表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがヤバすぎた。改訂版  作者: たまご
第一章 異世界探索。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/15

第十話 第六の猫、参上! はい、片付けようねー。

「ここがオニキスか」


 次に私達が訪れたのは、山岳地帯にある城塞都市オニキス。

 石造りの建物が並び、街の周囲を堅牢な塀で囲んでいる。

 ここはたびたび魔物の襲撃を受けるらしく、衛兵らしき人達が警戒態勢を取っていた。

 街の外れでは崩れた塀の修復作業が行われている。


 なるべく早く猫を見つけて、ここから離れた方がいいかもしれない。


「あれ?」


 ここにも神殿があるのか。


「んー?」


 女神様の神殿と比べて随分と寂れている。

 長い間、手入れもされていないようだ。


「ま、いいか」


 とりあえず拝んでいこう。

 ぺこりと、神殿に向かって頭を下げた。


「猫達が無事でいますように」


 ついでに、何もやらかしていませんように……。


「お姉さん、拝んでもムダムダ」


「え?」


 背後から声をかけられた。

 地元の人らしきおじさんが、ひらひらと手を振って言う。


「運命神様は、人間の願いなんか聞いてくれないからな」


 運命神?

 って、ここの神様のことか?


「そうなんですか?」


「何があっても、『それが運命だと思って受け入れろ』ってのが運命神様だからな」


「あー」


 なんとなく人気のない理由が分かった。

 運命って言われてもねぇ……。

 まぁ、いろんな神様がいるもんだ。


 それはさておき、猫を探さなくては。


 この街にいるのは、おこん。

 うちの猫達の中では最年少のおてんば娘だ。


「スキルは……」


 〈創成魔法〉(無制限)。


「………………」


 無制限!?

 そんな無茶苦茶な……。

 

 いや、待て。

 相手は猫だ。そして、おこんだ。

 どんなにチートだったとしても、自分の知っている、というか、自分の興味があるものしか作り出さないはずだ。

 まぁ、そんなには危なくはないだろう。

 ……ほかの猫達と比べての話だけど。



「せり、〈気配察知〉」


 せりがひげをぴくぴくさせながら歩くのを、私は後ろからついて歩いた。

 せりは生まれつき足が悪かったはずだったが、今は完全に治っている。


 チャビのごろごろ、間近で聞いてたしねぇ。

 〈回復〉の効果だろうな。


 そういえば、女神様の話ではあのあとトルマリンの人達は重症だったはずの病人から、腰痛や肩こりまでみんな治ってしまったらしい。


 チャビ、恐ろしい子……。


 せりがちらっと私を振り返った。


「ここか。せり、ご苦労様」


 路地に入ると物が散乱していた。

 猫ベッドにキャットタワー、猫じゃらしに紙玉、魚の形をしたクッション。


 ……快適に過ごしていたようで、何よりです。


「おこん、帰るよ」


 声をかけると、猫ベッドから白黒の小柄な猫が顔をのぞかせた。顔の真ん中で、模様が別れている。


 いそいそと、おこんは私の元に駆け寄ってきた。

 ごはん? と、いつもの感じで私の足にすりすりをしてくる。

 せりと違ってずいぶんと簡単だ。


「ここ、片付けてからね」


 おこんの頭を軽く撫でて、私は散乱する猫グッズをかたっぱしから片付け始めた。


 おこんの〈創成魔法〉は物を生み出すのに制限はないが、一度出してしまったら、そのままになってしまうらしい。


「無限収納があってよかった……」






 ふんふんと、誰かが私の顔をのぞきこんでいる。


「……ごはん? ごめん、あと5分だけ待って……」


 あれ?

 半分眠りながら手を伸ばしたが、ふかふかもふもふの感触がない。


「んー?」


 そうだ。昨日は山道の途中で夜になりそうだったので、オニキスの宿屋に泊まったのだ。


 べ、別に、フライリザードの唐揚げが食べたかったとかじゃないからね! 勘違いしないでよ!


