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最終章 さようなら、全てのアミーダ

第十三節 目覚めよ、ナオト


第十八号機の覚醒によって起きた、第三の乱により、仏界は再び焦土と化していた。中でも黄泉の国は甚大な被害を受けていた。誠隊隊員たちは、黄泉の国を元に戻すべく、隊員たちを総動員し、復旧作業に取り掛かっていた。


「全く。こんな惨劇は有り得ないぞ。」


第三の乱によって、神々は甚大な被害を受けていた。今回の事件により、仏界の神々は半数が失われているのだと言う。一斉に隊員たちが、黄泉の国の復旧、復興に取り掛かっているその時のことだった。


「司隊兵士だーーー!戦闘配置!」


黄泉の国の復旧作業中に、司隊の兵士たちが一斉に襲いかかってきた。ハクシは、誠隊の兵士たちを一斉に集結させ、司隊の一掃を試みた。怒号と銃声が周囲に響く黄泉の国。司隊と誠隊が、体を張ってぶつかり合う。ひたすら、黄泉の国で乱闘を繰り広げる司隊と誠隊。ハクシは、思わずその惨状に嘆いた。


次の瞬間。司隊の兵士がスイッチを押した。その瞬間、司隊のアミーダが次々と上空から押し寄せてきた。現れたのは、空中戦に特化したアミーダである、アミーダアヴァターラXタイプEであった。アヴァターラXタイプEの軍団が、押し寄せ、黄泉の国復旧作業を続けるハクシらを強襲した。そして、ハクシはアズサに十七号機で、アヴァターラXタイプEの軍団を片付けるように指示を出す。


「アヴァターラXタイプE軍隊は、俺が片付けるぜ!」


十七号機は、数々の武装を駆使し、迫り来るアヴァターラXタイプEを攻撃した。絶え間なく迫り来るアヴァターラXタイプE。第二波、第三波、第四波と、次々と襲いかかる。「おらおら!どんとかかってこいやぁ!」と叫ぶアズサ。そして、迫り来るアヴァターラXタイプEをひたすらに寄せ付けると、そのまま山に叩き落とし、全機を爆散させた。


それに続き、浮遊型のアミーダアヴァターラXタイプF複数体と、巨大な戦車のような姿をしたアミーダアヴァターラXタイプG単体が現れる。まさにボス級だ。これは、司隊が神仏憲法に背いて作り上げた代物であり、かなり危険なものだった。次の瞬間、アヴァターラXタイプFが、XタイプGに向け、エネルギーをチャージする。すると、XタイプGが、強力なエネルギー砲撃を放ってきた。それを食い止めるアズサの十七号機。そして、次の瞬間、再びXタイプGが二発目を放ってくる。十七号機は、霊術より巨大な光の矢を装備し、XタイプGを勢いよく貫いた!並んでいたXタイプFが次々とバランスを崩し、倒れていく。XタイプF、及びタイプGはそのまま爆散、消失していくのであった。妨害物は片付き、ハクシらは黄泉の国の復旧作業を進める。隊員らが特殊な霊力を用いた事で、黄泉の国は最終的に元通りになるのだった。十七号機に乗っていたアズサは言う。


「待ってろよ。仏ナオト。」


その一方。ナオトは真っ暗な闇の中に閉じ込められていた。誰もいない闇の中。ナオトは葛藤していた。友を失い、仏界を二度も崩壊へ導いたことを。「誰でもいいから、僕を助けて」と必死に叫ぶナオト。しかし、彼の呼び掛けに答える者は誰もいない。ナオトは、カノンやタケルや、サヤなど、仲間たちの名前をひたすら叫んだ。しかし、その前に現れたのは…。


アミーダ初ノ型ブッダリアだった。そう。ナオトは「仏界を壊してまで、大切な人を犠牲にしてまで、これに乗らなければならないのか」と言う。ナオトはブッダリアを拒絶し、逃れようとするが、ブッダリアはナオトを捕まえる。「離して!」とナオトは叫ぶが、ブッダリアは逆に握る力を強くする。絶叫するナオト。「頼む。僕には大切な人たちがいるんだ…。だから、離してくれ。」と呟くと、ブッダリアはその場から姿を消した。


ブッダリアから解放されてもなお、ナオトの心の葛藤は続いていた。ナオトに対し、周辺の人物たちは問いかけた。まずはサヤ。


「あなたは、神々を救うふりをして、神々の世界を壊したわ。自重しなさい。」


サヤは、案の定ナオトに冷たくあしらっていた。しかし、ナオトは「そんな事はない。皆、僕を信じているはずだ!」と反論した。そんな中、カノンとタケルも言う。


「お前には、もう失望した。ましてや仏界を壊した奴とは関わりたくないね。」

「あなたはずっと、神々の傷を背負っているしかないのよ。」


他にも、かつての仲間たちが、ナオトを批判し続けた。「仏界を崩壊させた罪は必ず償え」と。ナオトは、「僕を犯罪者扱いしないで!」「誰でもいいから、僕を助けて!」「僕のことを一人にしないで!」と叫ぶ。家族を殺された上、尊敬していた魂隊をも殺され、仲間を救ったら仏界は崩壊した上に、サヤら仲間たちから殺意を向けられ、唯一心を開いてくれたカンナをも失ったナオトは、酷く傷つき、自分や仏界、仲間と葛藤した。


それからしばらくして。葛藤を終えると、ナオトは病室で寝かされていた。ナオトは、すっかり髪が白くなり、身体はかなりやつれている模様だった。すると、そこへカノンがやってくる。

「おいで。仏くん。」手を差し伸べるカノン。しかし、ナオトは仏界を崩壊させ、カンナを失ったショックから、言葉を出せずにいた。カノンは、ナオトに元に戻ってもらうべく、専門の職員を紹介した。


ナオトは、第二の乱の避難民が集まる都「第二神都」へと案内された。そこで、ナオトは「仏界での悩み事」を解決するグループセラピーに参加した。子供から年配の神の利用者が集まる福祉施設だった。そこでは、自身が神として欠如している所や、神になるにはどうすればいいのか、といった悩みを持つ神たちが集まっていた。専門の職員が、解決策を探り出し、利用者の神々にヒントを与えた。利用者と交流する中、ナオトは、だんまりしたままだ。職員は、ナオトに対し、「本当に辛かったねえ。ここで吐き出してもいいんだよ。」と優しく諭した。そして、ナオトは、職員を通じて、同じ悩みを持つ神々と、交流を続けた。


