第四章 神々の乱
第十節 対司隊組織・誠隊
舞台は、第二の乱から十五年が経った仏界。中華風の煌びやかな宮殿が存在した。その宮殿内には、かつての司隊隊員であったサヤや、ハクシ、司隊職員らが何やら会議をしている模様だ。
「アミーダ初ノ型ブッダリア及びパイロットは危険な存在。今すぐにでも排除しなければならないわ。」
「ああ。司隊が生きていれば、我々神々はは滅亡の危機となる。」
どうやら、サヤ達は、司隊を排除しようとしている組織を設立していたそうだ。司隊排除に向け、会議をしているところだった。
バーン!
宮殿の外で銃声が鳴り響く。どうやら敵兵が攻めてきたそうだ。サヤの部下が「司隊だーーー!敵襲だーーー!」と叫ぶ。そして、サヤは「戦闘員は外へ!敵兵を排除せよ!」と命令。そして、宮殿の外で、司隊とサヤ達の白兵戦が始まった。ひたすら、兵士たちが宮殿の広い庭でぶつかり合う。宮殿周辺に兵士たちの怒号や、銃声などが鳴り響き、かなりの戦闘が勃発している模様だ。
サヤらを強襲作戦している司隊兵士の一人が「よし、作戦展開だ!出でよ!我が兵器!」と叫ぶ。すると、次の瞬間、円盤状の身体に、触手のついた異形のアミーダアヴァターラX・タイプAが悲鳴のような音を発しながら、亜音速で飛行してくる。アヴァターラXタイプAは、レーザー光線などを使い、庭をはじめ、宮殿を激しく攻撃した。サヤの部下の兵士は、「くっ!司隊め!卑怯な手を!」と叫ぶ。そして、サヤは「アミーダ十五号機!発射準備へ!」と叫ぶ。そして、タケルを秘密裏に建立されたアミーダ十五号機に搭乗し、アヴァターラXタイプAの迎撃に向かった。XタイプAは、様々な攻撃法を使い、タケルの十五号機を苦しめる。しかし、十五号機は手にしている特殊なライフル等を使い、XタイプAを次々と殲滅。そして一掃していくのだった。
一安心するタケル。しかし、背後には同じ形状のアミーダアヴァターラXタイプBが群れをなして襲撃していた。XタイプBは、彼らの本部の宮殿に向け、光の雨を降らせた。凄まじい揺れに見舞われる宮殿。サヤらを守るべく、タケルは十五号機を駆り、アヴァターラXタイプBの群れを撃滅するのだった。妨害物は片付き、サヤらとともに司隊殲滅作戦へと動き出すのだった。
例の事件から十五年眠りについていたナオトは、ブッダリアから解放され、サヤらのいる宮殿に眠らされていた。ふと目を覚ますナオト。ナオトは、司隊の職員たちと再会を喜ぼうとしていた。しかし、それは忌々しいものだった。ナオトは、例の事件から司隊の職員から白眼視されていたのだ。サヤも、ナオトに対し「あなたは仏界を壊したわ。責任をとりなさい」と吐き捨て、これまでの声援を打ち消すように、手のひら返しをしたのだ。絶望に暮れるナオト。ナオトは、羅刹団に立ち向かった。因縁の敵である厭魔を倒すはずだった。しかし、仏界は崩壊してしまった。よって、現在のように、ナオトは第二の乱を起こした危険人物として、神々から嫌煙されるようになったのだ。更に、ナオトは首に「獄輪」というものを装着させられる。それは、アミーダが覚醒した際、パイロットを地獄へ送るシステムとなった特殊なもので、サヤは「今後二度とアミーダには乗るな」とナオトに警告した。
「実際悪いのは厭魔だ!」とナオトは反論するが、サヤらは聞く耳を持たなかった。サヤは、「この組織は誠隊、司隊を殲滅する組織」であることをナオトに告白。そして、第二の乱後、司隊を支持し、誠隊の障害となるアミーダの建立を続けた漣ゴウの処刑をも考えているという。そして、サヤらは司隊製アミーダ殲滅作戦を実施する前に、ナオトを地下牢へ閉じ込めるのだった。
