勝手な判断で貴方を呼び寄せたことを謝る。しかし私たちの国は、いや世界は滅亡の危機にさらされている。異質なる魔物の存在のせいで……。どうが私たちに力をお貸し下さい」


 ハハハ、やっぱりそうだ。テンプレートばんざーい! ……でも何で「僕」なのだろう。

 僕の周りには三人の強力なキャラが……頭脳バグちゃん(仮)、運動チート君(仮)、リアル○輪眼ちゃん(仮)がいるというのになぜ凡人の僕が呼ばれたのだろう……。


「力を貸すか貸さないと答える前に……質問があるのですが」

「ええ、何なりと」


 それに世界中を探せば三人以上の異常なキャラだっているはずなのに……何で僕?


「オレが元居た世界は少なくてもオレの国はですが戦いとかない平和な場所でした。だから戦うことに無縁なオレがどうやって魔物と戦ったり世界の滅亡を回避すれば?」

「伝説によると異界から来られた勇者の方々は、我々を凌駕する圧倒的な力を秘めていると伝えられています。だから後日、勇者様の魔力を測り武器を授ける御つもりです」

「次は、世界の状況」

「ローマ・ブリタニアを除いた全世界は魔物の手に……」

「……はい?」


 まてまてまて……なんじゃそりゃっ! 状況が有り得ねぇー! っつかオレにどうしろと言うんだ。普通はさ、30vs70って的な状況に現れて、さっさと逆転して絶望を希望にするのが勇者のお仕事ですよねっ!?

 ローマ・ブリタニアって確か……ブリタニアはイギリスあたりにあった所だったよね。つまりはイギリスであり。ローマってイタリア……だから……イギリスとイタリアVS全世界という状況だよね? これって普通に30vs70じゃないよね? 2vs98だよね? もう戦いじゃないよねこれ? 普通にイジメだよね? んな、誰が見ても絶滅寸前な時に、オレ参上!

 ってかありえねえ……っつか勝ち目ねえ……。


「最後の質問……僕はどうすればいいわけだっけ?」

「勇者様の力で我々をお救い下さいませ」


 はあ、と溜め息をつく。

 最初はオレにしか出来ないことがあると思った。けど、これは明らかに誰が来ても人類側に勝ち目はない。

 だから僕が思うに……この世界の人たちが「負けそうだヤベエよ勇者を呼べ」って感じで召喚魔法やら儀式をしたんだが、オレの世界の神様は「お前らもうオワタじゃん、勝手に有能な人間を連れてくんじゃねえよ。あ、ほらよ、かわりにゴミやるからこれで勘弁。アハハハ」って感じに僕が呼ばれたんだ。うん、絶対そうだと思う。

 ヤバイ……そう考えると頭が物凄く痛くなってきた……けど、どうせ帰る方法なんて聞けば「知らない」か「魔王を倒すまで」と返事が帰ってくるだろうし。やりたくないけど……何もしないで死ぬのも嫌だ。だから、


「わかった。協力させて頂きます」

「え……? 本当ですか!? ありがとう勇者様」


 王様はオレがイエスと答えるとは思わなかったのか、一瞬顔を驚きに染め上げる。すぐに表情を喜びという一色に塗り上げるとオレの手を握りながら何回も「ありがと」と頭を下げる。

 なんっつーか、思っていたより良い人だな、この人……。


「オレは夏目(なつめ)海斗(かいと)。カイトでいいですよ、王様」

「私のこともアンドレイと呼んでくれ構わない」

「おーけー、アンドロイド」


 瞬間、周りの空気が凍ったような気がした。

 え? あれ? オレなんかした……?


「……カイト、私の名前はアンドロイドではなくアンドレイだ」

「え……」


 周りを見るとローブを被った人たちが全員が肩を震わせていた、オレに殺気を向けながら……。

 うわあ、マジでやべえー! っつかこええよ!

 呼ばれてすぐ公開処刑はやだですぅぅぅぅぅぅ!


「ごめんなさいでしたァァァァァァ」


 オレのターン、ドロー! モンスターを、カイトを召喚する。そして魔法カードを発動! 「土下座」。このカードは自分フィールド上に「カイト」というモンスターが存在するときに発動することができる。手札またはデッキから「土下座王(ヘタレ)カイト」を「カイト」を墓地に送ることで特殊召喚するっ! いでよ、死刑はやめてェェェェェェェェ!


「あっはっはっはっはっはっは! カイトは面白いな」

「はい?」


 何故かお腹を抱えて爆笑している王様……こいつSなのか? ヘタレなオレを見て楽しんでいるのか?


「ドローとか、デッキやらは分からないが、名前を少し間違ってしまったくらいで私はカイトを死刑にはしないさ」


 はい? それってつまり……、


「全部、口に出てたぞ?」


 読者な皆さんへ……ごらんの通りに僕は普通でヘタレなか弱い男の子です。

 はたしてそんな僕ですが、世界を救うことが可能なのでしょうか……。

 それは神のみぞ知る……ってやつですね。


「カイトは疲れているだろう、詳しい話は後ほどする。部屋を用意させるから、今日のところはそこで休んでくれ」

「ああ……ありがとう。ってアンドレイ、ここどこ?」


 名前で呼べって言ってから王様といより友達みたいな感覚になったアンドレイに聞いてみる。

 今の今まで王様ことアンドレイや周りの怪しいローブの人たちに目を奪われて、自分がいるところすら確認とれていなかった。

 周囲を見渡すと、まるでそこは……洞窟みたいな感じなのだ。


「ここはブリタニア城の地下だ」

「へぇ……地下っ!? でけぇ……さすが王族の城だぜ……」

「あはは、どうも」


 アンドレイが言い終わると、オレの後ろに居たローブの二人がローブを脱いだ。鎧を着ていた……兵士なのか? っつか何故に兵士にローブ?というツッコミは入れたはダメなんだろうな、うん。


「案内役だ、またあした」

「ああ、ありがとう、アンドレイ。またあした」


 兵士の人たちに連れられて、洞窟の奥にある階段を登る。

 高い……とにかく高い……が高所恐怖症なのでどのくらい高いのかは省略させていただきます。エコノミーは大事!


 しっかしな……オレに出来るのだろうか……世界を守ることが。

 何の取り柄もない普通でヘタレなオレに……。


 バグちゃん(仮)、チートくん(仮)、リアル写輪○ちゃん……あなた方のアブノーマル性を僕に分けてください。

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