そして、一日が終わり、ナオトは山奥の一軒家に帰ってくる。帰りを待っていたカノン。カノンは、ご飯を用意した。「今回のグループセラピーどうだった?」と聞くカノン。しかし、ナオトは未だにだんまりしたままであった。カノンは、「そう。話せるようになったら、話してね。」と言う。その夜。ナオトはカノンとともに就寝につくのだった。


翌日も、ナオトは悩みを持つ神が集まるグループセラピーに参加した。ナオトは、グループセラピーの職員に、僅かながらも言葉を絞り出し、自身の心情を話した。職員は、「仏さんも、大分回復してきましたね。この調子で、頑張っていきましょう。」と優しく諭した。ナオトは、職員の優しさに気づき、これから、このグループセラピーの利用者ともども上手くやっていこうと努力するのだった。そして、お昼時。利用者ともども昼食の時間だ。僅からながらも食事に手をつけようとするナオト。すると、隣に座っていた子供の利用者が、「ほら。食べなよ。美味しいよ。」と言う。思わずホッとした顔をするナオト。利用者からは「君って何で片言なの?」と聞かれたり、「もっと喋ろうぜ。ここの人達は皆いい人だ。」と言われる。中には「若いのに髪が白いんだね。仏さん。」などと言われる。すると、職員は「仏さんは、色々な事情があってね。今はまだ神らしさを失っているんだ。馴染むまではまだ時間がかかるよ。」と言う。ナオトは、利用者との交流を通し、少しずつ気力を取り戻していくのだった。


その一方で、カノンは女性の神たちが集まる手芸場に通っていた。赤いパイロットスーツのまま、仕事をするカノン。すると、職場の女性から、「ミニスカートじゃ仕事出来ないわ。」と言われる。そこで、職場の女性は、会社の制服とエプロンを手渡した。カノンは、新人ながらも、手先の器用さが認められた。ひたすらに、人形や織物などを作り上げていく。


ナオトとカノンはそれぞれ、日中活動をし、日常を謳歌した。ナオトは、福祉施設の神々との交流を通し、気力を取り戻していき、カンナを失ったショックや、第三の乱を忘れていく。しかし、その夜のこと。一緒に過ごしていたカノンに異変が起きる。一定音が鳴り響き、目が点滅、そして畳にバタリと倒れ込んだ。驚くナオト。そして、ナオトはカノンをおぶり、病院へと急いだ。夜道を走っていくナオト。そして、病院へ着くと、医師からはこう告げられる。


「彼女、造られた存在ですね。もしかしたら、そんなに長くは持ちませんよ。」


そう。医師の言う通り、このカノンは、観音菩薩の複製体であるが故、神の複製体は、数ヶ月しか持たないという縛りがあるのだ。ナオトは、ショックから立ち直ったものの、大切にしていたカノンの恩は忘れまいと、心に決めた。


夜道。ナオトとカノンは第二神都の道を歩く。どうやら、カノンはお腹を空かせているようだった。ナオトは、カノンに果物を買ってあげようとする。24時間営業の八百屋で、桃を購入するナオト。そして、ナオトとカノンは近くの公園に立ち寄り、カノンは桃をもぐもぐと食べた。ナオトは、カノンの食べる仕草を見てほっこりしていくのであった。次第にナオトは、カノンの心に付け込まれていく。身体は違えど、カノンは優しい心を持っているのだと。


翌日。ナオトとカノンは一軒家に戻った。しかし、カノンは、もう身体が持たないと言った。複製体であるが故に。ナオトは思わず驚愕した。そして…。


「あなたは、サヤたちと仲直りすればいいわ。そして、仏界を本に戻す。私から言えるのはそれだけ。さよなら。」


カノンは、ナオトに助言を言い残すと、そのまま花びらとなり、消滅した。思わず抱きかかるナオト。


その後、ナオトはサヤに連れられ、再び大黒天・改へと向かった。大黒天・改の職員からは、「回復してくれて良かった。しかし、君をまだアミーダと接触させることは出来ない」と言われる。すると、ナオトは「あの第三の乱で気づいたんですが、もしかしたら厭魔はまだ生きているのかもしれないんです。」とサヤを説得するように伝えた。そうすれば、今回の事件の手がかりが見つかるのかと。ナオトの言葉を聞き入れた誠隊員は、状況を分析しつつも、サヤの説得に乗ろうとした。


そして、それを聞いたサヤとハクシ。もしかすれば、厭魔が生きている可能性があるのかと突き止める。しかし、厭魔の生存はこの仏界のどこかであるかも分かっていない。そこで、サヤは仮に厭魔が生きているのだったら、今回の事件は紛れもなく彼の仕組んだ策だった。もしそうであればナオトに謝罪しなければならない。と悟った。二人は、かなり浮かない顔をしつつも、司隊のアミーダ殲滅から、厭魔の捜索へと舵を切ろうとしていた。


そんな話の中、サヤはナオトが辛い思いをしていたことから、第三の乱発生前に自らが処刑した漣ゴウの記憶を思い出す。ゴウは、辛い心情を抱きながらも、 現在に至っていたものだと。


ここからは、サヤの追憶による漣ゴウの物語となる。


第十四節 追憶〜漣物語〜


サヤによって語られるのは、司隊隊長、漣ゴウの物語。彼はかつて、仏界の都である「光の(ひかりのみやこ)」で、地蔵菩薩の一族として生まれた。彼は、ナオトの祖父にあたる釈迦如来とともに、常に生ある存在を見守り、救済する仕事を、家族ともども行っていた。地蔵菩薩の一族であるが故に、裕福な生活を送っていたゴウ。しかし、ある時。その一時は終わりを告げたのだった。


そう。突如として妖怪の軍団「羅刹団」が、光の都を侵攻したのだ。羅刹団はかつて、神仏郷のみならず、仏界の各地を侵攻し、強大な妖怪の力で、仏界を支配していたという伝説が記されていたのだ。羅刹団の首領・厭魔は、金鬼(きんき)銀鬼(ぎんき)と呼ばれる巨大な妖怪に命令し、彼らの配下である妖怪を操り、光の都を襲撃させたのである。そんな羅刹団の魔の手は、ゴウのもとへと伸びていったのだ。ゴウは、家族を目の前で惨殺された。妖怪は、ゴウの家族を皆殺しにしたのだ。絶望のあまり、蹲るゴウ。