地下牢へ拘束されたナオト。手錠をかけられ、自由を奪われている。「ただ、仏界を救いたかっただけなのに」と悔し涙を流す。すると、その横からは、同じ囚人であるゴウが「辛いのは私も同じだ」とナオトに言う。ナオトとゴウは、囚人として、地下牢で話し合う。ゴウは「私の犯した罪は重いんだ。君よりも。この誠隊から私は離反し、神々の味方につこうとしたが、サヤらはそれを聞き入れず、神への反逆者として、ただ死にゆくのを待つだけだ。」とナオトに言う。そんなゴウに同情するナオト。すると、ゴウは言う。
「私がいなくても君に出来ることは、これから来たる新たなるパイロットと共に神々が残した究極のアミーダに乗り、仏界を修復することだ。」
ゴウはナオトに最後のヒントを与えた。そして、ゴウは誠隊の隊員らに、処刑場へと連行された。そして、神々が集まる処刑場。ゴウは、十字架にされ、誠隊の隊員らからはかなりの怒号を浴びせられる。
「これから、誠隊に反逆した漣ゴウの処刑を執行する!」
ゴウの処刑が始まるその瞬間だった。誠隊の隊員は、処刑が執行される前、ゴウに「何か言い残すことはありますか?」と伝えたその時、処刑場に、司隊の兵士たちが押し寄せてきた。怒号を飛び交わせながら、兵士たちは殴り合い、斬り合い、銃の撃ち合いを始めた。
「漣ゴウ処刑場にて、司隊が乱入し暴動が発生!」
大パニックになる処刑場。ひたすら司隊兵士と誠隊兵士らが乱闘を繰り広げた。すると、司隊兵士がスイッチを押す。司隊のアミーダが乱入し、処刑場は更なる混乱に陥った。現れたのは、アミーダアヴァターラXタイプCの軍団。ゴウを死守すべく、誠隊の兵士たちに、次々と攻撃を加え、撃滅していった。激しい乱闘の中、警告を受けたタケルの十五号機が処刑場へ駆けつける。まずは司隊兵士たちを武器でなぶり殺し、そして、アミーダアヴァターラXタイプCの軍団を自身に引き付けた。
「くっ。邪魔者の処刑をここまでして阻止したいとは。漣のヤツも考えたもんだぜ。」とタケル。XタイプCは、レーザー光線などを使い、十五号機を強襲しながら、処刑場を破壊していく。そして、十五号機は、ライフルを装備し、迫り来るアヴァターラXタイプCの軍団を次々と葬った。邪魔者が消え、一安心するタケル。処刑器具が消えたことを受け、タケルは自身の十五号機を用いて、サヤの命令通りに、ゴウの処刑を執行した。ゴウは無表情のまま、首を切り裂かれるのであった。ゴウの生首を十五号機は自身の手のひらに乗せ、そのまま立ち去った。
ゴウの処刑は執行された。それをサヤに報告するタケル。仏界の各地に司隊のアミーダが存在していることを受け、母艦「大黒天」の発射準備を急ぐ。大黒天に、拘束したナオトを乗せる。拘束室へ、タケルが歩いてくる。ナオトは、「タケル!無事だったね!」と安堵の笑みを浮かべるが、タケルの性格はほとんど変わっていた。ナオトに対する思いやりを持っていた、あの面影はもうない。ただただ、ナオトに対し、敵意をむき出しにしていただけだった。「お前、霊界を救うつもりで俺を傷つけやがって。それに霊界を壊したのはお前なんだぞ。責任をとれ。もう二度とアミーダには乗るなよ。これは忠告だ。」と伝える。そこへ同行したサヤとハクシも、ナオトに対し、かなりの敵意を剥き出しにした。ナオトは、カノンがまだいることに対して問うが、カノンはブッダリアからは発見されなった。更に、ブッダリアについてを聞くが、この大黒天の中核として、保管している。しかし、適合率がないために、稼働することはもうない。いずれブッダリアは処分するとハクシは伝えた。
