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一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがヤバすぎた。改訂版  作者: たまご
第一章 異世界探索。

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第六話 猫です。

 女神様の情報にしたがい、私達が次に訪れたのは商業都市ターコイズ。

 石畳にレンガ造りの建物、行き交う人々は皆どこか慌ただしい。

 広場に並ぶ屋台からは威勢のいい掛け声といい匂いがしている。


「これぞファンタジーよね」


 オパール王国の時は、よつばのせいで大変だったからな……。

 のんびり観光気分というわけにもいかなかったし。


 ワイルドボアの串焼きって、あれか、大きいイノシシみたいなやつ。

 あっちの焼き菓子からは甘い匂いがしている。

 へぇ、付与効果のある手作りアクセサリーか。


 キョロキョロしていると、肩乗りサイズのりゅうたろうが私の耳を前足でつんつんと触った。


 ……すいません、はしゃぎすぎました。


 なにしろ猫の世話があるものだから、向こうでは旅行どころか遠出も出来なかったのだ。

 おかげで、私の趣味はテレビで旅番組を観ることだった。


 猫を連れて旅が出来る。


「異世界、素晴らしい……」


 さて。

 こういう場合、情報収集はギルドか酒場と相場が決まっているが。


「うん、ギルド一択で」


 異世界に来てまで酔っぱらいにからまれたくない!

 向こうではいろいろあったのさ、アラサーだもの。


 町の中心部に大きな建物があり、そこが冒険者ギルドだった。


 道を教えてくれた屋台のおばちゃんによれば、ここターコイズの冒険者ギルドは大陸最大規模らしい。

 レッドバードの焼き鳥、美味しかったです。ご馳走様。


 そういや、言葉とか普通に通じるんだよな。文字も読めるし。

 〈自動翻訳〉は女神様のくれたスキルだけど、猫達のがスゴすぎて標準仕様にしか思えなかったが。

 まぁ、役には立っている。


 冒険者登録に必要な書類を書いて、ギルドの受け付けに提出する。


「職業はテイマーで間違いありませんか?」


「はい、使い魔はこの子で」


 受付のお姉さんがまじまじと、りゅうたろうを見た。


「猫……? もしかして、ケットシーですか?」


 ケットシーってあれだよな、猫の妖怪。

 ……いや、妖精だったか?


「いえ、猫です」


「……」


 お姉さんがなんともいえない顔になった。


 ……気持ちは分かります。


「あと二匹登録したいんですけど」


 私の言葉に、お姉さんはほっとしたようだった。


「種類は何でしょう?」


「全て猫です」


「…………」


 いや、本当にうちの猫達は凄いんだって!


 オパール王国の食料庫を空にしたとか、森ごと吹き飛ばして地形を変えたとか、とても人様には言えないような事をしでかしました……。


 無事に冒険者登録を済ませ、今日はターコイズに泊まる事にした。

 ギルドで紹介された宿屋で一晩を過ごしたけれど、正直、女神様にもらったテントの方がよほど居心地がいい。


 旅気分を味わってみたかったから別にいいけどな。

 おかみさんが作ってくれた朝食は美味しかったし。

 何より、起きたらご飯が用意されているなんて最高だ。


 キャットハウスに入っているりゅうたろう達に朝ごはんを食べさせると、私は宿を出てギルドに向かった。

 

 依頼を確認するためだ。

 受けるつもりはなく、この辺りで起きている謎の現象を調べるのが目的だ。


 食料が消えたとか、一日で地形が変わったとか、そういう類いのやつ……。


 ドラゴンとか目撃情報がはっきりしているものはのぞく。

 それでも大陸最大規模のギルドだけあって、膨大な量だ。


 私の〈事務処理〉スキルを発揮するときがきたようだな!

 無言で次から次へと依頼書の束(依頼完了済の物も含む)に目を通して仕分けしていく。


「…………」


 死にそう……。

 ……ちょっとくらい世界が滅んでもいいような気がしてきた。


「ん?」


 大量の書類にちょっとばかり壊れかけた私が見つけた依頼は、ターコイズの近くにある廃墟と化した古い城から謎の怪音が聞こえるというものだった。

 その音を聞いてしまった人は、みんな気を失ってしまったらしい。


 これって、お化け屋敷……?

 え、いつからホラーになったの、この話!?




「なるほど?」


 ここが依頼のあったお城か……。

 私は城を見上げ、顔をしかめた。


 あちらこちらに蔦が絡まり、いかにもな雰囲気の古い城。

 その周りには、うっそうと繁った木々。

 なぜか昼間でも薄暗い。


 「うん、出るな、これは」


 猫しか連れていないテイマーの私が依頼を受けようとすると、お姉さんはいい顔をしなかった。

 もっと簡単なものから始めた方がいいと、何度も念を押された。

 結局、あくまで調査するだけという事で話がついた。


「十分に気をつけて下さいね」


 ギルドのお姉さんは心底心配そうにそう言ってくれた。


 城ごと吹き飛ばしたりしないように気をつけます……。


 気配を探るとチャビの名前が表示された。


 やっぱり、ここにいたのか。

 あれ、でも、待てよ。


「チャビだけって、どういう事……?」


 チャビはくぅと姉弟で保護した猫だった。

 シニアといわれる歳になったというのに、うちの猫達の中でも特に寂しがり屋だ。

 こんな、初めての場所で一人きりでいるはずがない。


「まさか、くぅとはぐれた……?」


 マズい。一刻も早く確保だ!


「りゅうたろう、大きくなって」


 私の肩から飛び降りたりゅうたろうが、虎ほどの大きさに変化する。


「よつばは罠があったら〈解除〉。危ないと思ったら逃げなさい。……まあ、あんたは言われなくても勝手に逃げるだろうけど」


「にあん」


 よつばがもふもふのしっぽをピンとたてた。


「福助は」


「にゃ?」


 福助がじっと私の顔を見た。


「何もしないで下さい……」





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