旧仏界での羅刹団との戦いが幕を開けた。しかし、ゴウは怯える一方だった。こんなどうしようもない仏界でやっていけるわけがないと。大きな岩山の頂上。ゴウは自身の弱さを噛み締め、自決を試みようとした。しかし、それを止めるものがいた。彼の名は、仏トシオ。釈迦如来の息子にして、神仏警備隊・司隊の隊長であった。すると、トシオはゴウを叱咤したのだ。


「お前が家族を救えなかったのは、お前が弱いからだ!それでも神か!?」


ゴウは、涙ながらもトシオに「私に…仏界を救う権利を与えてください…」と乞う。しかし、トシオは厳格な姿勢を崩さなかった。ある日、ゴウは、司隊への入隊訓練を受けた。しかし、その訓練は、常軌を逸していた。ゴウは、ひたすら厳しい訓練を重ねていた。訓練の度に、ゴウはトシオから身体がボロボロになるまで棒で叩かれた。ゴウは、そんなトシオをまさに鬼神のような存在だと感じ取った。しかし、ゴウはそんなトシオの鬼のような、そして地獄のような鍛錬を重ねた。地獄の鍛錬の末、ゴウは司隊への正式入隊が決定した。


そして、ゴウはトシオ、当時の開発主任から旧型のアミーダを授けられる。彼に授けられたのは、金色の機体・アミーダ旧式壱ノ型クシティだ。クシティは、現在のナオトの機体・アミーダ初ノ型ブッダリアを金色にリペイントしたような機体だ。ゴウは、クシティのパイロットとして、羅刹団の妖怪や怪異に立ち向かった。しかし、ゴウはアミーダとの適合、及び羅刹団の妖怪の凶暴性に恐れ、そして怯えていた。そんなゴウは、トシオから「お前は仏界を救うんじゃなかったのか?」「嫌ならパイロットを辞めてもいい」と冷たく突き立てられるが、ゴウは、負けじと羅刹団の妖怪に立ち向かった。戦って帰ってくるも、ゴウは褒められることはなく、冷たくあしらわれ、更には責められる毎日を送っていた。ゴウは、司隊の職員から弱い面を強調され、使えないと目くじらを立てられていた。


ゴウは諦めなかった。辛い感情を抱きながらも、羅刹団に立ち向かった。そんな中出会ったのが、ゴウの同期である女性パイロットで、弁財天の孫娘・弁財コハクだった。何だかんだで冷たくあしらう司隊職員の中で、唯一ゴウに優しく寄り添うコハク。ゴウは、次第にコハクに心を惹かれていく。そして、ゴウはコハクと寺院巡りや仏界の散策など、数々の思い出を作り上げ、二人きりで過ごすようになった。ゴウとコハクは、次第に恋仲となっていき、夜も共にするようになった。その後、ゴウはアミーダのパイロットとして、コハクとともに羅刹団の妖怪に立ち向かっていく。そのうちに、ゴウは自身の弱い心を叩き潰していき、強い心へと付け替えていくのだった。コハクは、ゴウにどうすれば、強くなるかという事を優しく教えた。そして、ゴウは優しさと強さの重要さというものを大切にし、羅刹団に立ち向かうことを理解するのだった。


ある日、羅刹団の前首領であった金鬼、銀鬼が降臨した。二人は、異形の怪物の姿となり、光の都を破壊した。そして、コハクの搭乗アミーダ・サラスバティとともに、金鬼・銀鬼の二体の兄弟首領と戦うこととなる。そして、クシティとサラスバティは、二機で連携し、金鬼と銀鬼に懸命に闘いを繰り広げたのだ。しかし、敵はかなり圧倒的な力を持っている。ゴウとコハクのアミーダでは、なかなか太刀打ち出来ない。すると、次の瞬間、金鬼と銀鬼は二体同時に、猛攻撃を放ってくるのだった。ゴウのクシティを庇うコハクのサラスバティ。サラスバティは、金鬼と銀鬼の攻撃を跳ね返すが、コハクは次第にダメージを受けてしまう。身体が次々と引き裂かれてしまう。そして、生きるか死ぬかの激闘の末、金鬼と銀鬼は、倒された。しかし、コハクは致命傷を負っていた。ゴウは、コハクを庇うのだった。しかし、コハクの身体は血だらけに。コハクはゴウに対し、「強くなって…羅刹団を倒すのよ…。」と息絶え絶えに言い残し、そのまま息を引き取った。唯一仲を良くしてくれたコハクは亡くなった。ゴウはそのショックの失意のあまり、アミーダに乗る気力を無くし、更にはアミーダとの適合率も低下。廃人に近い状態が続いた。


恋人であったコハクを失ったショックから、ゴウはあてもなく彷徨った。ゴウは、大切なものを守りきれなかったと深く悔やんだ。そんなゴウの心に土足で踏み入るかのように、再び妖怪が出現した。その妖怪は、かなり凶暴だった。前首領である金鬼、銀鬼が敗れてもなお、羅刹団は動き続けていた。そう。支配欲の強い厭魔は、妖怪を握り続けていた。光の都の神々を次々と襲撃していく妖怪たち。それにより彼らは凄まじい恐怖と混乱に陥った。失意に陥ったゴウの元へも、妖怪が現れる。それを救うかのように、新たなるアミーダがやって来た。それは、司隊を補佐するためにやってきた少年・成仏スバルだった。スバルは、かなりの凄腕のパイロットであり、妖怪の群れを一瞬にして葬り去るほどの力を持っていた。スバルの搭乗機である、アミーダ旧型三式マハーヴィーラも、かなり優れていた。ゴウは、スバルに憧れた。その出会いから、ゴウとスバルは旧司隊のパイロットとして仲良く、親しくなるのだ。ゴウは、スバルと過ごしていくうちに、家族と恋人を失ったショックを忘れていく。ゴウとスバルは、いつものように将棋を指した。しかし、彼はかなり強く、ゴウはいつも負け、スバルを羨んでいた。スバルも優しい性格柄、失った恋人のコハクと同等だった。そして、その優しさとチームワークを尊重しつつ、迫り来る羅刹団の妖怪に立ち向かっていった。