「そんな、意味わからないよ!どうして僕が犯罪者扱いされるんだ!」
これまで戦いを共にしてきた仲間から裏切られ、失意のどん底へと陥ったナオト。そんなナオトの事を気にも留めず、タケルやサヤは、大黒天の発射準備を急いだ。大黒天発射完了のその瞬間だった。大黒天のエンジンを塞ぐように、またしても司隊のアミーダが乱入していたという。更に、機内や格納庫にも司隊の兵士たちが乱入し、大黒天艦体や、乗組員に対し、銃などで攻撃していた。大黒天発射前に大乱闘が勃発し、周囲は大混乱。サヤらは、戦闘兵を配備し、大黒天を死守した。次々と兵士を瞬殺していく誠隊兵士。そして、サヤは艦長として、大黒天の発進を強行。轟音とともに飛び立っていく大黒天。そんな中エンジンに張り付いていたのは、アミーダアヴァターラXタイプD四機。タイプA、B、Cよりもかなり巨大だ。XタイプDは、エンジンを攻撃し、機体システムを麻痺させたり、乗っ取ったりし、大黒天の進路を妨害する。そして、タケルの十五号機、アズサの十七号機を臨時に出撃させるサヤ。そして、二機は自身にXタイプDを寄せ付け、空中戦を繰り広げる。空中戦の末、XタイプDは全て撃滅された。
アヴァターラXタイプDの襲撃により、大黒天のメインシステムが奪われたその中。ナオトは、一刻も早く、ここを出たいと願っていた。そのナオトの心情を読んだのか、大黒天の中核に眠っていたブッダリアが、無人のまま突如として起動。ブッダリアは、幽閉している扉をグーパンチで破壊する。すると、凄まじい爆発が起こり、周に炎が広がった。「ブッダリアが起動したぞ!」と叫ぶ誠隊隊員。サヤは「今すぐ殲滅を!ナオトとの接触を食い止めるのよ!」と呼びかける。無人のまま、ブッダリアは大黒天の中で暴れ回った。ブッダリアはパンチやキックなどで、中核を破壊し、周囲を火の海にする。誠隊の兵士たちが銃で攻撃するも、ブッダリアはそれを寄せ付けず、ただただ火の中を進んでいく。そして、兵士たちを次々と握殺した。更に、数々の主砲で、ブッダリアを攻撃するも、通用せず、主砲を破壊されるだけであった。ブッダリアの暴走により、大黒天はシステムを失う。次第に落下していく大黒天。サヤらは、なんとしてもナオトとブッダリアの接触を絶ちたい狙いだ。誠隊職員らがブッダリアの暴走を食い止めようとするも、ブッダリアは攻撃を寄せ付けず、大黒天をひたすら破壊していくだけだった。
一方で、監禁部屋に隔離されているナオト。「僕は、何もできない。ただ、地獄へ行くのをまつだけなんだ」と呟く。すると、地響きが響き渡ってくる。そして、地面からブッダリアがにょきっと姿を現した。ブッダリアは、そのままナオトに手を差し伸べた。サヤらは「なぜ!?居場所が!?」と驚く。そう。ブッダリアはナオトの心情を理解すると、亜音速で彼の元へ駆けつける機能があるのだ。ブッダリアはナオトを抱えたまま、艦体を破壊し、大黒天からの脱出を試みた。
大黒天の屋上へ出たブッダリア。ナオトを匿おうとしたその次の瞬間、主砲を一斉に向けられ、砲弾を放たれる。ブッダリアはそのまま倒れ、衝撃波を受けたナオトは、その場で気を失う。しかし、ブッダリアは傷を負ったものの、システム自体は生きていた。ブッダリアは起き上がり、ナオトを匿おうとするも、背後から現れたタケルの十五号機に首を切断される。首を切断されたことで、ブッダリアは動きを失う。十五号機がナオトに手を差し伸べた瞬間、司隊のアミーダに掻っ攫われる。ナオトを匿ったのは、カンゼノンを赤にリペイントしたような見た目をしたアミーダアヴァターラ14であった。アヴァターラ14に乗っていたのは、髪を切り、赤いパイロットスーツを身にまとったカノンだった。