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一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがヤバすぎた。改訂版  作者: たまご
第一章 異世界探索。

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第十三話 第八の猫、参上! 魔王ルート突入!

 図体も態度も大きいキングだが、意外と臆病なところがある。

 怖い事があると私の膝の間に潜り込んでくるのだ。

 おそらく、本人(本猫?)としては隠れているつもりなのだろう。

 ……頭しか隠れてないけどな。


「キング、大丈夫?」


 声をかけても、ぎゅうっと固まったまま動かない。


「ん?」


 女神様から電話がかかってきた。


『大変です! くぅさんが……!!』


「くぅがどうしたの!?」


『とにかく、急いでアレキサンドライトへ行って下さい!!』


「分かった。悪いけど、ラピスラズリに結界を張ってくれないかな。よつばが〈解除〉しちゃったから」


『分かりました。そちらは、おまかせ下さい』


 呆気に取られている長老さん達に声をかける。


「女神様に結界を頼んだので、それはもう大丈夫だと思います」


「女神様とは……?」


 あ、そうか。

 この世界には色々な神様がいるんだった。


「えーと、幸運の女神です」


「頼んだとは、どういう事ですか? まさか、女神様とお言葉を?」


 あー、えーと。

 どう説明すればいいんだ?

 いや、今はそれどころではない。


「すいません。急いでいるので説明はまた今度」


 マップを表示して確認する。

 魔法都市アレキサンドライト。

 ここか。


「キング、〈空間転移〉。目的地はアレキサンドライト」


 キングがぱちりと瞬きをした。


「うっ……」


 エレベーターに乗った時のような微妙な浮遊感があり、次の瞬間、私達は場所を移動していた。


「……なんじゃ、こりゃ」


 空から炎をまとった岩がふりそそいで、街を破壊している。

 まるで地獄絵図だ。

 さすがに魔法都市と言われているだけはあり、水魔法で消火して被害を最小限には押さえてはいるようだが。

 ……焼け石に水って、こういう事をいうのか。

 いや、それどころじゃなかった。


「せり、〈気配察知〉。くぅを探して」


 せりはしっぽをしょんぼりとさせている。


「どうしたの? 見つからない?」


 いや、待てよ。

 まさか……。

 これ、くぅがやっているのか!?


 私のテイマースキルを使ってくぅの気配を探る。

 やはり、ここアレキサンドライトにいるのは間違いない。


 スキルは……。


「……は?」


 火魔法、土魔法、水魔法、剣魔法、複合魔法、魔法耐性、物理耐性。


 いや、いや、いや。 

 バランスがおかしいだろ!!

 うちの猫が、どこかの無双系主人公みたいになってる……!?


「やっぱり、これはくぅがやっているのか」


 理由は分からないが、アレキサンドライトを壊滅状態にしているのはくぅだ。


 チャビが一点を見つめている。

 チャビとくぅは姉弟で保護した猫だ。


「くぅ、そこにいるの?」


 チャビが見ている方向へ目を凝らすと、高い塔のてっぺんにある鐘の所で小さな黒いものが動いているのが見えた。


 あれか!?


「キング、あそこに〈空間転移〉!」


 キングが瞬きをする。

 その瞬間、私達は塔のてっぺんへと移動した。


「くぅ!」


 くぅはしっぽを大きく膨らませ、身体中の毛を逆立てている。


 若い頃はチャビと一緒に悪さもしたが、シニアといわれる年になってからはすっかりおとなしくなった。

 若い猫達にちょっかいをかけられても嫌がって逃げるだけだ。


 しかし。

 突然キレるのだ。

 そうなると、うちの猫達にくぅに歯向かえるものはいない。


「ん?」


 くぅの足元に鎖のついた首輪が落ちていた。

 まさか、あれでくぅを……?

 血の気が引いた。


 ここは魔法都市だ。

 強い魔力を持つくぅを、どうにかしようとした輩がいたのかもしれない。

 キングが怯えていたのも、もしかしたら同じ理由かもしれない。


「……」


 女神様、ごめん。

 間に合わなかったかもしれない……。

 いや、ダメだ。

 何とかしてくぅを止めないと。


 だけど。


 くぅを攻撃するわけにはいかない。

 そもそも、あの状態のくぅにうちの猫達が歯向かうとも思えない。

 チャビのごろごろも、産まれた時から一緒にいたであろうくぅに対しては効果が期待出来ない。


「どうしたら……」


 待てよ。

 これだけ近くにいても私達に攻撃してこないところをみれば、ある程度周りの状況が見えているのだろう。

 ならば。


「私が何とかしてみせる!」


 猫の為なら何とかするのが、猫飼いの心意気ってもんでしょうが!


「くぅちゃーん」


 ぱたっ。


 ぴくっ。


 くぅの耳が動く。


 ぱたぱたっ。


 ぴくぴくっ。


 振り向いたくぅの視線は、私の手元にくぎ付けだ。


「くぅちゃーん、遊ぶよー」


 猫じゃらしを巧みに操りながら、私はいつものように声をかけた。

 くぅは目をらんらんとさせ、身体を伏せて狩りの体勢だ。

 今や、アレキサンドライトの事は頭の片隅にもないはずだ。


 しかし、まさか、私の〈猫じゃらし〉レベルMAXが世界を救う日が来るとはな!!






「皆さん、ご無事でなによりです」


「お騒がせしました……」


 無事にくぅを回収した事を伝えるために、私達は女神様の神殿のある神聖王国クリスタルに来ていた。

 キングの〈空間転移〉で一瞬だし。


 くぅがされたであろう事を考えると街を修復する気にはなれなかったが、大好きな姉猫のくぅと再会できたチャビがごろごろいい始めてしまったので、アレキサンドライトの街は真新しい状態になっている。

 いつも通り街の人々が眠りこけている間に、私達はアレキサンドライトから逃げ出した。

 ……まぁ、ほかの人に罪はないからな。 


「ところで、つかささん達はこれからどうします?」


「そうだねぇ……」


 ずっとここにいてもいいんですよ、と女神様はりゅうたろう達に話しかけている。


 まぁ、まったりと暮らすのも悪くはないけれど。


「とりあえず、大陸中を旅してみようかな」


 猫達を探して右往左往していたから、のんびり見物も出来なかったし。

 そう言うと、女神様は無言で私の持ってきたお土産へ視線を向けた。


 い、いや、それは……。

 …………。

 自分だって「美味しいですね」って、嬉しそうに食べてたじゃないか!


「あと、猫神様にもお礼をしたいし」


 猫達が無事だったのは、猫神様のご利益もあったのだろう。


「それはいいですね」


 女神様がにっこりと笑う。


「つかささんをこの世界に転生させたのも猫神ですし」


「……え?」


 転生って女神様がさせてくれたんじゃなかったのか?


「私には、世界を越えて転生させるほどの力はありません」


 ああ、そういや女神様は力があまり強くないとか言っていたな。


「でも、何で猫神様が?」


「つかささんが亡くなる瞬間に、猫さん達の事を考えたからじゃないですか?」


 本来は猫の神ですし、と女神様はそう言った。

 ……そういうものなのか?


「では」


 女神様は膝をつき、祈るように手を合わせた。

 私も、慌てて姿勢を正した。


「この者達の、この世界での幸運を!!」




                 第一章 完。


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