激しさを増していく羅刹団の勢力。やがて、旧司隊だけでは役に立たなくなる一方だった。羅刹団の新たなる勢力に向け、アミーダの建立、及びパイロットの派遣が進められる霊界。特に神仏警備隊組織の中で、上位に立つものが、優秀なパイロットと、次世代に向け建立された最新鋭のアミーダが揃う「魂隊(たましいたい)」だ。旧魂隊は旧司隊を支援すべく、六体の最新鋭アミーダ、及び優秀なパイロットを送った。ゴウは彼らを頼りに、羅刹団の新たなる勢力へと立ち向かった。


ひたすらアミーダの攻撃に苛立った厭魔は、ついに堪忍袋の緒が切れ、恐怖の計画を実行した。それは、仏界、及び全宇宙に眠る「幻の妖怪」たちを解き放ち、仏界全てを蹂躙する計画だった。厭魔の手にしている「禁断の力」により、「幻の妖怪」が覚醒。百鬼夜行のごとく、仏界を蹂躙した。ゴウ、スバル、そして旧魂隊がアミーダを駆使し、その百鬼夜行を食い止めようとする。しかし、数百キロにも及ぶ巨体、凄まじい熱波や稲妻などの攻撃、巨体ながらも亜音速で移動するなどの最高時速などで、かなりの苦戦を強いられた。ゴウ達は、懸命に立ち向かうが、幻の妖怪たちの猛攻撃により、苦戦を強いられた挙句に、魂隊は皆犠牲になる。その後、ゴウとスバルのアミーダも、幻の妖怪たちの攻撃に屈し、ついにはエネルギー不足に追い込まれ、ただ敗走するだけだった。それから、幻の妖怪たちによる百鬼夜行は続き、わずか七日間で、仏界や人間界は更地になり、神々は半数が犠牲になった。それから数年が経ち、厭魔の配下であった幻の妖怪たちは、化石となった。厭魔の幻の妖怪により起きた百鬼夜行。それにより神々の半数が滅亡するという大打撃をもたらしたこの事件は、「第一の乱」と呼ばれ、仏界の歴史に刻まれるのだった。


それから長い年月が経ち、ゴウは自身の弱い心を、強い心に付け替えるべく、士官学校へ社会人入学した。そして、祖父の跡を継ぎ、莫大な富と財産を得た。その財産を使い、ゴウはサヤやハクシと出会い、神仏郷侵攻時、新たなる司隊を立ち上げるのだった。ゴウの生い立ちは、かなり波乱万丈に過ぎなかった。


それが、サヤによって語られたものだった。サヤは、ゴウは殺めるには惜しい存在だったという。


第十五節 曼荼羅の闘争


ゴウの追憶は終え、黄泉の国から、曼荼羅へと飛び立つ大黒天・改。サヤたちは、厭魔が生きているという事を察知し、その模索へと向かう。そう。厭魔は神、仏、人の魂のターミナルである曼荼羅で生存していたのだ。そして、ハクシが、「今回の事件の黒幕もあいつの仕業だったんだな。自身が犠牲になる事によって、ナオトの信頼を失墜。更には復活してまたリベンジマッチを挑もうというとは。あいつにしてはかなり卑怯すぎる。」厭魔がかなり卑怯な手を使っていると突き止めるハクシ。そう。今回のナオトのいざこざの原因は、厭魔の仕組んだ卑怯な罠であったと判明した。そして、サヤらは手を組んで、厭魔の模索を続ける。


黄泉の国を抜け、曼荼羅への境界線を順調に航行している大黒天・改。しかし、それを知らなかった司隊はアミーダを率いて再び誠隊に襲撃してきた。現れたのは、般若のような頭部をしたアミーダアヴァターラSだった。司隊は、誠隊を妨害するために先回りし、出し抜いてきたものだと推測される。しかも、その数は凄まじい量だった。サヤは、タケルとアズサにアヴァターラSを全て殲滅するように指示を出した。


大黒天改から、タケルの十五号機、及びアズサの十七号機は構わず出撃した。次々と群れを成して襲いかかってくるアヴァターラS。その群れを退けながら、攻撃する二機。「おらぁ!俺たちを舐めんな!」と叫び、アヴァターラSの群れを次々と殲滅していく二機。アヴァターラSの攻撃方法は、主に突進や噛み付きなどといった単純な動きであった。雑魚とはいえどもかなり厄介な敵ながらも、二機はアヴァターラSの大群を駆逐していく。そして、アヴァターラSは群れを成しながら、四方八方から十五号機と十七号機を取り囲むように襲いかかった。十五号機と十七号機は、手を繋ぎ強力なエネルギーを集め、そして全身を発光させ、アヴァターラS群を駆逐した。タケルとアズサは一安心するが、次の瞬間、新たな小さい敵に蹴り飛ばされる。現れたのは、アミーダの肩パーツに、ニーハイブーツを着用したカノンの脚が生えたような敵だった。その敵は、十五号機と十七号機に組み付いたり、蹴りを入れたりして、二機を苦戦させた。しかし、二機は自らの武装などで、敵群を寄せ付けながら、次々と殲滅する。


カノンの脚を模した敵に苦戦を強いられる二機。すると次の瞬間、二機の周囲を美しい七色の光が取り囲った。それに驚愕とするタケルとアズサ。その光とともに、敵は全て一掃された。同時に、強力な稲妻が十五号機と十七号機に直撃する。二人はまたしても驚いた。現れたのは、以前の第三の乱の事件後、封印されていたと思われていたアミーダ第十八号機だった。「第十八号機のパイロットは無人のはずだ!何故動いているんだ!?」と驚くタケル。第十八号機は、白馬のような神々しい姿で、十五号機と十七号機を見下ろした。そして、手にしている二本のシャナの宝塔を武器に、二機を相手に攻めかかってきた。シャナの宝塔からは、強力な光が放たれてくる。それを交わす二機。何によって動いているのかも不明な第十八号機。無人ながらも、強大な力を使い、二機を圧倒していった。