カノンはナオトを匿い、その場を逃げようとする。しかし、タケルの十五号機と、アズサの十七号機が後を追ってくる。それから逃れようと、アヴァターラ14はナオトを安全な場所へ連れていく。その一方、大黒天はブッダリアに破壊され、システムを失い、墜落寸前だった。サヤら乗組員は、飛行ポッドを用いて、脱出を試みた。そして、アヴァターラ14は、十五号機と十七号機を撒き、山の奥地へと飛んで行った。一方、ブッダリアは、大破した大黒天とともに、海へと沈んでいった。
第十一節 ナオトとカンナ
カノンの協力により、大黒天から離脱したナオト。ナオトはカノンから岩山の洞穴に匿われた。ナオトは、カノンに礼を言った。ナオトが礼を言った後に、カノンはその場を立ち去っていくのだった。一段落するナオト。すると、心地いい笛の音楽が聞こえてくる。
ピ〜。ピ〜。
その音楽につられ、洞穴を出るナオト。すると、そこでは、黄色い衣服を身にまとった一人の少女が、笛を吹いていた。ナオトは、その姿をじっと見つめていた。すると、少女は振り返る。
「初めまして。仏ナオトくん。あなたを助けに来たわ。」
そう。彼女の名は天照カンナ。第二の乱後に、ナオトを救うために、アヴァターラ16とともに、仏界へ飛来したのだ。ナオトは、カンナに心を開いた。すると、カンナはナオトに笛を渡した。二人で笛を吹くナオトとカンナ。次第に二人は仲良くなっていくのだった。サヤら誠隊のメンバーとは違い、ナオトに対し優しく接するカンナ。ナオトは、カンナの優しさというものに気づいていく。笛を吹きながら、ナオトはカンナに相談をする。
「カンナちゃん。僕はね。今まで仲良くしてくれた人たちに手のひら返しにあってしまったんだ。」
「それは辛かったわね。羅刹団の妖怪に立ち向かったあなたは間違っていないわ。なぜなら、あなたには、あの子と同じ優しさというものがあるから。」
次第に打ち解けていくナオトとカンナ。相談の最中、気晴らしに仏界でのプライベートについてをも語り合う。ナオトは、「僕は現在の事態に至る前、仲間たちとともに仏像や寺院を巡っていたんだ」と言う。すると、カンナも「私も同じよ。ナオトくん。おばあちゃんと一緒に、霊界の各地を旅していたわ。」と共通の趣味を見つけた。ナオトとカンナは、「仏界巡り」という共通の趣味を見つけたことで、かけがえのない友達となった。
「私たち、仲間ね!」
こうして、ナオトとカンナは友情に結ばれた。夜を共にしたり、川遊びをしたり、笛を拭いたり。仲間から裏切られても唯一の友達として向き合ってくれるカンナに、ナオトは次第に惹かれていく。
誠隊とのいざこざの中、頼れる友人としてカンナを頼りにするナオト。ある日、ナオトは、カンナに連れられ、とある場所へと出かけた。その場所は、かつて華やかな都が広がっていたが、現在は廃墟に近くなり、漆黒にそまった神仏郷であった。ナオトは思わず、これは自分が招いた事なんだ。と息を飲んだ。そんな中、カンナは、廃墟と化した神仏郷を眺め、「あなたは、羅刹団の野望を打ち砕こうと頑張った。しかし、神の力を酷使したことで、神々をも巻き込んだ大事態を引き起こしてしまった。全ては厭魔のシナリオだったのよ。」と言いつつ、今回の事態を招いたナオトを責めるような事は一切しなかった。まさか、厭魔を倒しただけで、仏界を崩壊させてしまうということは、一切予測していなかった。とナオトは実感した。