「…………」


 やめよう、アラサーのツンデレは自分もキツイ。


 ベッドに猫達はいない。

 宿屋に泊まった時は、迷惑をかけるといけないのでキャットハウスから出さないようにしていたのだ。


「……寝ぼけてたのかな」


 とりあえず、顔を洗って起きるとするか。




 次の目的地に向かおうと、城門から出ようとした時だった。

 不意に、せりがキャットハウスから顔を出した。


「こら、ダメでしょ」


 って、私の許可がなければ出てこれないはず。

 ……緊急時以外は。


 せりは全身の毛を逆立てていた。

 耳は伏せられ、イカミミ状態だ。


〈気配察知〉か!

 そういえば、オニキスは魔物が襲ってくるのだった。


「りゅうたろう、大きくなって。せり、〈隠密〉」


 私がせりを抱いたまま触れていれば、〈隠密〉の効果はりゅうたろうにもあるはずだ。


「……?」


 雷が鳴った時のように、空気が震えた。

 上空に見える巨大な影。


 ドラゴンだ!!


 空気を震わすほどの巨大なドラゴン。


「…………」


 私は呆気に取られて空を見上げていた。


 ドラゴンって、あんなに大きいんだ……。

 ゲームや漫画でもよく登場するけど、人間サイズであれを攻撃するなんて、主人公ってやっぱりすごいな……。


 いや、いかん。

 あまりの事に現実逃避をしていた。

 真面目に対処法を考えなければ。


 女神様は、大きくなったりゅうたろうならドラゴンなど ぷちっ! だと言っていたが。

 それ、ドラゴンが地面にいてくれたらの話だよな……。

 福助の風魔法も、あそこまで届くかどうか。


「…………」


 オニキスの衛兵達が弓矢で射っているが、やはり届いていない。


「おこん」


 キャットハウスからおこんを呼び出した。

 こんな状況だというのに、おこんはわくわくしたような顔をしていた。


「〈創成魔法〉、でっかいキャットタワー」


 ぼふんっ、と音がして、空にそびえるほどの巨大なキャットタワーが出現した。


「りゅうたろう、もっと大きくなって」


 りゅうたろうの姿がみるみるうちに大きくなる。

 大きくなったせいで、〈隠密〉の状態にはしておけなくなった。

 はたから見ると突如姿を現したかのようなりゅうたろうに、衛兵達が新手かと身構えた。


「りゅうたろう、ドラゴンを叩き落として!」


 りゅうたろうが、キャットタワーをひらりひらりと駆け登る。

 

 さすが猫!

 ……私の肩に乗る時も、あれくらい華麗にやってくれないものかな。


 キャットタワーのてっぺんで、りゅうたろうがふりふりとお尻をふって狙いを定めている。

 獲物を叩き落とすつもりでやれば、楽勝だ!

 ……まぁ、相手はドラゴンだからちょっと大きめだけど。


 空中に飛び上がったりゅうたろうが、前足でドラゴンを叩き落とした。


「おこん。りゅうたろうの下に、大きなクッション!」


 ふかふかのクッションの上に、しゅたっ、とりゅうたろうが降りてきた。

 猫だから大丈夫だろうと思っていたが、クッションは念のためだ。


 地面に叩きつけられたドラゴンは、起き上がろうともがいている。


「よつば。ドラゴンの魔法とスキルを〈解除〉」


 よつばが前足をちょいちょいと動かした。


「おこん。ドラゴンに、でっかいペットキャリー」


 おこんが嫌そうに、地面をしっぽでばんばんと叩いている。


 違うから。おこんを入れるんじゃないから。

 病院じゃないから。

 ね?


 必死になだめると、おこんはしぶしぶペットキャリーを出してくれた。

 しかも、うまい具合にドラゴンが中に入った状態になるようにだ。


「りゅうたろう、閉めて!」


 ばんっ、とりゅうたろうがペットキャリーの扉を閉めた。

 その勢いでロックがかかる。

 がしゃこんっ、と音がして、ドラゴンは巨大なペットキャリーの中に閉じ込められた。


「なんとかなった……」


 ほっと息をつく。

 

 呆気にとられていたオニキスの人々は、脅威が去ったことに対して「何が起きた?」という具合に首を傾げながらも、ぱらぱらとまばらな拍手をおくってくれた。


 しかし、目の前には空にそびえるほどのキャットタワー、大きなクッション。

 そして、巨大なペットキャリーの中に閉じ込められたドラゴン。


 シュールだ。


「これ、無限収納に入るかな……」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