二機を退けた瞬間、第十八号機は大黒天・改に向け、手にしている宝塔、及び目から出される光線を融合させ、強力なビーム光線を放つのであった。よって、大黒天・改は大破。そのまま墜落していった。無人で動く第十八号機によって、十五号機と十七号機は手も足も出ない。そのまま墜落してしまう大黒天・改。すると、次の瞬間、タケルは、自らに植え付けられた妖怪の力を使った。同時に十五号機のリミッターが解除されていき、十五号機は、巨大な紫色に光る獣のような姿へと変わっていく。そう。これは以前の厭魔との闘いで、妖怪の力を手にしたタケルと、アミーダが融合し、強大な力を得たというものだ。アズサは「やめろ!タケル!お前も神に戻れなくなるぞ!」と叫ぶ。妖怪と融合した十五号機は、第十八号機の何倍もの巨体に変化し、そこから第十八号機を捕食しようとした。しかし、第十八号機は俊敏な動きでそれを交わした。第十八号機を逃がさずに、食らいかかる妖怪化した十五号機。しかし、次の瞬間、十五号機は第十八号機にエネルギー弾を撃ち込まれる。それが見事に十五号機の身体を貫通した。そして、次の瞬間第十八号機の中に眠っていた「何か」が、タケルの手を取り、そのままタケルを第十八号機の中へと連れ去った。そう。これも厭魔が仕組んだ策略だったのだ。そして、タケルの乗った十五号機は、形状を維持出来ず、そのまま崩壊していくのであった。残されたアズサの十七号機が、第十八号機を攻撃しようとするも、第十八号機はそのまま曼荼羅へと逃亡していくのだった。


その一方で、黄泉の国と曼荼羅の境界線で不時着した大黒天・改。そこは幻想的に光り輝く光の泉だった。サヤらは、その場から出る。そして、髪が白くなり、やつれたナオトと再会。そして、サヤはナオトに対し、「今まで誤解していたわ。ごめんなさい」と謝罪した。どうやら、厭魔が生きている事を悟り、今回のいざこざの件は、厭魔がナオトを陥れるために仕組んだ罠であったと伝えた。そして、大黒天・改を攻撃した第十八号機には、「記憶システム」として存在している天照カンナが乗っている事に気づく。これは、厭魔が自身の野望の為にカンナを利用しているに過ぎないと、ハクシらは推測した。それを止める手立てには、アミーダ初ノ型ブッダリアが必要だという。しかし、ブッダリアは大破し、旧大黒天とともに海へ沈んだため、もう存在しないのだ。そこへ、ナオトの祖父である釈迦如来が突如現れる。釈迦如来は、孫を案ずるあまり、やってきたのだ。そして、ナオトとブッダリアの記憶を彼から削除し、よってブッダリアは復活を遂げた。サヤは、ナオトにパイロットスーツを渡した。そして、「カンナを説得して。」と言い、ナオトをブッダリアに乗せるのだった。ナオトは、ブッダリアに乗り、曼荼羅へと向かう。


煌びやかな光が輝く曼荼羅。その中を飛行し、ブッダリアは第十八号機を追跡する。そして、第十八号機を発見し、そのまま対峙。ナオトは、「カンナちゃん?カンナちゃんなんだろ?」と呼びかける。すると、第十八号機からは、「そうよ。ナオトくん。」とカンナが返事をした。ナオトは、「騙されてるんだ、君は!早く引き返して、僕らの元へ帰ってきて!」と説得する。しかし、カンナの心は黒く染まり、ナオトの言葉を聞き入れることは無かった。そして、第十八号機とブッダリアは、「記憶の(きおくのしろ)」と呼ばれる異空間に向かって、そのまま飛んでいくのだった。


記憶の城の中。ナオトとカンナの一騎打ちが始まる。「待っていたわ。ナオトくん。仏界の運命をかけた、真の戦いを。」とカンナ。ナオトのブッダリアはシャムの宝塔を、カンナの第十八号機はシャナの宝塔を手に、闘いを開始した。まずは、特撮のセットが設けられた神仏郷。ブッダリアと第十八号機がそれぞれの宝塔を手に、激しくぶつかり合った。この戦いでは、カンナの第十八号機がかなり有利だった。第十八号機は、ブッダリアをセットの裏側へと吹き飛ばしたのだ。続いて、ブッダリアと第十八号機は、ナオトの実家の中で闘いを繰り広げた。和室の中。机に並べられた料理を吹き飛ばしながらぶつかり合うブッダリアと第十八号機。しかし、第十八号機はブッダリアをお構い無しに突き飛ばし、ブッダリアは襖をぶち破り、セットの裏側へと飛ばされる。それでもなお、諦めないナオト。続いて、彼の職場であった法堂、カノンの部屋など、数々の場所で戦う二機。ブッダリアと第十八号機はかなり同じ動きをしている。続いて墓場、ブッダリアは第十八号機に圧倒され続ける。そして、第二神都で。ブッダリアは第十八号機に首を絞められながらも、ナオトはカンナの説得に移った。


光の空間の中。ナオトはカンナを説得する。厭魔に騙されているのだと。カンナは、ナオトを否定しようとするも、ナオトは命懸けでカンナを説得した。「カンナちゃん!君は騙されている!君が仏界をぶち壊す存在にはなってほしくない!」とひたすら叫ぶ。カンナは、ナオトの言葉をなかなか聞き入れないが、ナオトは、魂隊から教わった霊力を使い、カンナの中にある不要なものを取り除くのだった。ナオトの命をかけた説得の末、カンナは正気を取り戻した。すると、カンナは「私の事ビンタしていいよ…」と泣きながら謝る。それではカンナに悪いというが、カンナの力をかけた言葉に流され、ナオトはカンナの頬を平手打ちした。カンナは大粒の涙を流し、ナオトに謝った。そして、カンナは第三の乱後、曼荼羅に生存していた厭魔に命令され、自身の障害となるシャナの宝塔とシャムの宝塔を渡すように言われた。もし、カンナが負ければ、二本の宝塔を排除し、仏界の崩壊を導いていたという。そんなカンナの言葉を聞いたナオトは、「厭魔…こんな卑怯な手を。許せない。」と言い、厭魔との対決にカンナも協力するように言う。