ナオトとカンナが一緒に過ごす中、誠隊本部では、更なる計画を進めていた。それは、誠隊に反逆したナオトを排除するための「仏ナオト抹殺計画」だった。仏界の脅威であるナオトは、必ずしも消し去らなければならない。それが、サヤら誠隊の思惑だ。ハクシは、十五号機と十七号機の整備及び、新たなる母艦大黒天・改の開発に取り掛かっていた。そんな中、タケルとアズサは言う。
「ナオトなんざ、もうアミーダには乗せるべきじゃないな。また仏界を壊されたらたまったもんじゃねえ。」
「そうだな。ましてやこのまま生かしておくと危険な奴だ。俺たちで何とかしようぜ。タケル。」
進められていく仏ナオト抹殺計画。誠隊は、大勢の兵士たちを出兵させ、ナオトを見つけるように指示した。
そんな中、ナオトとカンナはいつものように、二人で触れ合っていた。笑顔で向き合っているナオトとカンナ。しかし、そんな憩いの時間を邪魔するかのように、誠隊の兵士がぞくぞくと二人の周りに現れた。兵士は叫ぶ。
「仏ナオト!命令だ!伊邪那美サヤ様の命令だ!大人しく殺されるか、サヤ様の元へ帰るか選べ!」
兵士は一斉にナオトに対し、槍を向けた。更に、その場に居合わせたカンナに対しても、「小娘!まさかこの坊主を匿うつもりか!」と叫ぶ。「ええ。ただ神を犠牲にしつつも霊界を救った彼は悪くないわ。ましてや救済主。」と言うカンナ。「貴様!二人まとめて排除しろ!」と叫ぶ兵士。そして、兵士たちは槍を向けながらナオトとカンナに攻めかかった。カンナはナオトを霊術で作り出したキューブに入れ、匿い遠くへと飛ばした。そして、一人その場でカンナは軽快なパンチやキックなどで、兵士たちを倒していく。ひたすら、兵士たちを殴り蹴りで倒すカンナ。兵士たちは、カンナの攻撃力に恐れ戦き、その場を走り去っていき、撤退した。息を切らすカンナ。そこで、カンナはある場所へ向かう。
ある場所へと着いたカンナ。そこには、純白の機体が存在した。その純白の機体は、第二の乱後に、神々の手によって造られた究極のアミーダなのだ。カンナは言う。
「このアミーダこそが、仏界を修復する鍵になるわ。それなら、ナオトくんは皆と仲直り出来る。」
一方で誠隊本部。サヤは、新たなるパイロットにより、ナオトが匿われているという情報を聞き入れる。それは、ナオトに味方したカンナのことだった。更に、ナオトとカンナが、再びアミーダに乗り、仏界に危機をもたらそうとしていると認識し、彼らを排除しようと、動き出すのであった。更に、大黒天・改は完成し、短時間で整備等を完了させた。ナオトとカンナはが最新鋭のアミーダに乗り、「黄泉の国」へ向かっていることを突き止めたサヤたち。装備万端の大黒天・改に乗組員を集結させ、先回りし、ナオトたちの野望を阻止しようと動き出した。
その間、ナオトは河原にいた。雲行きが次第に怪しくなっていく。更に、冷たい風が吹いてきて不気味な雰囲気に満ち溢れていた。そこで、橋の欄干で、カノンを発見する。ナオトは、カノンに、改めて助けてくれたことに対する礼を言う。しかし、カノンはかなり暗い顔だ。ナオトは、カノンの様子を伺おうとする。しかし…
「あなたはいずれ、誠隊に殺される。一生この憎しみは終わらない。ただ、あなたは死ぬだけ。神の希望になれないまま…。」
ナオトは、厭魔との闘いで助けた事を聞くが、カノンは「違う。私はおばあちゃんの複製体。あなたの助けた月泉カノンではないわ。」と言う。ナオトは、自身が助けたカノンではない事を知り、幻滅した。このカノンは、ただ祖母である観音菩薩の複製体であったというのだ。ショックを受けたナオトは、その場をズタズタと去っていった。
精神がぐるぐるになりながら歩き回るナオト。ショックのあまり、ナオトはひたすら歩き回る。そんな中、ナオトを非難する声が、四方八方から響いてくる。