その頃、アズサは、「あいつ。大丈夫なんだろうな?説得出来たんだろうな?」とナオトを心配していた。しかし、その間に司隊のアミーダ四機に取り囲まれる。これは、アミーダアヴァターラA、アヴァターラB、アヴァターラC、アヴァターラDからなる機体だった。そう。この機体は、サヤの命をかけた説得により、厭魔の野望を止めるべく、曼荼羅宇宙への往来を可能にさせた司隊が十七号機に対し、送り込んだ「自己犠牲機体」なのだ。十七号機はお構い無しに、アヴァターラA、アヴァターラB、アヴァターラC、アヴァターラDを次々と捕食していき、曼荼羅宇宙への往来を可能とした。


その頃誠隊本部へ戻ったサヤらは、曼荼羅宇宙でナオトと厭魔が戦っていることを悟り、彼に声援を送っていた。そう。今のナオトに必要なものは、「涅槃の宝塔」であると。この涅槃の宝塔は、「仏界」から不要なものを消し去り、「妖怪の力」を消滅させ、「アミーダの呪い」を解き、現在の「神の闘い」に終止符を打つものだと言われている。サヤらは、その宝塔をナオトに届けるべく、隊員全員で製造に取り掛かった。


曼荼羅宇宙。ブッダリアと第十八号機は厭魔を呼びかけた。「厭魔!出てこい!」とナオトは叫んだ。すると、遠いどこからか、厭魔の「よく来た。これで私の計画の準備が揃う。」と言う。「貴様、どういうつもりだ!貴様のせいで、僕は仲間と仲違いすることになったんだぞ!」というナオトの発言に対し、厭魔は「言うまでもない。貴様を排除する。私の真の目的のためにな。」と厭魔。そう。厭魔は自らと第十八号機の力を利用し、仏界を紛れもなく消失させる「第四の乱」を引き起こそうと企てていたのだ。カンナは、厭魔のその計画を反対していた。厭魔の言いなりにはなりたくないと。更に、厭魔は赤神をはじめとする五大魔王、阿魔汰をはじめとする八大悪鬼、零と暗萌からなる闇の使者、そしてかつての側近の魔子や、弟の轟魔、息子の陣魔からなる全ての配下を、秘密裏に復活させていたというのだ。厭魔は、彼らと融合し超究極の妖怪に変化を遂げた。そして、仏界をかけた最後の戦いが幕を開けた。


配下を融合させ、強大な力を手にした厭魔。ブッダリアと第十八号機は、手にしている宝塔で、闘いを繰り広げた。厭魔は、配下と融合しているが故に、特殊な宝塔を手にしている二機でも太刀打ちはできない。厭魔は、光線や稲妻、配下の霊力を利用し、二機を一方的に攻撃する。厭魔の一方的な攻撃に、二機は苦戦を強いられた。厭魔の攻撃を交わしつつ、着実に厭魔に攻め込んでいくブッダリアと第十八号機。次の瞬間、二機は連携技を使い、厭魔の身体を貫いた!…と思われていたのだが、厭魔は貫かれた身体を再生させた。驚異的な再生能力であった。「宝塔を手にしながらもその程度の力とはな。」と厭魔。そして、厭魔は身体を再生させると、身体中に無数に開かれた口からレーザー光線を無尽蔵に放ってくる。それを交わすブッダリアと第十八号機。しかしながら、厭魔は一方的に攻撃を放ち続ける。続いて、ブッダリアと第十八号機は、巨大な光の歯車を作り出す合体技で厭魔を真っ二つに切り裂くのであった。しかし、厭魔は案の定復活を遂げてしまう。厭魔は、斬られた身体を瞬時に再生させ、再びブッダリアと第十八号機に攻めかかるのだった。闘いを繰り広げるうちに、ブッダリアと第十八号機のエネルギーは尽きていく。それでもなお、二機は厭魔の真の野望である第四の乱を食い止めるべく、厭魔に懸命に立ち向かうのであった。曼荼羅で激しい戦闘音が響き渡り、戦闘により現れ出る閃光が激しく点滅する。エネルギーを絶え絶えにしながらも、厭魔に必死に立ち向かう二機。すると、厭魔は配下の力を自身に集め、強大なエネルギー光線を放ってきた。ブッダリアと第十八号機も、自らに備わった宝塔を使い、希望の光を放つ。アミーダ側の「希望の光」と、厭魔側の「絶望の光」が激しくぶつかり合う。激しい攻撃戦の末、アミーダの希望の光が、厭魔を貫いた。厭魔はバラバラになり、曼荼羅宇宙に肉片が飛び散った。しかし、突如として厭魔は暴走を始めた。黒いドロドロした液体が、曼荼羅宇宙全体に飛び散った。この液体は、神々を危機においやるほど危険な液体だ。二機は連携し、宝塔を用いてその液体を次々と爆発させていく。しかし、量は凄まじい。二機だけの力では、なかなか対処できない。厭魔は、「自分などもうどうなってもいい、仏界を破壊できれば」という憎しみの執着が爆発し、かなりの暴走状態へと陥っているのだ。二機は、次第にエネルギーが消耗していき、ナオトとカンナも、目が暗くなっていく。ひたすら暴走を続ける厭魔。すると、ある女性の声が。


「もう。やめて。」


暴走する厭魔を後ろから抱きしめる女性。そう。彼女は、厭魔のかつての恋人。地獄で出来た恋人だったのだ。彼女は、「私のために、仏界を壊さなくていいわ。これ以上、もう何もいらないの。」と厭魔に伝えた。すると、次の瞬間、厭魔は暴走をやめ、液体を鎮めた。突如として厭魔は、自身の仏界侵攻に至った過去を、ナオトに語るのだった。


「仏ナオト。よく聞くんだ。私の話を。」



第十六節 反乱の真実〜仏界の怪との決別


厭魔は語り出した。自身の過去を。厭魔はかつて、妖怪になり、羅刹団を結成し、仏界侵攻を目論む前は、地獄の獄卒として罪人を懲らしめていた。厭魔のかつての名は、「煌治(こうじ)」であり、純白の肌をしていた。彼は、美貌の新人獄卒として、閻魔大王から信頼され、更には女性獄卒からの人気も高かった。彼の所属していた部署は「等活地獄」。殺しをしたものが落ち、作業が楽な部署だった。しかし、厭魔の周りの獄卒は、皆筋骨隆々としており、顔も厳ついものばかりだった。そんな同僚の獄卒から、厭魔は度重なる虐めを受けていた。主に、罪人用の釜に入れられたり、包丁や刀などで切り傷を入れられたり、火の中に入れられたりなど、常軌を逸したいじめであった。


「はははっ。お前面がいいからって調子に乗るなよ。」

「言っとくが、お前みたいなヒョロヒョロは、地獄には相応しくない。」


同僚の獄卒は、厭魔を日常的に虐めていた。厭魔は地獄で同僚の獄卒からのいじめに怯える孤独な日常を送っていた。そして、厭魔は上司の閻魔大王に、いじめの相談をした。閻魔大王は、厭魔にとって尊敬出来る存在であった。彼は、同僚の獄卒の件を閻魔大王に報告した。以後、厭魔は衆合地獄へ配属されることとなった。彼は、衆合地獄の獄卒となった。そんな中、衆合地獄の獄卒を務める美しい美女獄卒に、厭魔は恋をするのだった。そして、厭魔はそんな美女獄卒とともに、昼を共にしたり、プライベートを共にすることが多くなった。しかし、そんな彼の様子を、いじめを行う同僚獄卒は目をつけた。彼女と厭魔の話を妨害したり、一緒にいたことで、厭魔を傷付けたりした。厭魔は、失意の底へと暮れていた。


ある日、厭魔は上司である閻魔大王の娘であるヤミと出会う。そして、厭魔はヤミとともに、職場でのいじめを乗り越えていこうと決意した。ヤミは、尊敬できる上司である閻魔大王同様に、優しく社員思いの性格を持っていた。次第に、厭魔とヤミは距離が縮まっていき、やがて恋へ落ちていくのだった。ヤミと恋をする厭魔。辛い感情は忘れていき、ヤミの優しさに触れていき、彼は安心するのだった。これが、厭魔とヤミの、過酷な地獄での恋であった。


ヤミと出会ってから数日が経って。同僚の獄卒がヤミを傷付けた。何よりも自身を思ってくれたヤミを。こうして、厭魔はヤミを傷付けたことで、怒りに燃えた。「あいつら…。僕を怒らせた罰を与えてくれる!」と怒れる厭魔。厭魔は、ヤミを傷つけられた怒りのあまり、遠い岩山へと登った。岩山の中、厭魔は「禁断の力」を手に入れるのだった。その禁断の力を手にしたことによって、厭魔は自らを強大な霊力を持つ妖怪へと変化させた。これが、仏界を仇なす妖怪の誕生物語だ。妖怪となった厭魔は、ヤミを守るため、自らの霊力を使い地獄を跡形もなく消滅させた。その後も、厭魔は暴走を続け、霊界にある様々なものを破壊し続けた。こうして、彼は釈迦如来や阿弥陀如来をはじめとする仏界の神々から目をつけられた。厭魔は、神々から追われた。そして、神々の攻撃から厭魔を守る者がいた。それは、恋人のヤミであった。神々の攻撃を直に受け、厭魔の目の前でヤミは息を引き取った。絶望に暮れる厭魔。こうして、ヤミを殺された厭魔は、神々に復讐するため、配下の妖怪たちを生み出し、羅刹団を結成。それが、仏界侵攻の真実だったというのだ。


ナオトは、そんな厭魔の話を真摯に受け止めた。そこで、ナオトは厭魔との対話に移った。


「お前は僕と同じなんだ。超常的な力を持ちながらも、辛い感情を抱いている。辛いのは、僕ら神々も人間も皆同じことだ。」


厭魔は、ナオトの優しさに気づく。そこで、厭魔はナオトとともに、懺悔の旅へ出るのであった。旅のさなか、ナオトは厭魔に対し、自身の優しさや、他人を思いやる心などをきめ細かに教えた。ナオトとの旅を通し、厭魔は次第に心が変わっていき、黒い感情から、白い感情へと変わっていくのだった。そう。誰でも、黒から白へ変えることは、一番重要なことであるのだ。ナオトと厭魔は、神々に大切なことや、心についての対話しながら寺院や大仏、華やかな京を散策するのだった。厭魔は次第に、ナオトの優しさというものに触れて行く。


ナオトとの懺悔の旅を終え、厭魔は言う。


「私が間違っていたのだ。ただ、もう一度だけヤミに会わせてほしい。手下たちにも、懺悔の道を歩ませるのだ。」


ナオトは、厭魔の言葉を聞き入れた。「お前も、頑張れよ。ちゃんと大切な人を守れよ。しっかり改心して、お前はお前の埋め合わせをするんだ。」と。ナオトは、厭魔にしっかりした、清らかな神になってほしいと言う。そして、厭魔は涙を流し、「仏ナオト。今まで本当に申し訳なかった。部下たちも許してやってくれ。」と謝罪した。これからはお互い、どんな辛いことがあろうとも、決して心を歪めずに、頑張っていこうと努力した。


厭魔との対話が終わり、ナオトは続いてブッダリアの中に眠っていたカノンと対話する。カノンは、ナオトに対し「仏くん。厭魔を説得できたのね。」と言う。そして、カノンはナオトにテレポートを通じて届けられた涅槃の宝塔を渡し、仏界の脅威に終止符を打ち、「神々の闘い」ではなく、「神々の折り合い」に転換することを望み、「神々が安心して住める、アミーダの存在しない霊界」を創り上げることを提言。カンナもそれに賛同し、「ニルヴァーナ・スピア」を発動するナオトたち。