「あなたのせいよ。」
「もうアミーダには乗るな。」
「違う。」
ひたすら、ナオトの頭に響いてくる仲間たちの呪いの言葉。ナオトは、「寄って集って僕のことを!うわあああああああっ!」と絶叫した。
第十二節 黄泉の国の闘い
大切な家族、そして尊敬する魂隊を失いながらも、厭魔に立ち向かいカノンを救ったのに、仏界は崩壊し、サヤから手のひら返しにあったナオトは全てに絶望していた。
「もうアミーダなんか乗りたくない!!」
カンナは説得しようとするが、ナオトは聞く耳を持たなかった。もはや、ナオトはショックのあまり何も信用できないというのだ。カンナは、「そうやっていじけていても、仏界を救うことも、かつての仲間と折り合いを付けることもできないわ。」とカンナ。しかし、ナオトは「サヤもアミーダも何もかも信用できない」と言い、意地を張る。ナオトは、獄輪をカンナに見せた。もうアミーダには乗らないように警告されたのだと。しかし、カンナはナオトの獄輪を外した。「私が、あなたの罪を引き受けるわ。」とカンナ。そして、カンナは仏界を修復するには、シャナの宝塔、シャムの宝塔の二本が必要だとナオトに伝える。そうすれば、壊れた仏界は全て修復され、妖怪は紛れもなく消え去り、何もかもが元通りに戻るというのだ。ナオトは、カンナを受け入れ、アミーダへと搭乗するのだった。
ナオトはカンナとともにアミーダのターミナルエリアにたどり着く。そして、二人はパイロットスーツに着替えた。そう。彼らが乗る機体は、全宇宙の創造主をコピーして建立された幻の機体「アミーダ第十八号機」だ。この第十八号機は二人乗りで、阿弥陀ノ座が二つ挿入された。ナオトとカンナはそれぞれ、息を合わせた。
「準備はいい?ナオトくん。」
「ああ。」
「アミーダ第十八号機、起動!」
ターミナルを飛び立ち、黄泉の国へ向かう第十八号機。一方で誠隊は、新型のアミーダが起動したことを受け、大黒天・改とともに第十八号機の追跡を行った。十八号機は、黄泉の国へと飛んでいく。そして、金色に光り輝く川が流れる河原へと着地。そして、十八号機は宝塔を探るも、誠隊のアミーダ二機による妨害を受ける。タケルは「お前、何でアミーダに乗ってるんだ!乗らないって警告しただろ!」と叫ぶ。ナオトは、「もしかしたら、仏界は救えるんだ!」と叫び、タケルの十五号機を払い除ける。しかし、十五号機単機では、なかなか第十八号機を相手にすることは出来ない。「サヤ!お前も手伝え!」と叫び、上空から第十八号機に向けミサイルを次々と投下していく。まさに、黄泉の国では大乱闘が勃発していた。しかし、第十八号機はそれをものともしなかった。そして、第十八号機は浮遊し、宝塔が生えている山を目指した。すると、背後からは十七号機が後を追ってきていた。「俺がいるぜ。逃がさないぞ。」とアズサ。そして、第十八号機の背中に向けに向けてライフルを放つ十七号機。しかし、十八号機はそれを吸収した。次の瞬間、腰から巨大な獣のような胴体が生え、さながらケンタウロスのような姿へと変化した。それに驚愕とするアズサ。更に次の瞬間、腕が増え、阿修羅像の如く六本腕の異形の姿に変わった。神々しい白馬のような姿に変わった第十八号機は、そのまま二本の宝塔が生えている山を目指す。すると、そこにはアヴァターラ16が石化した状態で上半身のみ海老反りになっていた。アヴァターラ16は、空白の十五年の間、自律型に改造されたのちに神々と闘い続け、しまいには石化し、現在に至ったというカンナ。そんな中、カンナは異変に気づく。もしかしたら、妖怪が生きている。厭魔が罠を仕掛けているのかもしれないと。ナオトは、「厭魔なら倒した!あれで仏界からは消えたはずだ!」と言うが、カンナは「いえ。完全に消えてはいないわ。もしかしたら、私たちを利用して、再び惨劇を引き起こして仏界征服を続けるつもりだわ。」と言う。しかし、ナオトはカンナの制止を振り切り、宝塔を二本とも引き抜いた。