ナオトはブッダリアから解放された。そして、カノンはブッダリアと第十八号機を抱き、彼らと融合することで、アミーダのパーツを有した白い巨人へと変身する。その中で、迷いの間を彷徨っていたタケル、ノエ、トキオ、ツバキ、ミコ、ヒカル、ユキノ、リム、サナメ、カンナたちをはじめとするアミーダのパイロット達が、それぞれ羅刹団の厭魔の配下、魔子、轟魔、陣魔、五大魔王、八大悪鬼、闇の使者に優しく諭し、その優しさを理解した羅刹団の配下たちは、桜の花びらとなって消滅。羅刹団の配下たちは、「悪の妖怪」から、「救いの神」へと変わっていくのだった。そして、厭魔もカノンに抱きしめられ、彼女の優しさを噛み締めながら、そのまま消滅した。よって、羅刹団の脅威は、紛れもなく消え去るのであった。仏界に美しい光が降り注いでくる。そんな中。ナオトは、カノンやタケル、ノエをはじめとするアミーダのパイロットたちに囲まれていた。アミーダのパイロット達は、皆で手を叩きながら、ナオトに1人ずつ「ありがとう」と言うと、一人ずつ消えていった。ナオトは、たった一人になり、「皆…。皆…。」と泣きじゃくった。その一方で、宇宙空間では、カンゼノン、ダーキニー、アミターバ、ジャンペル、サマンタ、マイトレーヤ、マハスター、ヴァーユ、アクショービヤ、プラバ、アカシャガルバ、十三号機、アヴァターラ14、十五号機、アヴァターラ16、アヴァターラXタイプAからタイプGのアミーダシリーズが自らに涅槃の宝塔を突き刺した。そして、彼らは桜の花びらとなって爆散していき、カノンへと取り込まれていくのだった。更に、カノンはアミーダと分離すると、自らの体内にブッダリアと第十八号機を吸収した。こうして「アミーダの仏界」は「虚構」と化していき、アミーダシリーズは、次々と神々へ戻って行った。ナオトは、幻想的な花畑の中にいた。そこで、アズサの助けを待ち侘びていた。すると、アズサは「待たせたな!」と言い、十七号機とともにナオトの元へ現れた。そして、彼女の乗っていた十七号機は、アヴァターラA、アヴァターラB、アヴァターラC、アヴァターラDに変わると、「最後のアミーダ」として消滅するのだった。


こうして、ナオトによる「仏界の改革」、「ニルヴァーナ・スピア」は完遂され、神々は「妖怪の脅威」から救われ、「アミーダの呪い」から解放された。神々には永久の幸せが与えられた。アミーダの呪いから解放されたナオトとアズサは最終的に結ばれ、そのまま自由の身となるのだった。


最終節 神々の歩む未来


ナオトが発動した「ニルヴァーナ・スピア」から、数億光年が経った神仏郷。神仏郷には、高層ビルやハイウェイなどが立ち並び、近代都市へと変わっていた。ここからは、アミーダのパイロット達の末裔の物語となる。


まずは、ノエの末裔・南無リエの物語だ。リエは、先祖のノエ譲りの美貌、そしてスタイルの良さが故に、モデルとなっていた。ファッションショーなどで、神々からかなりの注目を得ていた。彼女のプロデューサーは、トキオの末裔である、文殊マサオだ。彼は、やや口うるさながらも、リエを信頼し、サポートしているという。ややちぐはぐな関係は、アミーダのパイロットであった、彼らと似ているものだった。


続いて、ミコの末裔、弥勒ミミの物語。彼女は、優れた会話術に加え、男の神を魅了する能力に加え、ダイナマイトボディを持ち、それを活かしてバニーの仕事をしていた。バニーであるミミは、神仏からかなりの人気を集めていた。ミミの人気投票は、この店の中でもトップクラスを放っているという。ミミの常連客は、ヒカルの末裔である勢至ヒカリであった。ミミとヒカリは、常連客、キャスト同士で次第に惹かれあっていくのであった。


更に、ウサの末裔である、風神リサは、神仏郷を代表する陸上選手であった。リサは長距離走を風のような速さで駆け抜け、更には平泳ぎ、ハードルなどといった数々のスポーツをこなしていき、仏界一最速の陸上選手として、オリンピックなどに出場し、数々の賞を受賞するほどの鬼才だった。そんな彼女の恋人は、普賢ツバキの末裔にして、占い師である普賢ヨモギ。リサとヨモギは、ちぐはぐな関係であった先祖とは違い、立派に恋をしているものだった。


そして、五智ユキノ、月光リム、虚空蔵サナメの三人の末裔である、ユキホ、ラム、サナミは、平穏な会社員として、三人で仲良くつるんでいた。彼らは、会社員ながらも好成績を出しながら、 かなり信頼を得ていた。


そして、カノンの末裔、月泉カノの話。カノは、子供の相談をしたり、カウンセリングをしたりする仕事についていた。カノは、優しさと可愛さ故に、神の子供たちから、かなり評判が良かった。順調なカノであったが、毎日相談に来る少年の神に惚れている面もあり、やや距離が近い面も見られた。更には、その少年の前で、ズボンを脱ぎ、「女の子のパンツとか、見たことないでしょ?」という始末。そして、黒いパンツに包まれた尻を少年の顔に近づけ、カノの尻から香ってくる匂いに、少年は興奮してしまう。そう。カノは、カノンの優しさを受け継ぎすぎたあまり、ついつい人間くさい事をしてしまうものであった。カノは結局、懲戒処分を受けてしまったのである。


最後に、仏ナオトの末裔、仏ナオミ。彼は、大仏や寺院が大好きな観光少年であった。彼は、平凡なパートとして、日常を謳歌していた。パートの給料で買った一眼レフを愛用し、大仏や寺院を写真に収めた。ナオミは、かつてアミーダが存在していた神仏郷でエネルギーの補給施設として建てられていた大仏へ行った。その大仏は、建て替えられかなり高くなっている他、内部施設などが近代化しているのだ。そんな大仏に興味を持ったナオミは、単独で大仏の拝観に行く。そして、胎内巡りをも楽しむが、ナオミは女性職員にデレデレになってしまった。その女性職員は、スタイルが良く、美人で更にはニーハイソックスを着用していた。鼻の下を伸ばすナオミであったが、ついに警察を呼ばれてしまった。警察からは、「そんな事して。人間くさすぎるよ!」と注意された。そして、ナオミのマンションに警察から電話がかかってくる。そう。ナオミが警察に連行された事だ。ナオミの母親は、電話をとり、「すみません!うちの息子が今行きます!」と警察署へ向かった。


慌てて警察署へ向かおうとする母親。その一瞬、先祖であるナオトと、彼の乗っていたアミーダ初の型ブッダリアの写真を眺める。そして、「ご先祖さま。私たちはいつも平和です。」と母親はナオトに言い、そのまま警察署へ向かった。



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