第十八号機が宝塔を引き抜いた次の瞬間だった。突如として、アミーダアヴァターラ16が起動し始めた。アヴァターラ16の中で何かが蠢いている。そう。これは厭魔が秘密裏に忍び込ませた「幻の妖怪」だったのだ。この妖怪は、厭魔の複製体であり、仏界を崩壊させる力を持つ妖怪だったのだ。次の瞬間、カノンのアヴァターラ14が、暴走するアヴァターラ16の首を思いっきり吹き飛ばした。すると、アヴァターラ16の首からどろどろした黄色い物体が噴き出してくる。ナオトとカンナは厭魔の罠にかかってしまった。このままでは、仏界の存亡になってしまう。しかし、第十八号機は、アヴァターラ16から現れた幻の妖怪を、そのまま捕食した…。
厭魔の複製である幻の妖怪を捕食した第十八号機。すると、第十八号機の体色は紫色に変化した。そう。第十八号機は覚醒状態に陥ってしまった。仏界は再び火の海に、アミーダシリーズが次々と飛び交う。ナオトは「何だ…この惨状は。」と驚く。そして、カンナは「これは「第三の乱」。」と言う。ナオトたちは、厭魔の罠により、第三の乱を起こし、仏界の崩壊を起こしてしまった。十五号機と十七号機が攻撃するも、第十八号機を攻撃するも、なかなか攻撃を寄せ付けない。仏界はただただ崩壊の一途を辿っていくだけであった。ナオトは、厭魔の罠だと知りながらも、自身の犯した重大な罪に、固唾を飲むのだった。しかし、それを諭すカンナ。なんと、カンナに装着された獄輪が反応し、このままではカンナが地獄へ送られてしまうと、ナオトは焦るのだった。そんな中、攻撃の手を緩めない誠隊。誠隊は、大黒天・改や、十五号機、十七号機をもって、第十八号機を殲滅しようとする。しかし、辛うじてアヴァターラ14が囮になり、彼らを引き付けた。
厭魔の罠により、崩壊してしまった仏界。ナオトは、せっかく宝塔を手にしたのにと、罪悪感から声を出せなくなっていた。しかし、カンナは「あなたが心配する事はないわ。」とナオトに優しく伝えた。更に「あなたの望んだ仏界の希望ではなかった」と悲しげに言う。カンナは、獄輪の力で自らが地獄へ送られ、第十八号機の覚醒を鎮め、第三の乱を食い止める道を選んだ。そして、第十八号機は雄叫びを上げ、宝塔を二本胸に突き刺す。そして、コクピット内。カンナの手のひらが激しく燃え上がる。ナオトは咄嗟にカンナにしがみつく。すると、カンナは「また会いましょう。ナオトくん。」と言い、火だるまになっていく。あまりの灼熱に叫ぶナオト。しかし、その中にカンナの姿は無かった。ナオトの目の前でカンナは消え去った。仏界が崩壊し、唯一心を開いてくれたカンナを失ったことで、ナオトは激しくショックを受けた。
そして、第十八号機はコントロールを失い、黄泉の国の真下へと落下していく。そして、十七号機が飛びかかり、アズサが「何泣いてんだ馬鹿野郎!泣き虫なんざ嫌いなんだよ!」と叫び、第十八号機から阿弥陀ノ座を引き抜いた。そして、岩山へと墜落する第十八号機。
そして、ナオトは救出された。罪悪感の重さから声も出せずにいた。すると、目の前にはカノンとタケルが立っていた。
「何してんだお前、おら!説教だ!来い!」
強引にナオトの腕を掴むタケル。ナオトは、タケルに連れられ、大黒天・改へと向かった。
完




